Vol.24 結晶知能を高める方法10:表現する!
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☆<結晶知能>☆
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
脳の成長が止まったシニア期以降でも、経験と深い思考を積み重ねることでグングン伸びる脳力。若者にはない、大人の英知のもとになる知能。困難に直面したときに高い水準で解決できる、まさにシニアの知能。
★<流動知能>★
パソコンゲームを競ったり、単純な計算をすばやく行ったりするような脳の「性能」。青年期までは急速に成長するが、シニア期以降、急激に衰えてしまう。シニアは苦手だが、社会的・対人的な問題の対処には役立たない。
「結晶知能を高める方法」の第10回目は「表現する!」です。
自分を表現するには、言語力、洞察力、コミュニケーション力など、さまざまな能力が必要です。方法や手段はそれぞれ異なっても、表現する場を持ち、表現し続けることで、結晶知能が総合的に高まります。
自分を表現するには、言語力、洞察力、コミュニケーション力など、さまざまな能力が必要です。方法や手段はそれぞれ異なっても、表現する場を持ち、表現し続けることで、結晶知能が総合的に高まります。
【実践法10】総合的に能力を高めるために「表現する!」
自分自身を表現して自分の居場所を
結晶知能は実践的な知能ですから、ただ高めるだけでなく、最終的にはどのように実践するか、どのように発揮するかが重要です。結晶知能を現実の場で発揮し、その経験によってさらに結晶知能を高めるという、好循環を作っていくのが、結晶知能を高める方法の最終段階なのです。
結晶知能を発揮するには実践の場、すなわち自分自身を表現する場が必要です。職場や家庭も、もちろん実践の場の1つです。しかし職場は、やがて離れる運命にあります。そうなると、実践の場が家庭だけでは、いささか物足りないのではないでしょうか。そのときに備えて、職場と家庭以外に実践の場、つまり自分の居場所を持つことが、プラスの循環作りには欠かせません。
結晶知能を発揮するには実践の場、すなわち自分自身を表現する場が必要です。職場や家庭も、もちろん実践の場の1つです。しかし職場は、やがて離れる運命にあります。そうなると、実践の場が家庭だけでは、いささか物足りないのではないでしょうか。そのときに備えて、職場と家庭以外に実践の場、つまり自分の居場所を持つことが、プラスの循環作りには欠かせません。
ワクワクするほどの愉しみを得られるか
各種のサークルや同好会、生涯学習講座、ボランティア団体、あるいはカルチャーセンターや習い事の教室などを、自分の興味の領域に応じて選ぶのもよいでしょう。どのような場でも、人とのコミュニケーションがあるかぎり、そこが結晶知能を発揮する「場」となるのです。
相手の信頼度の確認は怠りなく
どんなところにどんな「場」があるかは、インターネットで自分のやりたいこと、例えば、「写真」なら「写真」をキーワードに検索すれば、たちどころにいくつもの団体が出てきます。そのなかから自分に合った雰囲気で、場所的にも近いところを選びます。ただし、インターネットでは、詐欺などの被害に遭わないように注意することが必要です。個人データを明かしたり、入会したりする前に、メールのやりとりや資料請求をして、必ず相手の信頼度を確認してください。
その他にも、自治体が発行している広報誌や、地域のコミュニティーセンターの情報誌などから探すことができます。近くにコミュニティーセンターや公民館などがある方は、実際に足を運んで、職員に尋ねてみるとよいでしょう。広報誌などの記事よりも、詳しい情報を教えてもらえるはずです。
その他にも、自治体が発行している広報誌や、地域のコミュニティーセンターの情報誌などから探すことができます。近くにコミュニティーセンターや公民館などがある方は、実際に足を運んで、職員に尋ねてみるとよいでしょう。広報誌などの記事よりも、詳しい情報を教えてもらえるはずです。
自分を表現して、伝えてみよう
居場所を持たなくても、表現の場を持つことは可能です。新聞や雑誌への投稿、ブログ作りなどがそれに当たります。自分を表現すると一口に言っても、表現方法がしっかりしていないと意図が伝わらず、反応も返ってきません。どのように表現すれば人から反応が返ってくるようになるのか。これを考え、実行することが、結晶知能の好循環を生みます。
投稿やブログ作りよりもさらに手軽にできる方法に、家族や友人・知人を利用する方法があります。新聞の読者投稿欄などに掲載された意見に対して、自分の考えをまとめ、なぜそう考えたのかを妻や友人に話してみるのです。自分の考えがきちんと伝われば、それに対する賛成なり反対なりの意見が、妻や友人から返って来るでしょう。意味不明だったりすると、「どういうこと?」と問い返されるかもしれません。身近な人との会話でも、自分を表現しようとすると、投稿やブログと同様の配慮が必要であり、成果もまた同様に得られるわけです。
この方法を積極的に活用すれば、家庭以外に実践の場がなくても、自分を表現する機会を増やし、結晶知能のプラスの循環を生むことができます。
投稿やブログ作りよりもさらに手軽にできる方法に、家族や友人・知人を利用する方法があります。新聞の読者投稿欄などに掲載された意見に対して、自分の考えをまとめ、なぜそう考えたのかを妻や友人に話してみるのです。自分の考えがきちんと伝われば、それに対する賛成なり反対なりの意見が、妻や友人から返って来るでしょう。意味不明だったりすると、「どういうこと?」と問い返されるかもしれません。身近な人との会話でも、自分を表現しようとすると、投稿やブログと同様の配慮が必要であり、成果もまた同様に得られるわけです。
この方法を積極的に活用すれば、家庭以外に実践の場がなくても、自分を表現する機会を増やし、結晶知能のプラスの循環を生むことができます。
おわりに
1年間にわたって連載してきた「老いはチカラなり―シニア世代のための『結晶知能』革命―」も今回をもって終了となりました。お読みいただいた皆様には、心より感謝いたします。
ところで、私ごとですが、昨年の10月に東京から大阪に転居しました。そして、それを機に1つの実験を試みました。新聞とテレビをやめてみたのです。この連載の第6回目「結晶知能を高める方法1:興味を持つ!」でご紹介した実践法「マーカーしながら新聞を読む」は、私の毎日の習慣でした。それをやめてみることで、自分自身にどのような影響が出るのかを実験してみたのです。その間のニュースなどの情報は、主にインターネットから得ていました。
その後、出張のためにホテルに宿泊した際に、新聞を読み、テレビを見る機会がありました。テレビを見ても別にどうという感情は起きなかったのですが、新聞は、それこそ貪るように隅から隅までホテルの部屋で2時間以上もかけて読み続けました。
目から鱗が落ちるとはこのことか、というほどの現在進行形の刺激を受けたのです。新聞は、インターネットからは得ることのできない、質的にまったく異なる情報の泉であることを再確認しました。しかしインターネットも、ニュースなどの情報だけでなく、ネットサーフィンを上手に行えば、結晶知能にとって新聞とは異なる効果を発揮してくれる重要な手段であることは確かです。
結晶知能は、日々の生活のあり方によってその発達が左右されます。毎日の生活のなかで得た情報を心に刻み込むことで、シニアになっても結晶知能は高まるのです。そして、それが生活習慣になってしまうと、それなしではいられなくなります。この積み重ねが、人生の英知の元になることを従来の研究は示唆しています。それを信じて、人生の充実期に入った私も結晶知能の研鑽に励みたいと思っています。
【結晶知能を高める方法10:表現する!】のこれ以外の方法については、拙著「『結晶知能』革命─50歳からでも「脳力」は伸びる!」(小学館)を参照してください。
ところで、私ごとですが、昨年の10月に東京から大阪に転居しました。そして、それを機に1つの実験を試みました。新聞とテレビをやめてみたのです。この連載の第6回目「結晶知能を高める方法1:興味を持つ!」でご紹介した実践法「マーカーしながら新聞を読む」は、私の毎日の習慣でした。それをやめてみることで、自分自身にどのような影響が出るのかを実験してみたのです。その間のニュースなどの情報は、主にインターネットから得ていました。
その後、出張のためにホテルに宿泊した際に、新聞を読み、テレビを見る機会がありました。テレビを見ても別にどうという感情は起きなかったのですが、新聞は、それこそ貪るように隅から隅までホテルの部屋で2時間以上もかけて読み続けました。
目から鱗が落ちるとはこのことか、というほどの現在進行形の刺激を受けたのです。新聞は、インターネットからは得ることのできない、質的にまったく異なる情報の泉であることを再確認しました。しかしインターネットも、ニュースなどの情報だけでなく、ネットサーフィンを上手に行えば、結晶知能にとって新聞とは異なる効果を発揮してくれる重要な手段であることは確かです。
結晶知能は、日々の生活のあり方によってその発達が左右されます。毎日の生活のなかで得た情報を心に刻み込むことで、シニアになっても結晶知能は高まるのです。そして、それが生活習慣になってしまうと、それなしではいられなくなります。この積み重ねが、人生の英知の元になることを従来の研究は示唆しています。それを信じて、人生の充実期に入った私も結晶知能の研鑽に励みたいと思っています。
【結晶知能を高める方法10:表現する!】のこれ以外の方法については、拙著「『結晶知能』革命─50歳からでも「脳力」は伸びる!」(小学館)を参照してください。
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佐藤眞一先生が会長を務める老年行動科学会のホームページは、こちらからご覧になれます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsbse/
日本老年行動科学会は、高齢者心理の研究者、医療・看護等の専門家、高齢者ケアの実践者等、様々な人々が集い、高齢者の徘徊や行動障害など心の問題に根ざした課題の解明に努め、高齢者の行動・生活改善とケアの向上に取り組んでいます。
現在、月例の高齢者ケースワーク研究会(ACS)、ACSのノウハウを基にした老年行動科学講座を開設しています。