第11回 ジャック&ベティ世代の嘆き
政治家も人気稼業、演出が必要
この御人、ほとんどオバマになりきって執筆や演出もするんですってネ。演説内容も充実しているし、シャープでクールでイケてる言葉も多用しておおいに人心をつかんでいるようですが、何といっても「読み手の声」がいいですね。力強いのに威嚇せずソフト、男らしいのにどこか色っぽい。
「歌舞伎でいえば海老蔵」カシラと、団塊の世代のおばちゃまたちはキャピキャピ騒いでおります。
政治家も人気稼業。先日の議会演説もそうだけれど、(アンチョコはあるはずですが)右に左に視線を移しながら、念を押すような話し方は、
「芯からそう思ってんだよ、俺は!」
というアピール力に満ちており、どこかの国の間の抜けたしどろもどろ会見とは月とスッポンです。
どうせここまで混乱し尽したんだから、この際ピンチをチャンスに。次期首相は国会議員全員のスピーチ・コンテストをして国民投票で選んだらどうかと、アタクシは本気で考えてますのよン。国際社会に通用する政治家の「海老さま」を演出するプロはいないのでしょうか?
ところでオバマ氏の名演説、全部聞き取れたら感動もんでしょうねぇ。われわれ団塊の世代のアキレス腱は英語力の中途半端さ、特にヒアリングとスピーキングの弱さです。
英文科でアルファベットの海を泳がされたアタクシも、幸か不幸か一度も海外駐在を経験しないで「缶詰英語」のまま。近年さびつきと劣化は著しく、海外渡航先で雨あられと降り注ぐ英語から、適当な単語と短文を拾い上げて何とか間に合わせてるザマであります。同じようなコンプレックスから、我が子や孫に英会話力をつけたいと素朴に思っている人は、結構多いのではありませんか?
ペラペラ英語よりキチンと習った英語が格上
そもそも団塊の世代は「ジャック&ベティ」で「What is this?」「This is a pen.」という(目の前にあるこれがアヒルに見えるかい?と言われそうな)、「人生で絶対に使わない無用の会話」を学ばされた不運な子どもたちでした。
私などは入学試験で若い米人女性が読み上げる文章の書きとりで玉砕したものヨ。
「エイ・バタフライ」(料理の名前?)
「エイ・カー」(土地の広さ?)
「エイ・メン」(アーメンの方言?)…
とパニくって青くなり、あとでネイティブは「a」をそう読むこともあると知って呆然。当時は皆、「英語読みの英語知らず」でした。
映画のセリフを真似して「ワーラー」(おみじゅ=お水)「ウォッチヤー・ネー」(名めえは?=名前は?)「バックス」(1ドル札)「ファッキュー、シット」(…!)と言ったら、米人教師に「それはディッシュ・ウオッシャーズ(皿洗い・当時は下層移民階級の意味もあった)の英語、使ってはいけません」とこっぴどく叱られたものです。
「ペラペラと早口でまくしたてたり、かぶせたり、つなげてしゃべるのはおそろしく品の悪い英語。ゆっくりと単語の語尾をきちんと発音し、教育を受けた証拠として三単現のsと現在完了形を使うこと。品格のある英語を話せば必ず相手が耳を傾け、ビジネスでもプライベートでも成功するでしょう」
後年、この忠告がどれほど我が身を助けたかしれません。
今、わが子をバイリンガルにしたいと望む親が多いのですが、成人するまで二か国語を半々に使える生活&教育環境が必要。中断すれば、いかにもペラペラと流ちょうな英語に聞こえても「チョーきもいよね、あいつ」みたいな幼稚な語感が出てしまうもの。中学生ぐらいで戻ってきた帰国子女たちのひそかな悩みでもあります。
「アイデンティティは日本人」としておきたいなら英語はツールとわりきって、まず正確な文章力を。思春期ごろからスピーチ力を鍛えていっても間に合うのは、ゴルフの石川遼くんで証明ずみです。
私などは入学試験で若い米人女性が読み上げる文章の書きとりで玉砕したものヨ。
「エイ・バタフライ」(料理の名前?)
「エイ・カー」(土地の広さ?)
「エイ・メン」(アーメンの方言?)…
とパニくって青くなり、あとでネイティブは「a」をそう読むこともあると知って呆然。当時は皆、「英語読みの英語知らず」でした。
映画のセリフを真似して「ワーラー」(おみじゅ=お水)「ウォッチヤー・ネー」(名めえは?=名前は?)「バックス」(1ドル札)「ファッキュー、シット」(…!)と言ったら、米人教師に「それはディッシュ・ウオッシャーズ(皿洗い・当時は下層移民階級の意味もあった)の英語、使ってはいけません」とこっぴどく叱られたものです。
「ペラペラと早口でまくしたてたり、かぶせたり、つなげてしゃべるのはおそろしく品の悪い英語。ゆっくりと単語の語尾をきちんと発音し、教育を受けた証拠として三単現のsと現在完了形を使うこと。品格のある英語を話せば必ず相手が耳を傾け、ビジネスでもプライベートでも成功するでしょう」
後年、この忠告がどれほど我が身を助けたかしれません。
今、わが子をバイリンガルにしたいと望む親が多いのですが、成人するまで二か国語を半々に使える生活&教育環境が必要。中断すれば、いかにもペラペラと流ちょうな英語に聞こえても「チョーきもいよね、あいつ」みたいな幼稚な語感が出てしまうもの。中学生ぐらいで戻ってきた帰国子女たちのひそかな悩みでもあります。
「アイデンティティは日本人」としておきたいなら英語はツールとわりきって、まず正確な文章力を。思春期ごろからスピーチ力を鍛えていっても間に合うのは、ゴルフの石川遼くんで証明ずみです。
(2009年3月13日)
- 宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
- http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/