第23回 主人在宅ストレス症候群、何、ソレ?
更年期障害は数年、長く続くときは疑ってネ
軽いものは脱力感、冷や汗、震え、憂鬱、だるさ、やる気が起きない、めまい、食欲不振等から、病院に行かなければならないアトピー性皮膚炎、ストレス性高血圧、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、気管支ぜんそく、過敏性大腸症候群、内臓の病気までいーろいろ。しかも発症は50代なのでほとんど間違いなく最初は「更年期障害」を疑われて婦人科へ。そのあと内科だ、消化器外科だ、耳鼻咽喉科だ、皮膚科だとだいたい一巡して、山のようにお薬を飲んで、ぜーんぜん効かなくてやっと「心療内科」に行きつくことが多いとか。
たまに「うちの女房は更年期障害の不調が20年も続いている」なんて言われても本気にしちゃいけません。更年期障害とは卵巣がまだ活動中で(つまり閉経していなくて)、でも卵巣が「勤続疲労」をおこしてしょっちゅうホルモンの分泌をサボっている状態。そこで「おらおら、しっかりせんかい!」と脳の中枢がハッパかけるものだから、神経がピリピリして自律神経失調をおこしちゃうんですねぇ。
だから閉経の前後数年間こそ辛いけど、卵巣が完全停止してしまう55歳ごろにはさっぱりしちゃうはず(ついでに「たまにはオスをひっかけてやろうか」なんていう肉食動物系欲望も消えちゃうから、「お色気の持続」には、これまでの経験と「玉三郎」級の演技力を駆使しなくちゃいけません)。よって20年も続く女房の不調は更年期障害ではなく、ほかに(おそらく常に身近に)「ストレス源」があるものと推測できます。
図式としては「亭主関白タイプの夫」と「良妻賢母タイプ、自分を抑えて夫に従うタイプの妻」という「純和風夫婦関係」に発生しやすいと言われますが、さて、現在ではどうなのでしょう?
日米格差が大きな「妻の愛情表現」
私が2003年の「CLOSE UP JAPAN」(PHP研究所)の特集で日本の女性シリーズを載せたとき、NY在住の米人女性の翻訳者が四苦八苦したのは、「ハズバンド・アット・ホーム・シンドローム」の説明だったそうです。
「夫が24時間在宅ならハッピーではないか?」
うーん、それが苦痛なわけ。「ホワイ?」つまりね、専業主婦の主な仕事は家事、育児、夫の身の回りの世話だから滞在時間が長引くと超過勤務になるのよ。「夫の世話?ナニ、ソレ?そんな英語はなーい」育児がチャイルド・ケアなんだから、ハズバンド・ケアにすればいいでしょ。
「オー、日本の夫はケアされなければ日常生活ができないほどのショウガイシャなのか?」
1997年に平井順子さんが行った「育児中の核家族の専業主婦34歳401人の調査」によれば、日常的にする「夫の身の回りの世話」は次のとおりです。
1位 夫の衣服の季節ごとの衣替え 80.6%
2位 帰宅したときに夕飯を温めて給仕する 79.8%
3位 出張や旅行のときに夫のバッグを荷造りする 62.3%
4位 夫が入浴中にパンツやパジャマやタオルを準備する 48.6%
5位 夫が脱ぎ捨てた衣服をハンガーにかけてしまう 33%
対象の主婦の現在の年齢が46歳でこれだけの「ケア率」ですから、その母親の年齢にあたる60代か70代は、100%近くが在宅しているときの夫をコマコマ世話したと思われます。「まるで8歳児の世話ではないか、日本の夫はずっと8歳か?」とあきれた翻訳者は小見出しに「日本の夫は妻に幼児のように世話してもらうときが最高にハッピーである」と書き足してくれましたわサ。当たらずとも遠からずかなぁ…。
子どもは時が来れば生活者として自立してくれますが、何十年も「生活年齢8歳児」だった夫は定年退職後も「命令や指図や干渉を常に与える8歳児」としてプレシャーや束縛感を発散しています。それが日に4、5時間ならがまんできたけど、24時間べったりだともうダメ、「うっとおしい」。でも口に出さないから体に出ちゃうのです。
こう言うと、夫たちはみな「働き終わった夫をもっと大事にしてくれてもいいんじゃないか。妻からの世話は愛情表現だろ?」と憤慨しますが、NYの女性たちはもっと違った、心の通いあう「愛し方」をしておられる様子。第一、風呂場にブリーフを届ける妻は「下心アリ」だそうですから、夫は自分で用意したほうが無難なんですと。
「夫が24時間在宅ならハッピーではないか?」
うーん、それが苦痛なわけ。「ホワイ?」つまりね、専業主婦の主な仕事は家事、育児、夫の身の回りの世話だから滞在時間が長引くと超過勤務になるのよ。「夫の世話?ナニ、ソレ?そんな英語はなーい」育児がチャイルド・ケアなんだから、ハズバンド・ケアにすればいいでしょ。
「オー、日本の夫はケアされなければ日常生活ができないほどのショウガイシャなのか?」
1997年に平井順子さんが行った「育児中の核家族の専業主婦34歳401人の調査」によれば、日常的にする「夫の身の回りの世話」は次のとおりです。
1位 夫の衣服の季節ごとの衣替え 80.6%
2位 帰宅したときに夕飯を温めて給仕する 79.8%
3位 出張や旅行のときに夫のバッグを荷造りする 62.3%
4位 夫が入浴中にパンツやパジャマやタオルを準備する 48.6%
5位 夫が脱ぎ捨てた衣服をハンガーにかけてしまう 33%
対象の主婦の現在の年齢が46歳でこれだけの「ケア率」ですから、その母親の年齢にあたる60代か70代は、100%近くが在宅しているときの夫をコマコマ世話したと思われます。「まるで8歳児の世話ではないか、日本の夫はずっと8歳か?」とあきれた翻訳者は小見出しに「日本の夫は妻に幼児のように世話してもらうときが最高にハッピーである」と書き足してくれましたわサ。当たらずとも遠からずかなぁ…。
子どもは時が来れば生活者として自立してくれますが、何十年も「生活年齢8歳児」だった夫は定年退職後も「命令や指図や干渉を常に与える8歳児」としてプレシャーや束縛感を発散しています。それが日に4、5時間ならがまんできたけど、24時間べったりだともうダメ、「うっとおしい」。でも口に出さないから体に出ちゃうのです。
こう言うと、夫たちはみな「働き終わった夫をもっと大事にしてくれてもいいんじゃないか。妻からの世話は愛情表現だろ?」と憤慨しますが、NYの女性たちはもっと違った、心の通いあう「愛し方」をしておられる様子。第一、風呂場にブリーフを届ける妻は「下心アリ」だそうですから、夫は自分で用意したほうが無難なんですと。
「家庭内別居のススメ」という最終手段もある
主人在宅ストレス症候群の処方箋は患者のタイプによっていろいろで、夫婦カウンセリングもあるし、薬やヨガ、自律訓練法などのリラックス法もいいでしょう。それでもいっこうに改善しないときは、「夫から1メートルでも遠く離れる、1分でも長く離れる」という「家庭内別居のススメ」が最高の妙薬だったと、これは女性のストレス外来の先生の内緒話。亭主の「フロ、飯、ネル」など無視して、ルンルンと友だちや仲間と旅行や遊びに行ってしまう「不良妻」は、天地ひっくり返っても絶対にかからないというのが、この摩訶不思議病のすべてのキー・ポイントだそうです。
次回は、9月25日(金)更新予定です。
次回は、9月25日(金)更新予定です。
(2009年9月11日)
- 宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
- http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/