第41回 菅さん「子ども手当」を見直して
ウエルカム! 猛妻×恐妻の菅首相夫人
遅すぎた感もあるけれど、ともかく日本の舵取りのトップが交代しました。陰で糸引く剛腕の黒子氏も道連れにして花道をひっこみ、いよいよ民主党政治第二幕の始まりであります。オペラを歌って華やかに笑顔をバラまくモト宝塚娘役の劇場型幸夫人に代わり、「ファーストレディなんてスターっぽい言葉はそぐわない。首相夫人とお呼び」と言いたいことを言いそうな姉御肌女房の出現もおもしろそうですし。
この方、私の出身大学の先輩で、同期には「ニコニコ離婚講座」の創設者の現参議院議員の円より子女史もいて、花嫁修業なんぞに目もくれず、「自主独立、女性の権利向上」をめざしたバリバリのウーマン・リブ世代でした。彼女らの「旦那がいてもいなくても、男の指図なんぞ受けないよン。アタシはアタシの道を行く」のフェミニズム感覚には見習うべき点も多かろうと、今後の動向を楽しみにしています。
子ども手当より「国民皆保育」の実現を
それにしても前政権のバラまきのシンボル、「子ども手当」はどこか的を外していました。児童手当とさほど変わんないじゃんという人もいれば、親の所得制限がないのは鳩山氏が大富豪の母親から「こども手当」をもらっていたからという珍説もありましたね。
そもそも、満額支給をしたら何兆円かになって年間の防衛予算を上回るという試算をみれば、とてもあとが続かないだろうという予感……。しかも実際に受け取った手当の多くが貯蓄や将来の教育資金に封じこめられて、現在の子どもたちの環境改善に直結しないというのはおかしい。
明らかに、子育てに日常的にかかわってこなかっであろう男性社会のトップの「誰かさん」の誤算だったと思います。
団塊の世代が子育てをした70年代には、第二次ベビーブームで活気がありましたねぇ。若夫婦のほとんどか当たり前のように二人や三人出産し、お砂場デビューだ、ケンカの仲裁だ、スイミングだ、塾だ、受験だとワァワァ言っているうちにいつのまにか育っちゃった。便利な機器も強力な公的支援制度もなかったけれど、地域や大家族による「子育てセーフティネット」がまだしっかり残っていたからでしょう。
あのころは多少わずらわしかったけど、子どもにかかわってくれる大勢の人たちに助けられたと、孫育ての年齢になってやっとわかった人も多いはず。いまや日本が抱える最大の難問は親子に限らず、人と人とをつないで支え合う「人的セーフティネット」の減少や崩壊なのです。
現に少子化の影響で、都市、地方を問わず、幼子の遊び相手探しに苦労する有様。これの打開のためにも子ども手当の予算は保育所の増設と運営資金にまわすべきではないでしょうか。それも「待機児童解消」なんてみみっちい話ではなく、1〜2歳児以上の全員が一定時間以上を保育施設で過ごす「国民皆保育」を実践することを提案します。
そもそも、満額支給をしたら何兆円かになって年間の防衛予算を上回るという試算をみれば、とてもあとが続かないだろうという予感……。しかも実際に受け取った手当の多くが貯蓄や将来の教育資金に封じこめられて、現在の子どもたちの環境改善に直結しないというのはおかしい。
明らかに、子育てに日常的にかかわってこなかっであろう男性社会のトップの「誰かさん」の誤算だったと思います。
団塊の世代が子育てをした70年代には、第二次ベビーブームで活気がありましたねぇ。若夫婦のほとんどか当たり前のように二人や三人出産し、お砂場デビューだ、ケンカの仲裁だ、スイミングだ、塾だ、受験だとワァワァ言っているうちにいつのまにか育っちゃった。便利な機器も強力な公的支援制度もなかったけれど、地域や大家族による「子育てセーフティネット」がまだしっかり残っていたからでしょう。
あのころは多少わずらわしかったけど、子どもにかかわってくれる大勢の人たちに助けられたと、孫育ての年齢になってやっとわかった人も多いはず。いまや日本が抱える最大の難問は親子に限らず、人と人とをつないで支え合う「人的セーフティネット」の減少や崩壊なのです。
現に少子化の影響で、都市、地方を問わず、幼子の遊び相手探しに苦労する有様。これの打開のためにも子ども手当の予算は保育所の増設と運営資金にまわすべきではないでしょうか。それも「待機児童解消」なんてみみっちい話ではなく、1〜2歳児以上の全員が一定時間以上を保育施設で過ごす「国民皆保育」を実践することを提案します。
物納された一軒家を保育所にリフォームして
国民皆保育のメリットは多種多様で、まず家庭外での世界での体験が必要になる年齢の子の集合場所があります。兄弟以外の子ども、親以外の大人と触れ合うチャンスがあります。その結果、乳幼児の脳が活性化して賢くなります。小学生も放課後にやってくれば、家で一人でゲーム機をいじるより仲間遊びが楽しいことを体得するでしょう。
皆保育を制度化すれば、親は保育を一部肩代わりしてもらうことに負い目を感じなくなります。親に時間ができれば再就職や勉強のための進学をしたり、休息や買い物、友人たちとの交流、介護などの余裕がでてきます。親の収入が増えて自由時間もできれば、大人社会のお金が循環し始めるし、保育所での雇用や子どもたち向けの消費も増えて経済が活性化するでしょう。なんであれ、最初の一滴がなければ川は流れていきません。
保育所建設の費用がないなら、全国にくまなく存在する「税金がわりに物納された大きな一軒家」をリフォームしましょう。そもそも「子どもを保育する場所」は限りなく普通の家庭に近いのが理想なのです。
キッチンで料理を手伝う、浴室で汚れた足を洗う、庭をシャベルでほじくり返し、大きな木に登ってみる。8人か10人の子どもたちが兄弟のように屋内や庭で遊び、3〜4人の保育士か子育て経験者が親がわりになって「日常生活」を送れたら、それは最高の保育環境であります。
30年前にあって、今はないお子ちゃまたちの群れづくりを再現すること――。(地味だけど)次期政権に望む最も効果的な「子ども手当」の使い方だと思うのですが……。
次回は、6月25日(金)掲載予定です。
皆保育を制度化すれば、親は保育を一部肩代わりしてもらうことに負い目を感じなくなります。親に時間ができれば再就職や勉強のための進学をしたり、休息や買い物、友人たちとの交流、介護などの余裕がでてきます。親の収入が増えて自由時間もできれば、大人社会のお金が循環し始めるし、保育所での雇用や子どもたち向けの消費も増えて経済が活性化するでしょう。なんであれ、最初の一滴がなければ川は流れていきません。
保育所建設の費用がないなら、全国にくまなく存在する「税金がわりに物納された大きな一軒家」をリフォームしましょう。そもそも「子どもを保育する場所」は限りなく普通の家庭に近いのが理想なのです。
キッチンで料理を手伝う、浴室で汚れた足を洗う、庭をシャベルでほじくり返し、大きな木に登ってみる。8人か10人の子どもたちが兄弟のように屋内や庭で遊び、3〜4人の保育士か子育て経験者が親がわりになって「日常生活」を送れたら、それは最高の保育環境であります。
30年前にあって、今はないお子ちゃまたちの群れづくりを再現すること――。(地味だけど)次期政権に望む最も効果的な「子ども手当」の使い方だと思うのですが……。
次回は、6月25日(金)掲載予定です。
(2010年6月11日)
- お知らせ
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宮本まき子先生の新刊本が、12月16日、PHP研究所より出版されました。
「自分も幸せになる「姑道」十カ条」
ご注文の際は、直接出版元にお問い合わせください。
※書店でのお取り扱いはありません
ご連絡先 : PHP研究所 通販普及課 マナビカ係 075-681-8818
「PHP子育てNet」
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宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/