第49回 海外旅行ほど素敵なスリルはない
日常生活に飽きたら、チョー非日常の旅に出よう
団塊世代が幼いころは、旅行といえば親の郷里に帰省するか、ちょっと奮発して海水浴や温泉で一泊する家族旅行のことでした。家計が苦しくて夏休みの帰省しかしたことがなかった私は、級友たちが楽しそうに話す箱根や日光の地が、「どんなところなんだろう……」とひたすら憧れておりました。湖や遊覧船、大きな旅館やクラッシックなホテルなど、写真や話で夢を膨らませすぎて、後年、大人になってから行ってみて「なぁんだ」(失礼!)と拍子抜けしたものです。
その点、想像をはるかに超えて、時として期待を裏切ることが多い外国旅行は別格ですね。それも添乗員付きで名所観光専門、バスで飛び回り、「はい乗って、はい降りて、○時○分集合」といった「メダカの学校ツアー」ではなく、個人旅行かツアーでも空港かホテルで「それではお元気で」と放り出され、何日か右往左往したあげく、最終日に「なんとか生きてましたぁ?」とピックアップされて帰国便に放り込まれるような旅程だと、何をしても、どこに行っても冒険たっぷり、スリル満点であります。
同じことのくりかえしで、ワクワクすることも少なくなったら、日常の打破のためにお出かけになるとよろしいですね。ただし、危ないこともたくさんありますから、くれぐれも用心してお出かけください。
その点、想像をはるかに超えて、時として期待を裏切ることが多い外国旅行は別格ですね。それも添乗員付きで名所観光専門、バスで飛び回り、「はい乗って、はい降りて、○時○分集合」といった「メダカの学校ツアー」ではなく、個人旅行かツアーでも空港かホテルで「それではお元気で」と放り出され、何日か右往左往したあげく、最終日に「なんとか生きてましたぁ?」とピックアップされて帰国便に放り込まれるような旅程だと、何をしても、どこに行っても冒険たっぷり、スリル満点であります。
同じことのくりかえしで、ワクワクすることも少なくなったら、日常の打破のためにお出かけになるとよろしいですね。ただし、危ないこともたくさんありますから、くれぐれも用心してお出かけください。
「スズキさま」は狙われやすいからお気をつけて
ピンときた鈴木君は3Fの部屋に入るや内側から鍵をかけ、窓をあけてスーツケースを持ってあらよっとベランダ沿いに隣の民家の屋根に飛び移りました。びっくりしている住人にドル札を渡してハシゴをかけさせ、ちょうどやってきたタクシーに飛び乗って高級ホテルに横付けし、商談相手に電話をしたら「誰も迎えに行っていない」という返事。新宿で石を投げれば必ず当たるという「スズキ」を悪用した犯罪にあやうく巻き込まれるところだったとか。怖いですねぇ。
「NYでは在住日本人のフリをしなさい」というご忠告
NYに初めて行ったのは20年ほど前でしたが、空港を出る時点でフロリダでもアトランタでも通じた英語が通じません。タクシーの運ちゃんは移民が多く、ガイドブックや書類の文字も「読めない」と首を振るありさま。もしや運ちゃん、東欧系?と単語の「R」を巻き舌で加えてみたんですね。「パーク」ではなく、「パルク」、「アート」ではなく「アルト」と言い換えたら一発で「OK!」。「お前、きれいな英語をしゃべるじゃん」とほめられたのにはギャフンとしたものです。
このことを笑い話にしたところ、NYっ子のスージーが怖い顔をしてお説教。「いいこと?あなたが思っているより、この町はずっと物騒なのよ。外国人ならピストルも持ってないし、単身旅行なら警察に通報される恐れもない。身ぐるみはがされてハドソン川にポイされたくなければ、タクシーに乗るときはホテルの名前を言わないこと。番地だけを言って、あたかもNY在住の日系アメリカ人ですというフリをするのよ」
以来、タクシーでは「シックス・シックス(66) パルク・アベニュー、スリー・エイト(本当は38th、でもこう言ったほうが通じやすい) ストリート」とだけ告げて、すましています。アドレスどおりに走ってホテルの玄関に着くと、運ちゃんはなぁんだという顔をして振り向きますが、あとの祭りですわ。
このことを笑い話にしたところ、NYっ子のスージーが怖い顔をしてお説教。「いいこと?あなたが思っているより、この町はずっと物騒なのよ。外国人ならピストルも持ってないし、単身旅行なら警察に通報される恐れもない。身ぐるみはがされてハドソン川にポイされたくなければ、タクシーに乗るときはホテルの名前を言わないこと。番地だけを言って、あたかもNY在住の日系アメリカ人ですというフリをするのよ」
以来、タクシーでは「シックス・シックス(66) パルク・アベニュー、スリー・エイト(本当は38th、でもこう言ったほうが通じやすい) ストリート」とだけ告げて、すましています。アドレスどおりに走ってホテルの玄関に着くと、運ちゃんはなぁんだという顔をして振り向きますが、あとの祭りですわ。
空港だからといって油断はできない
20年前のロンドンはヒースロー空港でのこと。カウンターで手続きの最中に、いきなり前のアラブ民族衣装の一団が床に座り込み、メッカの方向にお祈りを開始しました。あらあらと驚いていると、空港職員が飛んできて、「あなたの荷物はどこか?」と私に詰問。「手荷物を放置しなかったか?」「あの男たちと何時間いっしょだったのか」と早口でまくしたて、返事に窮しました。今思えばこの頃からテロ対策だったんですね。
10年前にも同じ空港で成田行きバージンアトランティックの「ラストコール」を繰り返している最中に、私の目の前で手荷物検査がストップし、「パキスタン人家族の荷物があやしい、警察を呼んで来い」の大騒ぎになりました。検査員に「今放送されているフライトに乗るの」といくら主張しても「そこで待て」と押しやられるだけ。「これが本当のラストコールです」のアナウンスにいてもたってもいられず、すきを見て、他の列に割り込み、搭乗口に向かって走りに走りました。ゼーゼー言いながら閉じかかったドアから飛び乗るや、すぐに機体が動き出したのですが、いろんな意味でスリル満点。あのときほどのスリルはいまだ味わっていません。
次回は、10月22日(金)掲載予定です。
10年前にも同じ空港で成田行きバージンアトランティックの「ラストコール」を繰り返している最中に、私の目の前で手荷物検査がストップし、「パキスタン人家族の荷物があやしい、警察を呼んで来い」の大騒ぎになりました。検査員に「今放送されているフライトに乗るの」といくら主張しても「そこで待て」と押しやられるだけ。「これが本当のラストコールです」のアナウンスにいてもたってもいられず、すきを見て、他の列に割り込み、搭乗口に向かって走りに走りました。ゼーゼー言いながら閉じかかったドアから飛び乗るや、すぐに機体が動き出したのですが、いろんな意味でスリル満点。あのときほどのスリルはいまだ味わっていません。
次回は、10月22日(金)掲載予定です。
(2010年10月08日)
- お知らせ
-
宮本まき子先生の新刊本が、12月16日、PHP研究所より出版されました。
「自分も幸せになる「姑道」十カ条」
ご注文の際は、直接出版元にお問い合わせください。
※書店でのお取り扱いはありません
ご連絡先 : PHP研究所 通販普及課 マナビカ係 075-681-8818
「PHP子育てNet」
ホームページからもご購入できます。 -
宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/