第22回 夫婦のことは夫婦にしかわからない
アホな青年たちに結婚前の性教育は必須
大学の非常勤講師でヤンチャな学生たち(男女比6対4)を大教室で教えていたころの話です。遅刻はするわ、私語が多いわの授業を改善するのに使った手段が「最初の10分間、誰も教えなかった性教育をする」ことでした。もちろん、いいかげんなヨタ話ではなく、コラムや単行本を書くのに取材した医師や共同執筆した専門家たちから仕入れた知識や、「これは書いちゃダメだよ」と言われた内緒話のさわりとか、「学会発表されたばかりの学説」などなどをコンパクトにまとめて話したのです。
750人の受講生中、高校までに「正規の性教育」を受けたのが超有名私立出身の2人のみ。ほぼ全員の教科書がアダルト・ビデオとエロ漫画とあれば、高速道路を無免許運転しているようなものですワ。オソロシイ!
学生の中にはビデオの演出通りに「ガンメン発射」して振られた男もいたし、「襲われて抱かれれば俺に惚れるはず」と強姦ストーリーを本気で信じていたアホもいました。
「セックスの前にまず恋をしなさい!好きで好きでたまらない恋を!恋愛はテクニックでなくてコミュニケーションをとることよ!」と怒鳴りつけちまいましたわよ。
もっとも、私も含めて団塊の世代が育ったころはまだ「性の暗黒時代」、「赤ちゃんの作り方」を知らなかった人がけっこういましたね。それでも赤ちゃんはできて、そのあとのセックスライフは百人百様でした。
更年期のころ、仲良しの同級会で「最後のセックスが息子をつくったときだったから、あれから15年もたったのねぇ」と感慨深そうに呟いたのがいました。学生のころから浮世離れした子でしたが、芸術家になったあとは「天然ボケ」にますます磨きがかかって、童女のような笑顔でノホホンとしています。「ウッソォー、15年間何してたのよォ」「絶対に旦那に愛人がいる」「興信所で調べて慰謝料をがっぽり取ろう」「相手は男かも」「それもヤバイ」と蜂の巣をつついたような騒ぎになりました。
そこに水をぶっかけるように「あら、うちも5年くらいしてないわ」と別のが涼しげな顔で言います。でも、あなたのところ、毎度お手手つないで旅行に行くじゃない。「そうよ、うちでも毎晩ダブルベッドでくっついて寝ているわ」それでニャンニャンしないの?「うん、しない」「意味ないじゃん!」「湯タンポよりいいわ」
オバサン版「セックス&シティ」もなかなか迫力があるでしょ?
セックス抜きのコミュニケーションは数倍の努力を
「夫婦の話は夫婦にしかわからない」のは、「感覚の問題」だからでしょう。「ヤレばカイカーン」もいれば「ヤラナイほうがカイカーン」もいる。「同性のほうにフェロモンを感じる」タイプは宝塚でウルウルしているし、「ひとりセックスのほうが好き」な人もいます。
何に快感を求めるかは「自分と相談して」決めればいいことで、夫婦だから必ず「合体」しなければいけないというわけではありません。
15年間の空白を忘れていた彼女なんて、ストレスフルな職業の夫にしてみれば最高の「癒し系妻」で、可愛くてしょうがないでしょう。しかも女盛りを欲求不満にしなかったというなら、よほど価値観やライフスタイルが合うか、言葉かけや思いやりでまめにコミュニケーションをとっていてお互いを大事に思える関係性ができていたと思われます。これだけで「結婚の目標」にほぼたどり着いちゃったのと違いますか?
夫には夫の事情と好みがあったのでしょうし、15年気にならなかった妻は「ヤラなくてもカイカーン」のタイプなのかもしれません。それならあと15年このまま楽しいことをいっぱいやって、いい思い出をたくさんつくって、お手手つないで老境に入る。そんな夫婦のあり方があってもいいと思います。
身近で聞かされた団塊の世代の男どもの妻へのセックスレスの弁明は、だいたい次の3つですが…
「仕事とセックスは家に持ち込まない主義だから」
「兄妹みたいになってしまって近親相姦はできないから」
「子どもを抱いている母親はオンナのカテゴリーに入らない」
その顔とボディでよく言うよとあきれていたけれど、あれからン十年、誰ひとり離婚した様子もなく、今も仲良よく(ほとんどは女房の尻に敷かれて)暮らしていますから、夫婦ってホントに不思議!
もっとも、妻たちのほうも「正確な意味で」セックスレスだったかどうかは、不明ですが…
次回は、9月11日(金)更新予定です。
何に快感を求めるかは「自分と相談して」決めればいいことで、夫婦だから必ず「合体」しなければいけないというわけではありません。
15年間の空白を忘れていた彼女なんて、ストレスフルな職業の夫にしてみれば最高の「癒し系妻」で、可愛くてしょうがないでしょう。しかも女盛りを欲求不満にしなかったというなら、よほど価値観やライフスタイルが合うか、言葉かけや思いやりでまめにコミュニケーションをとっていてお互いを大事に思える関係性ができていたと思われます。これだけで「結婚の目標」にほぼたどり着いちゃったのと違いますか?
夫には夫の事情と好みがあったのでしょうし、15年気にならなかった妻は「ヤラなくてもカイカーン」のタイプなのかもしれません。それならあと15年このまま楽しいことをいっぱいやって、いい思い出をたくさんつくって、お手手つないで老境に入る。そんな夫婦のあり方があってもいいと思います。
身近で聞かされた団塊の世代の男どもの妻へのセックスレスの弁明は、だいたい次の3つですが…
「仕事とセックスは家に持ち込まない主義だから」
「兄妹みたいになってしまって近親相姦はできないから」
「子どもを抱いている母親はオンナのカテゴリーに入らない」
その顔とボディでよく言うよとあきれていたけれど、あれからン十年、誰ひとり離婚した様子もなく、今も仲良よく(ほとんどは女房の尻に敷かれて)暮らしていますから、夫婦ってホントに不思議!
もっとも、妻たちのほうも「正確な意味で」セックスレスだったかどうかは、不明ですが…
次回は、9月11日(金)更新予定です。
(2009年8月28日)
- 宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
- http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/