第4回 バック・トゥ・半ノラ猫生活
たかが昼飯、されど昼飯の定年後亭主
団塊の世代の同級生たちが60歳で定年退職し始めました。「もう絶対にラッシュアワーの電車に乗りたくない、上司の顔色を読みたくない、部下とケンカをしたくない、嫌なことは何もしたくない…」と、電池が切れたようにバッタリと動かなくなり、確信犯的「ひきこもり現象」を起こしている連中もいます。
「65歳の年金給付まで何か仕事をするけど、とりあえず休ませて」とサボタージュしていたのが、期待する職種に恵まれず、なんとなくズルズルときて居間に根が生えちゃったケースも少なくなく、それまで「あら、いたの?」程度の半ノラ猫的存在が「家庭内常駐する」のですから、妻は戸惑うことしきりです。
「65歳の年金給付まで何か仕事をするけど、とりあえず休ませて」とサボタージュしていたのが、期待する職種に恵まれず、なんとなくズルズルときて居間に根が生えちゃったケースも少なくなく、それまで「あら、いたの?」程度の半ノラ猫的存在が「家庭内常駐する」のですから、妻は戸惑うことしきりです。
一方、午前中に一連の家事を終えて、趣味や仕事や地域活動に精出す主婦の行動タイムは、おおむね10時から16時。これが昼ご飯の準備と後片付けで分断されては、外出も集中できません。「お仲間ランチ」のお楽しみもナシとあっては、欲求不満は募るばかり。「パパ、長い間ご苦労様でした」とにこやかに迎えた定年退職、あの日の気持ちは今やいずこです。
「夫在宅症候群」の傾向と対策
それでもメリーちゃんと夫を置き去りにして、元気に外で盛り上がれる妻は大丈夫。「この間までチヤホヤされて威張っていたのに可哀そう」という仏心や、「(飼われている犬ではない、結婚事業の共同経営者です!とアタシが百万遍も説き続けているのに)これまで養ってもらったから」と遠慮した妻が「家庭内部下」役をやってしまうと大変です。昼ご飯どころか、家事、家計のやりくりまで「ド素人」に指示・伝達されたら長年の良妻賢母も自信喪失、ウツ気味になり、悪くすれば「夫在宅症候群」なる摩訶不思議、治療不能な(更年期障害によく似た不定愁訴の)心身症にまっしぐらかもしれません。
ビートルズの「ラブ&ピース」に熱狂した団塊の世代ですが、結婚に関しては上の世代の価値観がずれこみ、男性と女性では相手に望むものが食い違っていたのでしょう。仕事人間の夫にとってのいい女房は「ライフラインを支えるピットイン」だけど、男女平等で育った妻は精神性を重視した「心のパートナー」を渇望していたのだと思います。
11月22日を前に「いい夫婦の日をすすめる会」の調査によれば、五十代以降で「生まれ変わったらもちろん今のパートナーを選ぶ」と答えたのは夫グループの36%に対し、妻グループは20%だったとか。5人に4人が潜在的熟年離婚予備軍だとすれば、「別居しない限り治らない」と懸念される「夫在宅症候群」にさせないためにも、亭主族は健康な両手を使って「昼ごはん」くらいは自給自足しましょう。
老人医学、脳神経学、循環器科のプロによれば、「晴耕雨読、好きなことだけして嫌なことはやらない、悩み・ストレスもなく、こまごまと身の回りの世話をしてもらえる状態だと(脳がサボって)最速・最短距離で認知症に到達する可能性が大」だそうです。
日に何度もカッカと怒ったり、他人とモメたり、深刻に困ったり悩んだり、びっくりしたり、大笑いしたり、感動したりして脳の各部署への血流をよくすること。つまりボーッとひきこもっちゃダメ、テレビの前で根が生えてもダメ、「バック・トゥ・半ノラ猫生活」こそ、老化防止の最優先課題です。さあ、団塊世代諸君、さっさと電池を入れかえ、「枕を捨てて町に出よう!」を実践しましょう。
ビートルズの「ラブ&ピース」に熱狂した団塊の世代ですが、結婚に関しては上の世代の価値観がずれこみ、男性と女性では相手に望むものが食い違っていたのでしょう。仕事人間の夫にとってのいい女房は「ライフラインを支えるピットイン」だけど、男女平等で育った妻は精神性を重視した「心のパートナー」を渇望していたのだと思います。
11月22日を前に「いい夫婦の日をすすめる会」の調査によれば、五十代以降で「生まれ変わったらもちろん今のパートナーを選ぶ」と答えたのは夫グループの36%に対し、妻グループは20%だったとか。5人に4人が潜在的熟年離婚予備軍だとすれば、「別居しない限り治らない」と懸念される「夫在宅症候群」にさせないためにも、亭主族は健康な両手を使って「昼ごはん」くらいは自給自足しましょう。
老人医学、脳神経学、循環器科のプロによれば、「晴耕雨読、好きなことだけして嫌なことはやらない、悩み・ストレスもなく、こまごまと身の回りの世話をしてもらえる状態だと(脳がサボって)最速・最短距離で認知症に到達する可能性が大」だそうです。
日に何度もカッカと怒ったり、他人とモメたり、深刻に困ったり悩んだり、びっくりしたり、大笑いしたり、感動したりして脳の各部署への血流をよくすること。つまりボーッとひきこもっちゃダメ、テレビの前で根が生えてもダメ、「バック・トゥ・半ノラ猫生活」こそ、老化防止の最優先課題です。さあ、団塊世代諸君、さっさと電池を入れかえ、「枕を捨てて町に出よう!」を実践しましょう。
(2008年11月28日)
- 宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
- http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/