最終回 50歳を過ぎたら“ちょこっと寝”のすすめ
眠るにもエネルギーが必要
年を経るごとに、睡眠の質が変わり、それに伴う不調を訴える人が少なくありません。「まとまった長い時間、一気に寝られない」「寝つきが悪い」「寝ている途中で起きてしまう」「熟睡感が得られない」――などの悩みです。
これは、加齢によりエネルギー(漢方でいう「気」)が失われていることが原因だといえます。
実は、「眠る」という行為にもエネルギーが必要で、「寝る子は育つ」といわれるように、子どもがコンコンと寝続けられるのは、エネルギーがある証拠といえます。
一方で、エネルギーの全体量が減ってくると、眠るためのエネルギーも不足しがちになるので、冒頭のような睡眠に関する不調が生じます。
たとえば、「高齢者は早起き」とよく言われるのも、「気」の不足により子どものように長時間眠り続けることができなくなっていることの現れなのです。
これは、加齢によりエネルギー(漢方でいう「気」)が失われていることが原因だといえます。
実は、「眠る」という行為にもエネルギーが必要で、「寝る子は育つ」といわれるように、子どもがコンコンと寝続けられるのは、エネルギーがある証拠といえます。
一方で、エネルギーの全体量が減ってくると、眠るためのエネルギーも不足しがちになるので、冒頭のような睡眠に関する不調が生じます。
たとえば、「高齢者は早起き」とよく言われるのも、「気」の不足により子どものように長時間眠り続けることができなくなっていることの現れなのです。
古くから確認されていた「気」の不足による睡眠障害
中国の医学書の古典で、約2千年前に書かれたといわれる『黄帝内経霊枢(こうていだいけいれいすう)』の中にも、以下のような記述があります。
「若い人は気血が旺盛で、肌もなめらかで、気道もよく通り、営衛(えいえ)の運行がみな順調だ。それで、昼間は精神が充実していて眠くならず、夜間は熟睡できるのだ。老人は気血が衰え、営気(えいき=脈中を巡り全身の栄養となるもの)が衰え、衛気(えき=脈外を巡り外邪からカラダを守るもの)が体内の融和を乱すようになるので、昼は精神がはっきりせず、夜は眠ることができない」
老人が昼間にウトウトして夜に熟睡できないのは、「気」が若い頃と比べて減ってきていることが原因であると、説明しています。
日常生活での「気」のチャージは、「食事」と「睡眠」を通じて行います。ただ、「食事」で「気」を補充するにあたっては、胃腸も弱りだしている50歳以降の場合、食べて消化すること自体が難しいこともあります。「気」が減りだしている年代は、「食事」よりも「睡眠」をとることを意識すべきだといえます。
「若い人は気血が旺盛で、肌もなめらかで、気道もよく通り、営衛(えいえ)の運行がみな順調だ。それで、昼間は精神が充実していて眠くならず、夜間は熟睡できるのだ。老人は気血が衰え、営気(えいき=脈中を巡り全身の栄養となるもの)が衰え、衛気(えき=脈外を巡り外邪からカラダを守るもの)が体内の融和を乱すようになるので、昼は精神がはっきりせず、夜は眠ることができない」
老人が昼間にウトウトして夜に熟睡できないのは、「気」が若い頃と比べて減ってきていることが原因であると、説明しています。
日常生活での「気」のチャージは、「食事」と「睡眠」を通じて行います。ただ、「食事」で「気」を補充するにあたっては、胃腸も弱りだしている50歳以降の場合、食べて消化すること自体が難しいこともあります。「気」が減りだしている年代は、「食事」よりも「睡眠」をとることを意識すべきだといえます。
日中に「気」をチャージ
そこで、おすすめなのは、日中に「ちょっと寝る」ことです。名付けて“ちょこっと寝のススメ”。
夜間に、なかなか十分な睡眠がとれないことも多い年代なので、日中の“ちょこっと寝”は、夜にできなかった「気」をチャージするいい機会ともいえます。
ただ、“ちょこっと寝”は、寝る時間の長さに注意をしてください。日中に長い睡眠をとってしまうと、体内リズムが崩れてしまい、「昼寝をしたら、夜眠れなくなった」といったことも起こりうります。
江戸時代に84歳まで生きた著名な儒学者、貝原益軒は、著書『養生訓』のなかで、昼寝について「後ろに寄りかかって眠りなさい、横になって眠りたいときには、少し眠り、人に起こしてもらいなさい」と注意喚起しています。
できれば30分以内におさめることをおすすめします。
夜間に、なかなか十分な睡眠がとれないことも多い年代なので、日中の“ちょこっと寝”は、夜にできなかった「気」をチャージするいい機会ともいえます。
ただ、“ちょこっと寝”は、寝る時間の長さに注意をしてください。日中に長い睡眠をとってしまうと、体内リズムが崩れてしまい、「昼寝をしたら、夜眠れなくなった」といったことも起こりうります。
江戸時代に84歳まで生きた著名な儒学者、貝原益軒は、著書『養生訓』のなかで、昼寝について「後ろに寄りかかって眠りなさい、横になって眠りたいときには、少し眠り、人に起こしてもらいなさい」と注意喚起しています。
できれば30分以内におさめることをおすすめします。
今回で最終回になりました。長い間、お読みいただきありがとうございました。
皆さまの健康管理に少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです。今後とも、養生を続け、長生きされることを祈念申し上げます。
皆さまの健康管理に少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです。今後とも、養生を続け、長生きされることを祈念申し上げます。
(2012年2月16日)
- 木村容子先生のお勤め先
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東京女子医科大学 東洋医学研究所
〒114-0014
東京都北区田端1-21-8 NSKビル3階
TEL:03(6864)0821(代表) TEL:03(6864)0825(予約)
http://www.twmu.ac.jp/IOM/
【木村先生の書籍が刊行されました】
タイトル:『女50歳からの「変調」を感じたら読む本』(静山社文庫)
定価:¥680(税込)