第71回 パラサイトシングルに最後通牒を
断捨離したのにストックの山
団塊の世代なら記憶にあるでしょうが、戦後は本当に家の中に何もなかった。冷蔵庫もガスコンロもテーブルセットもソファも炊飯器もトースターもなかったから、朝ドラの「おひさま」の主人公の実家みたいにいたってシンプル、というかチョー質素。物が増えるのは豊かさの象徴だった時代を経て、いまでは一人ずつ専用のパソコン、ヘアドライヤー、シャンプー&リンス、机にベッドに食器類と、あふれるグッズの片づけと、必要な物の捜索に毎日多大なエネルギーを浪費しています。
団塊の世代はなまじ中途半端に品物がなかった不安を記憶しているから、何を見ても「とりあえずストック」とためこむ癖があり。若い世代に「コンビニか100円ショップで買えるのに」と笑われるけど、今回のような震災被害でひとつふたつ役立ってしまうと、「やはりとっておこう」とますます捨てられなくなってしまう。困ったものです。
問題はそれが品物であるぶんにはまだよいのですが、いい年をした独身の息子や娘となるとにっちもさっちもいきません。
婚活戦線に異状あり、前進せよ
先回も述べましたが、どうやら婚活市場に先行き不透明感がでてきています。具体的に言えば、以前は「レベルを落とさず、理想の相手がでるまでは」たとえアラフォーになっても「待つわ〜♪」だった女性たちが、「次の地震はいつどこで起きるかわからない。もう時間がないから妥協しちゃう」といっきにハードルを下げてきたらしいのです。
とりあえず誠実で、まっとうに稼ぐ男はねらい目。「もっといいのがいるかも。もう少しお付き合いして」と悠長なことを言っていると、男を見る目のあるトンビにさらわれる。婚活は早い者勝ちであります。
それにかなり多くの男性たちにとって、妻に選ぶ基準は光源氏の時代からさして変わっていないらしく。「カネよりカオ」「名声より気立て」「知性美より健康美」、全部そろっていなくても決定力になるというから、どれか一つでも「自信があるわ」というむきは、ぐずぐずせずに「アタシで決めちゃいなさい。ア・タ・シ!」と相手の胸倉をつかんで恫喝(失礼、求婚)すればよろしい。
逆に「どうしてモテないんだろう?」とイジケている独身男たちは視点を変えてみましょう。「カオよりおカネ」「人柄より権力」「マッチョより知性」と、これまた男性陣とは正反対の選択基準をホンネにする女性はけっこういるのですよ。このうちの一つでも「あるゾ」というむきは、札束でも名刺でもちらつかせて「君を幸せにするから」とたぶらかせば(失礼、求婚すれば)よろしい。なぁに、どちらも団塊の世代がやってきた常套手段、手練手管であります。ダメでもともと、やってみるべし。
とりあえず誠実で、まっとうに稼ぐ男はねらい目。「もっといいのがいるかも。もう少しお付き合いして」と悠長なことを言っていると、男を見る目のあるトンビにさらわれる。婚活は早い者勝ちであります。
それにかなり多くの男性たちにとって、妻に選ぶ基準は光源氏の時代からさして変わっていないらしく。「カネよりカオ」「名声より気立て」「知性美より健康美」、全部そろっていなくても決定力になるというから、どれか一つでも「自信があるわ」というむきは、ぐずぐずせずに「アタシで決めちゃいなさい。ア・タ・シ!」と相手の胸倉をつかんで恫喝(失礼、求婚)すればよろしい。
逆に「どうしてモテないんだろう?」とイジケている独身男たちは視点を変えてみましょう。「カオよりおカネ」「人柄より権力」「マッチョより知性」と、これまた男性陣とは正反対の選択基準をホンネにする女性はけっこういるのですよ。このうちの一つでも「あるゾ」というむきは、札束でも名刺でもちらつかせて「君を幸せにするから」とたぶらかせば(失礼、求婚すれば)よろしい。なぁに、どちらも団塊の世代がやってきた常套手段、手練手管であります。ダメでもともと、やってみるべし。
シングル礼賛、パラサイト(寄生)が普通に存在
私は20年前に某カルチャーセンターで「結婚できない男女のための結婚講座」を主催したことがあります。250人の男女のホンネ講座みたいなところがありましたが、誰もが自分と世間の結婚観のギャップに悩んでいたように思います。
当時はバブル期の名残もあって、「結婚より自立」「女一匹マンションを買う」「優雅なモラトリアム」などのシングル礼賛フレーズがメディアに満載。「結婚すればこんなに損をする」という過激な論調が主流で、「子育てはペイしない」のDINKS奨励賛美もどっさり。これらが少子化の一因ではないかと、月刊誌に「産んで欲しい人が産まない時代」という評論を寄稿したりしました。それでも、社会の潮流で非婚傾向は止まらず現在に至っています。
それなら北欧やフランスに追随して、「同棲」が幅を利かすのかとみていましたが、法律や社会規範もろもろを鑑みるに、まだ時期尚早らしく、同棲中の「社会的責任」をとるだけの度量も覚悟もない未婚者の多くは親元でヌクヌク暮らしています。山田昌弘氏が彼らを「パラサイトシングル」と揶揄してかなりキツイ批判をしたのに動じなかったのは、子どもはいくつになっても親に庇護されるのが「普通」という社会通念があったからでしょう。「このままじゃいけない」と心秘かに思いつつ、口に出さなかった親たちに、いま、決断の時が追っています。
当時はバブル期の名残もあって、「結婚より自立」「女一匹マンションを買う」「優雅なモラトリアム」などのシングル礼賛フレーズがメディアに満載。「結婚すればこんなに損をする」という過激な論調が主流で、「子育てはペイしない」のDINKS奨励賛美もどっさり。これらが少子化の一因ではないかと、月刊誌に「産んで欲しい人が産まない時代」という評論を寄稿したりしました。それでも、社会の潮流で非婚傾向は止まらず現在に至っています。
それなら北欧やフランスに追随して、「同棲」が幅を利かすのかとみていましたが、法律や社会規範もろもろを鑑みるに、まだ時期尚早らしく、同棲中の「社会的責任」をとるだけの度量も覚悟もない未婚者の多くは親元でヌクヌク暮らしています。山田昌弘氏が彼らを「パラサイトシングル」と揶揄してかなりキツイ批判をしたのに動じなかったのは、子どもはいくつになっても親に庇護されるのが「普通」という社会通念があったからでしょう。「このままじゃいけない」と心秘かに思いつつ、口に出さなかった親たちに、いま、決断の時が追っています。
「嫁をもらえ、嫁に行け!」と言えるのは親だけ
このセリフがセクハラと認定された頃から、親も遠慮して言わなくなりました。いっときは話し相手や老後の介護要員に手元におきたいと、本気で娘の未婚を望んでいた母親たちもいました。結果として、小金を貯めこみ、海外旅行もおおかた終了、コンサートや買い物にもちょっと飽きてきたという、プチブル女性が大量生産した。「結婚相手は金持ちか、操作しやすい年下男」と望むけど、そちらは大量生産されていないから需給にアンバランスが生じてしまうのです。
もうこのへんで本音を言ってしまったらどうでしょう。社会人としての仕事はやりとげたけど、親としての最後の仕事が残っています。
「適当なところで手を打って結婚してちょうだい!」「遊びたいのはあなたより、我慢や苦労をしてきた私たち親のほうなのよ!」「嫁をもらって独立して、親を安心させろ」「元気なうちに孫を抱かせろ!」
こんなこと批判を恐れず言えるのは親だけ、しかも「生きているうち」だけです。「次の地震が来る前に」を最後通牒にして、我が家のアダムかイブを楽園から追放しましょう。わが子を託せる人がいる、後顧の憂いがなければもうひとふんばりできると思いませんか?
次回は、9月22日更新予定です。
もうこのへんで本音を言ってしまったらどうでしょう。社会人としての仕事はやりとげたけど、親としての最後の仕事が残っています。
「適当なところで手を打って結婚してちょうだい!」「遊びたいのはあなたより、我慢や苦労をしてきた私たち親のほうなのよ!」「嫁をもらって独立して、親を安心させろ」「元気なうちに孫を抱かせろ!」
こんなこと批判を恐れず言えるのは親だけ、しかも「生きているうち」だけです。「次の地震が来る前に」を最後通牒にして、我が家のアダムかイブを楽園から追放しましょう。わが子を託せる人がいる、後顧の憂いがなければもうひとふんばりできると思いませんか?
次回は、9月22日更新予定です。
(2011年9月9日)
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