第33回 冬の風物詩がやってきました
戦争を知らない世代がわかりあえる共通点「受験」
2月ですねぇ。またまた受験の季節ですねぇ。
このところ、単民族国家なのにライフスタイルの多様化で「百花繚乱」の趣きがある我が国で、国民レベルで共通する話題や共感がどんどん薄れていくような気がします。思い起こせば戦前生まれの日本人にはあの悲惨な戦争が「共通体験」としてしみ込んでいました。犠牲者数が330万人ですから、身内や親類、友人に死者がいないほうが珍しいでしょう。高齢者3人が集まれば、初対面の人たちでも戦中の苦労話で盛り上がるとか。
戦後生まれの団塊の世代だって、白衣の傷痍軍人が街角で喜捨を求めていたり、オンボロな引揚者寮の風景をフラッシュバックのように思い出せます。昭和20年代の終わりの頃は誰もかれもが「命あるもの」に優しかったですねぇ。迷い猫や野良犬に餌をあげたり、残りご飯をおむすびにして(あの頃は「職業」としてやっていた)「乞食」に与えたり、近所の火事に町内中で駆けつけるや、驚くほどの組織力でバケツリレーをしてボヤのうちに消しとめたり…。不運や不幸に負けそうな人たちを「ともかく、生きていてよかったじゃないの」と慰め励ましたものです。みんなビンボーだったけど、心が温かな時代でした。
その戦争を知る世代が少数派になった現在、日本人全員の心の琴線に触れる「共通体験」といえば自分や兄弟、子どもの「受験戦争」が筆頭でしょう。「耐えて耐えて花開く」、「パァーッと潔く桜が散る」という日本独特の美意識も働いて、あれは一種の通過儀礼でしょうナ。評価はいろいろあれど、全体に軟弱傾向にある今日この頃を思うと、若いうちに真剣に進路を選択して、競って焦って、挫折して這い上がるような「痛みを伴う」体験を一度ぐらいさせておいたほうがよろしいのでは。くれぐれも「大学全入」なんて非国民的思いつきを文科省あたりがしないよう、心ひそかに願っております。
このところ、単民族国家なのにライフスタイルの多様化で「百花繚乱」の趣きがある我が国で、国民レベルで共通する話題や共感がどんどん薄れていくような気がします。思い起こせば戦前生まれの日本人にはあの悲惨な戦争が「共通体験」としてしみ込んでいました。犠牲者数が330万人ですから、身内や親類、友人に死者がいないほうが珍しいでしょう。高齢者3人が集まれば、初対面の人たちでも戦中の苦労話で盛り上がるとか。
戦後生まれの団塊の世代だって、白衣の傷痍軍人が街角で喜捨を求めていたり、オンボロな引揚者寮の風景をフラッシュバックのように思い出せます。昭和20年代の終わりの頃は誰もかれもが「命あるもの」に優しかったですねぇ。迷い猫や野良犬に餌をあげたり、残りご飯をおむすびにして(あの頃は「職業」としてやっていた)「乞食」に与えたり、近所の火事に町内中で駆けつけるや、驚くほどの組織力でバケツリレーをしてボヤのうちに消しとめたり…。不運や不幸に負けそうな人たちを「ともかく、生きていてよかったじゃないの」と慰め励ましたものです。みんなビンボーだったけど、心が温かな時代でした。
その戦争を知る世代が少数派になった現在、日本人全員の心の琴線に触れる「共通体験」といえば自分や兄弟、子どもの「受験戦争」が筆頭でしょう。「耐えて耐えて花開く」、「パァーッと潔く桜が散る」という日本独特の美意識も働いて、あれは一種の通過儀礼でしょうナ。評価はいろいろあれど、全体に軟弱傾向にある今日この頃を思うと、若いうちに真剣に進路を選択して、競って焦って、挫折して這い上がるような「痛みを伴う」体験を一度ぐらいさせておいたほうがよろしいのでは。くれぐれも「大学全入」なんて非国民的思いつきを文科省あたりがしないよう、心ひそかに願っております。
「受験」で出会った心優しい人たち
今を去る四十ン年前、風邪熱を発したまま国立オチャノミソ大を受験し、「規則だから」と2日間、休憩時間と昼食時に戸外に放り出されて吹きさらしの中で歯の根があわず、あえなく撃沈したアタクシでありました。(阪神大震災のとき、避難所に作りたての温かいお弁当が届いていながら、「冷えたお弁当と差がつくのはいけない」とわざわざ戸外に出して「冷やしてから配った」というバカ役人の話を聞いた時、この国立大の職員の融通のなさを思い出したものです)
一方、滑り止めで受験した小さな私立女子大ではホスピタリティの伝統で、寮の宿泊から試験中まで在校生がこまやかに世話をし、受験生の体調を心配し、ひざかけ毛布や熱い飲み物を配ってくれました。生意気な少女の目から鱗がポロリ、「ヒトには偏差値よりブランド名より、もっと基本的で大事なことがある」と思い知らされたのであります。
一方、滑り止めで受験した小さな私立女子大ではホスピタリティの伝統で、寮の宿泊から試験中まで在校生がこまやかに世話をし、受験生の体調を心配し、ひざかけ毛布や熱い飲み物を配ってくれました。生意気な少女の目から鱗がポロリ、「ヒトには偏差値よりブランド名より、もっと基本的で大事なことがある」と思い知らされたのであります。
「国境なき医師団」にあこがれた内向的で「あがり症」な我が息子が地方の大学の医学部をひとりで受験しに行った時の話。地元随一の「老舗ホテル」の「豪華受験パック」を選んだら、夕食が結婚披露宴と同じフルコースメニュー。たった一人のテーブルでボーイのサービスを受けて完全に舞い上がった少年は、ズラリ並んだナイフとフォークを逆の順序で使って、「小さくて切れないナイフ」で最後の分厚いステーキと大格闘します。そして「前夜の夕食時にアガリを使い果たした」おかげで、試験当日は全くの平常心になり、見事合格。これも老舗ホテルの「受験生向けサービス」のうちだったのかもしれませんネ。
失敗はチャンスとの出会いでもあります
だれもが受験生に優しく、心温かく接してくれる今の時期は、貴重な日本の「風物詩」なのだと思います。思いがけない触れ合いも楽しめれば、ツライことばかりではないと気がつくでしょう。
余談ですが、ウチは第一志望はポシャる家系らしく。人生は「敗者復活戦の連続だ」と開き直って、全員セカンドラインで活路を開きました。受験生諸君、落ちても「次」や「次の次」があります。失敗はチャンスとの出会いだから、怖れずに挑戦してください。ではグッドラック!
次回は、2月26日(金)掲載予定です。
余談ですが、ウチは第一志望はポシャる家系らしく。人生は「敗者復活戦の連続だ」と開き直って、全員セカンドラインで活路を開きました。受験生諸君、落ちても「次」や「次の次」があります。失敗はチャンスとの出会いだから、怖れずに挑戦してください。ではグッドラック!
次回は、2月26日(金)掲載予定です。
(2010年2月12日)
- お知らせ
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宮本まき子先生の新刊本が、12月16日、PHP研究所より出版されました。
「自分も幸せになる「姑道」十カ条」
ご注文の際は、直接出版元にお問い合わせください。
※書店でのお取り扱いはありません
ご連絡先 : PHP研究所 通販普及課 マナビカ係 075-681-8818
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宮本まき子先生へのお問い合わせはホームページから
http://homepage3.nifty.com/makiko-miyamoto/