第64回 保育中の園児の死亡ゼロの奇跡
自らの判断で自らを救った小中学生
「津波てんでんこ」というのは古くからの言い伝えで、地震がきたら「自分の責任でてんでに逃げて命を守れ」という意味だとか。日ごろから防災教育でこのことを教えられていた釜石市の小中学校では、ほとんどの生徒らがひたすら高いところをめざして1km近くも走りました。
なかでも、いったん校舎の3階に避難した小学生たちが、隣の中学校の生徒たちが高台に向かって走るのを見て(自分たちの判断で)あとに従い、全員助かります。校舎はそのすぐ後に屋上まで水没しましたから、間一髪の脱出劇。まっさらな頭脳にストレートにしみこんだ「自助努力」の発想がよい結果をうんだ例でしょう。
ところで、原発の報道の陰に隠れてあまり目立たなかったけど、東北3県で315ヵ所の保育園が被災し、そのうち28カ所以上が全壊、流失しました。でも保育中の子どもの死傷はゼロで、ひとえに機敏に避難させた保育士さんらのおかげと言われています。
なかでも、いったん校舎の3階に避難した小学生たちが、隣の中学校の生徒たちが高台に向かって走るのを見て(自分たちの判断で)あとに従い、全員助かります。校舎はそのすぐ後に屋上まで水没しましたから、間一髪の脱出劇。まっさらな頭脳にストレートにしみこんだ「自助努力」の発想がよい結果をうんだ例でしょう。
ところで、原発の報道の陰に隠れてあまり目立たなかったけど、東北3県で315ヵ所の保育園が被災し、そのうち28カ所以上が全壊、流失しました。でも保育中の子どもの死傷はゼロで、ひとえに機敏に避難させた保育士さんらのおかげと言われています。
乳幼児は全面的におとなに頼るもの
この顛末はぜひ文章化、あるいは映像化して喧伝して、今後の避難のお手本にしてほしいものです。
緊迫度こそ違え、私の住む町も液状化現象で保育園が噴出した泥の海に埋もれました。あとで市の教育長が涙ぐんで言うことに、「被災した園ではけなげにも、ただの一人も泣き騒がず、ふざけることもなく押し黙って、保育士さんらに誘導されるまま、素直に避難したそうです」。
必死さが伝わると、子どもは自分が助かるにはこのヒトを頼るしかないと本能的にさとるのでしょう。全面的に命を預けてくる子どもらの信頼を裏切ってはいけません。おとなの責任は重大なのですよ。おわかりですか、東電と菅直人さん?
緊迫度こそ違え、私の住む町も液状化現象で保育園が噴出した泥の海に埋もれました。あとで市の教育長が涙ぐんで言うことに、「被災した園ではけなげにも、ただの一人も泣き騒がず、ふざけることもなく押し黙って、保育士さんらに誘導されるまま、素直に避難したそうです」。
必死さが伝わると、子どもは自分が助かるにはこのヒトを頼るしかないと本能的にさとるのでしょう。全面的に命を預けてくる子どもらの信頼を裏切ってはいけません。おとなの責任は重大なのですよ。おわかりですか、東電と菅直人さん?
わが孫は新米保育士の訓練用?
保育園といえば、わが愛すべき初孫の「あみたん」がこの春、1歳児クラスにデビューしました。アラフォーの両親のところにコウノトリが運んでくれた一粒種。スキあらば「お嫁になんか行くな、いつまでもパパと暮らそう」と耳元でささやき、くしゃみしたの、転んだのと、疾風のごとく駆けつける「正義の味方」がついているのですから、あみたんにこわいものはありません。心理学を専攻の母親が、「児童心理の教科書は全て間違ってるワ」と悲鳴をあげるほど、「マイペース、やりたい放題、好き放題」のお山の大将であります。
2歳に近い1歳児ですからカテゴリーでいえば「お姉ちゃん」。入園当初こそ、隣の子に「ふん、ガキか」みたいな優越感の表情を見せましたが、日が経つにつれ「あれイヤ、これキライ、それダメ、抱っこ」の赤ちゃん返りを連発。給食は見るだけで食べず、無理じいすれば星飛雄馬のオヤジさんのようにエイヤッと「ちゃぶ台がえし」。気が向いて食べだしても嫌いな物はつまみ出してポイポイと投げるから、肉が宙を飛び、ブロッコリーが壁に貼りつきます。
親は青くなったり赤くなったりして謝りっぱなしですが、「借りてきた猫みたいな子ばかりでは保育園も物足りなかろう。新米保育士さんらを鍛える子も必要でしょ」とアタクシは鷹揚にかまえております。
こんなあみたんでも、いざ緊急避難となったら急にシャキッとして、人一倍の行動力を発揮して年下の子の手をひき、先生のエプロンの裾をしっかと握って粛々と歩くんだろうなと想像したら、鼻の奥がツンと熱くなりました。
2歳に近い1歳児ですからカテゴリーでいえば「お姉ちゃん」。入園当初こそ、隣の子に「ふん、ガキか」みたいな優越感の表情を見せましたが、日が経つにつれ「あれイヤ、これキライ、それダメ、抱っこ」の赤ちゃん返りを連発。給食は見るだけで食べず、無理じいすれば星飛雄馬のオヤジさんのようにエイヤッと「ちゃぶ台がえし」。気が向いて食べだしても嫌いな物はつまみ出してポイポイと投げるから、肉が宙を飛び、ブロッコリーが壁に貼りつきます。
親は青くなったり赤くなったりして謝りっぱなしですが、「借りてきた猫みたいな子ばかりでは保育園も物足りなかろう。新米保育士さんらを鍛える子も必要でしょ」とアタクシは鷹揚にかまえております。
こんなあみたんでも、いざ緊急避難となったら急にシャキッとして、人一倍の行動力を発揮して年下の子の手をひき、先生のエプロンの裾をしっかと握って粛々と歩くんだろうなと想像したら、鼻の奥がツンと熱くなりました。
自助・互助・共助・公助
ところで中国の指導者たちは「日本国民は幼い時から自助・共助・公助の教育を受けているから、パニックにならず冷静なのだ。わが国もおおいに見習うべきだ」と珍しくほめちぎっています。
自分で問題解決するのが「自助」、地域コニュニティの中で組織的に助け合うのが「共助」、国の支援が「公助」。もう一つ忘れてならないのは「互助」といって、身近な人間関係の中で自然発生的に支えあうことであります。震災後、日本はひとつ、東北も遠い親戚みたいなものという観念が生まれ、「困っているときはお互いさま、少しでも手伝わせて」と思う人が急増しました。東北の物産展で買い物をし、風評被害の野菜を敢えて使い、レジ前の募金箱につり銭を入れて「がんばれ」と心の中でつぶやく。そんなささやかな互助に励む自分をちょっぴりほめたくなる今日この頃です。
次回は、6月10日更新予定です。
自分で問題解決するのが「自助」、地域コニュニティの中で組織的に助け合うのが「共助」、国の支援が「公助」。もう一つ忘れてならないのは「互助」といって、身近な人間関係の中で自然発生的に支えあうことであります。震災後、日本はひとつ、東北も遠い親戚みたいなものという観念が生まれ、「困っているときはお互いさま、少しでも手伝わせて」と思う人が急増しました。東北の物産展で買い物をし、風評被害の野菜を敢えて使い、レジ前の募金箱につり銭を入れて「がんばれ」と心の中でつぶやく。そんなささやかな互助に励む自分をちょっぴりほめたくなる今日この頃です。
次回は、6月10日更新予定です。
(2011年5月27日)
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