第30回 クリスマスとお正月
憧れのクリスマス料理で小説「芋粥」に共感
みなさま、クリスマスはいかがお過ごしでしたか?
むかしむかしのその昔、煤だらけの直径10センチたらずの風呂場の煙突を見ながら、サンタさんは入ってこられないし、もし魔法で小人に変身してもまっ黒けになってしまうではないかと小さな胸を痛めたアタクシでしたが、朝目覚めれば枕元に夢にまで見た「ミルク飲み人形」がデン!あの嬉しさは生涯忘れられないものですね。だからゆめゆめ、子どもの前で「サンタさんの正体」を明かしてはいけません。「パパやママでしょ?」と聞かれても、徹底的に否定すること。そしてありとあらゆる手段を使って真夜中にプレゼントを降臨させましょう。
むかしむかしのその昔、煤だらけの直径10センチたらずの風呂場の煙突を見ながら、サンタさんは入ってこられないし、もし魔法で小人に変身してもまっ黒けになってしまうではないかと小さな胸を痛めたアタクシでしたが、朝目覚めれば枕元に夢にまで見た「ミルク飲み人形」がデン!あの嬉しさは生涯忘れられないものですね。だからゆめゆめ、子どもの前で「サンタさんの正体」を明かしてはいけません。「パパやママでしょ?」と聞かれても、徹底的に否定すること。そしてありとあらゆる手段を使って真夜中にプレゼントを降臨させましょう。
長じて、アメリカ系のホテルのパーティでこれらを食するチャンスに出会います。結論から言えば「ちょっとずつ試して味わって、気が済んだ」というところかナ。七面鳥のローストはダイエット食になるだけあって淡泊でパサパサだし、ドライフルーツやナッツが入ってがっちりと焼き固められたパンは岩よりちょっとマシかという歯ごたえ。バタークリームのケーキは異常な甘さで…。別にシェフの腕がどうのということではなく、長年の私の思い入れが強すぎたのでしょう。あのとき、芥川龍之介の小説「芋粥」の主人公の気持ちに少し共感できたものです。
正月料理もやがて消えゆく運命かしらン
「伝統食」と呼ばれるものは全般的に「素朴なお味」で(そりゃそうだ、昔はろくな調味料もなかったんだもん)、団塊の世代が育つころの正月料理も、(われわれ庶民のそれは)現代のデパート特製よりはるかに質素だったと記憶にあります。贅沢品は、かまぼこぐらいで、重箱の中身は根菜や豆類の煮しめばかりでしたものね。
そこにいつの間にかハムやローストビーフや海老が加わって、オードブル調の濃厚にして美味な料理になり、昔からの昆布の煮しめやナマスはそのうち「試して味わって気が済んだ」正月料理になっていく運命かと思われます。若い世代の家庭では、お雑煮だけが生き残ってあとは中華か洋風おせちを買ってくるだけとか。「きんとん」や「りんご寒天」にワクワクした団塊の世代にはちょっぴり寂しい気分かもしれません。
そこにいつの間にかハムやローストビーフや海老が加わって、オードブル調の濃厚にして美味な料理になり、昔からの昆布の煮しめやナマスはそのうち「試して味わって気が済んだ」正月料理になっていく運命かと思われます。若い世代の家庭では、お雑煮だけが生き残ってあとは中華か洋風おせちを買ってくるだけとか。「きんとん」や「りんご寒天」にワクワクした団塊の世代にはちょっぴり寂しい気分かもしれません。
生涯で最高に楽しかった疑似故郷でのお年越し
25年ぐらい前のことですが、「正月をふるさとで過ごすツアー」というのに参加したことがあります。気のいい家人が見境なく呼ぶもので、狭い我が家は正月三が日は朝から晩まで数十人の客で埋まり、私は居酒屋の女将状態で毎年、体力も財力も使い果たしてヘトヘトでした。或る年、もうイヤだ、私だって正月をしたいと反発。年賀状に「正月はスキーで不在」と書いて大晦日発のこのツアーバスに飛び乗りました。
滞在先は、福島の只見町のおそろしく古い旅館で、部屋は襖で仕切られていて鍵もなく、よその子が勝手に飛び込んでくるし、うちの子がよその家族の炬燵に混ざっておやつを食べている一種無法地帯です。夜は何組もの家族がいろりを囲み、餅をつき、酒を酌み交わして除夜の鐘を聞き、年越しました。元旦はおとなと子どもでわかれて広間で大カルタ大会をしたり、ソリに乗ったり、雪合戦に興じたりの大騒ぎです。
宿で出してくれた郷土料理と、家事から解放されて親子で遊び暮らした三が日、今思い出しても笑みがこぼれてきそうに楽しかったなァ。結局3年続けて同じツアーに参加、同じ宿で馴染みの家族と再会し、本当に故郷に帰省した親戚同士のような錯覚を起したものです。残念ながらこのツアーは数年で企画終了になりましたが、どこかの旅行社が再開してくれないかしらン、と思い続けてはや20年たってしまいました。
鍵もない、壁もない部屋での雑魚寝状態の宿泊は敬遠されそうですが、コミュニケーションレスの現代だからこそ、あの超アナログな、正月生活をぜひ経験して欲しいと思うのです。ワクワクしたり、心の底から笑い転げたり、生きていてよかったという実感は「ハレの日」の特権ですから、もしクリスマスで手に入らなかったのなら、ぜひ正月で実現させてくださいネ。
次回は、新年1月8日(金)掲載予定です。
滞在先は、福島の只見町のおそろしく古い旅館で、部屋は襖で仕切られていて鍵もなく、よその子が勝手に飛び込んでくるし、うちの子がよその家族の炬燵に混ざっておやつを食べている一種無法地帯です。夜は何組もの家族がいろりを囲み、餅をつき、酒を酌み交わして除夜の鐘を聞き、年越しました。元旦はおとなと子どもでわかれて広間で大カルタ大会をしたり、ソリに乗ったり、雪合戦に興じたりの大騒ぎです。
宿で出してくれた郷土料理と、家事から解放されて親子で遊び暮らした三が日、今思い出しても笑みがこぼれてきそうに楽しかったなァ。結局3年続けて同じツアーに参加、同じ宿で馴染みの家族と再会し、本当に故郷に帰省した親戚同士のような錯覚を起したものです。残念ながらこのツアーは数年で企画終了になりましたが、どこかの旅行社が再開してくれないかしらン、と思い続けてはや20年たってしまいました。
鍵もない、壁もない部屋での雑魚寝状態の宿泊は敬遠されそうですが、コミュニケーションレスの現代だからこそ、あの超アナログな、正月生活をぜひ経験して欲しいと思うのです。ワクワクしたり、心の底から笑い転げたり、生きていてよかったという実感は「ハレの日」の特権ですから、もしクリスマスで手に入らなかったのなら、ぜひ正月で実現させてくださいネ。
次回は、新年1月8日(金)掲載予定です。
(2009年12月25日)
- お知らせ
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宮本まき子先生の新刊本が、12月16日、PHP研究所より出版されました。
「自分も幸せになる「姑道」十カ条」
ご注文の際は、直接出版元にお問い合わせください。
※書店でのお取り扱いはありません
ご連絡先 : PHP研究所 通販普及課 マナビカ係 075-681-8818
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宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/