第18回 「巣ごもり現象」に期待したい
最近の家庭回帰現象は未来のあなたを救う
百年に一度の経済不況もいよいよ佳境に入ってきた今日この頃、巷に流行るものは「巣ごもり現象」だそうな。残業がなくなり、夜間の照明や空調による電気代の節約のため夜の7時には職場からも追い出されるらしい。会社の接待費、交際費も半減されてお偉方でも帰宅前の夜の居場所に困る事態。いわんや金欠病の男も女も、クラブだ、カラオケだ、飲み屋だと寄り道をせずに帰宅時間が早って帰巣するわけです。
「自宅待機」というお休みまである人もいて、それじゃあ家計の節約も兼ねてと男も買い物に出かけ、せっせと料理を手作りし、せっかく作ったんだから「みんなで一緒にワイワイ食べよう」と友人や家族に呼びかける。
「自宅待機」というお休みまである人もいて、それじゃあ家計の節約も兼ねてと男も買い物に出かけ、せっせと料理を手作りし、せっかく作ったんだから「みんなで一緒にワイワイ食べよう」と友人や家族に呼びかける。
マスコミはこぞって「いまどきの男たちは大変だ」と悲壮感ばかりを強調しますが、女房族からみれば「いまさら何を言ってんの。そんなの私たちが何十年も毎日やってきたことじゃない」とシラケているのと違いますか。
職場のつきあいだ、温かい飯じゃなければ嫌だと言って、あんな油だらけのランチに1000円も払うなんて信じられない。その1000円で育ち盛りの子どもたちの夕食と翌朝の弁当をこしらえてきたアタシの苦労と工夫を今ごろ気がついたか、「喝っ!!!」という感じでしょうねぇ。
「サーロイン・ステーキの切り身買っていい?」「ダメ!豚の細切れで野菜いためにして」スーパーの肉売り場の前で押し問答している熟年夫婦の会話は、なかなかほほえましいものがあります。
そう、覚えるべきはレストランで出るような料理ではなくて、サバイバル料理のほう。この先、妻に逃げられようがあの世に先に出発されようが、今の鍛練が未来のあなたを救うのよ。そう考えれば、この経済不況をマイナス面ばかりでとらえずにすみそうです。
ボトムアップで「家族を楽しむ」ムードを作ろう
戦前は、市川房枝女史を先頭に男女同権運動を繰り広げても全く歯がたたたなかった男中心社会の頑固さが、敗戦後にアメリカの命令でいとも簡単に崩壊したものの、トップダウンによる権利意識は世論のボトムアップで実現したものとは違って根付くのに長い時間がかかりました。
「男は仕事、女は家庭」の役割分担も同様で、働く女性の育児・家事の重荷はさして減っていません。だから20代独身女性の63%が「専業主婦志望」で、「ヘトヘトになるまで職場と夫にこきつかわれるなんてゴメンだわ」と女性運動の先駆者が聞いたら気絶しそうなことをおっしゃる。
逆に20代独身男性の大部分が「共働き希望」ですから、このミスマッチが非婚・晩婚化の重大要因でもありましょう。
そこに現れた「弁当男子」の増殖はある意味で「真の男女同権」の浸透かもしれないと私は思うのです。つまり、期せずして家庭回帰現象が始まり、独身者は家事経営のなんたるかを知ることになりました。既婚者は長期にわたる「不在」からおそるおそる「父帰る」をしたわけです。で、自分を迎える家族の対応がもっと悲惨かと思えばそうでもない。ソフトバンクのCMの家庭みたいに、それなりにワイワイと団欒できることに気がついちゃったんですね。「けっこう楽しい、夜の蝶やお得意様に気を使うよりリラックスできるじゃん」と。
実際、最近の小・中学生のアンケートで夜の過ごし方に「父親とテレビやDVDをいっしょに観る」が急増、しかも大半がその時間を「楽しい」と答えていますから、長いこと「父親不在」だった日本人家族のライフスタイルがこれで多少は軌道修正されるのかもしれません。
老婆心から夫族の皆様に申し上げますが、お家に帰られても、「はい、おしぼり」とサービスしてくれる「小料理屋のママ」はいません。いわんや「水割りになさるぅ?」などという妖艶なオネーチャンもおりません。
「金で買っていたサービス」を無料で提供してもらおうなんてサモシイことを考えず、家族いっしょに働いて、作って、食べて、それを楽しむというパターンを守っていくこと。それがボトムアップで世間に定着すれば、きっといい結果につながると期待しております。
次回は7月10日(金)、更新予定です。
「男は仕事、女は家庭」の役割分担も同様で、働く女性の育児・家事の重荷はさして減っていません。だから20代独身女性の63%が「専業主婦志望」で、「ヘトヘトになるまで職場と夫にこきつかわれるなんてゴメンだわ」と女性運動の先駆者が聞いたら気絶しそうなことをおっしゃる。
逆に20代独身男性の大部分が「共働き希望」ですから、このミスマッチが非婚・晩婚化の重大要因でもありましょう。
そこに現れた「弁当男子」の増殖はある意味で「真の男女同権」の浸透かもしれないと私は思うのです。つまり、期せずして家庭回帰現象が始まり、独身者は家事経営のなんたるかを知ることになりました。既婚者は長期にわたる「不在」からおそるおそる「父帰る」をしたわけです。で、自分を迎える家族の対応がもっと悲惨かと思えばそうでもない。ソフトバンクのCMの家庭みたいに、それなりにワイワイと団欒できることに気がついちゃったんですね。「けっこう楽しい、夜の蝶やお得意様に気を使うよりリラックスできるじゃん」と。
実際、最近の小・中学生のアンケートで夜の過ごし方に「父親とテレビやDVDをいっしょに観る」が急増、しかも大半がその時間を「楽しい」と答えていますから、長いこと「父親不在」だった日本人家族のライフスタイルがこれで多少は軌道修正されるのかもしれません。
老婆心から夫族の皆様に申し上げますが、お家に帰られても、「はい、おしぼり」とサービスしてくれる「小料理屋のママ」はいません。いわんや「水割りになさるぅ?」などという妖艶なオネーチャンもおりません。
「金で買っていたサービス」を無料で提供してもらおうなんてサモシイことを考えず、家族いっしょに働いて、作って、食べて、それを楽しむというパターンを守っていくこと。それがボトムアップで世間に定着すれば、きっといい結果につながると期待しております。
次回は7月10日(金)、更新予定です。
(2009年6月26日)
- 宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
- http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/