第70回 夏が過ぎてわかったこと
なせばなる「一億総節電」
そう思うと文章はこまめにディスクに保存し、ご飯はレンジでチンのレトルトを買い揃え、シャーベットは自然消滅する前に胃の中で消滅させちゃって、ろうそくも懐中電灯も、LEDの電池式ランタンも揃えて、「さあ来い、大停電」の準備万端でおりました。
しかしながら、企業は思い切った操業変更をし、公共・商業施設も薄暗い中でエアコンを極端に制限。企業ビルでもクールビズに団扇や扇子バタバタの風景が普通になり、副産物として女性たちが悩まされた「冷房病」が一掃されたそうですから、何事もやってみなけりゃわからないものですね。国家規模の非常時に、東北の被災者を思えば不満は言えないと、みんなでがんばった結果だと思います。
団塊の世代とジュニア世代の発想の落差
私の周囲でも自衛策はさまざまでした。家庭内の電力消費はエアコン、照明、冷蔵庫で50%だからと電球を片端からLEDに取り替えた人、ベランダいっぱいに遮光ネットをはりめぐらしたりゴーヤやへちまの葉を茂らせて日陰を作ってエアコンを止めた人、本と飲み物持参でショッピングモールの休憩コーナーで「街中避暑」を楽しんでいた人などなど。
電気料のメーター計測請求書に「あなたの7月分の電力消費は○○キロワット、昨年の同時期は××キロワット」とばっちり書かれて落ち着かなくなったのが団塊世代以上の人たち。
「ヘアドライヤーも電子レンジもテレビもパソコンも使えなかったら死んじゃうじゃん」と動じなかったのが団塊ジュニア以下の人たち。
前者は90%が「不便になっても脱原発で安全な暮らし」を望み、後者は70%が「リスクがあっても便利な生活」を望んだと作家の倉本聰氏が嘆いておられましたが、「消費文明」を焚きつけた世代として猛反省すべきでしょう。
思い起こせばバブル期に中高生の間で「朝シャン」なる奇習が大流行したとき、「昨夜髪を洗って、なぜ翌朝も洗わなければならないのか?」を問い詰めるのをサボりました。「清潔」を持ち出されると「もったいない」という小言は霧散。湯水が浪費され、ヘアドライヤーで朝の消費電力が一時的に高くなる社会現象を見て見ないふりをしちゃったでしょ。ああ、やはりツケはきたのだと思います。
電気料のメーター計測請求書に「あなたの7月分の電力消費は○○キロワット、昨年の同時期は××キロワット」とばっちり書かれて落ち着かなくなったのが団塊世代以上の人たち。
「ヘアドライヤーも電子レンジもテレビもパソコンも使えなかったら死んじゃうじゃん」と動じなかったのが団塊ジュニア以下の人たち。
前者は90%が「不便になっても脱原発で安全な暮らし」を望み、後者は70%が「リスクがあっても便利な生活」を望んだと作家の倉本聰氏が嘆いておられましたが、「消費文明」を焚きつけた世代として猛反省すべきでしょう。
思い起こせばバブル期に中高生の間で「朝シャン」なる奇習が大流行したとき、「昨夜髪を洗って、なぜ翌朝も洗わなければならないのか?」を問い詰めるのをサボりました。「清潔」を持ち出されると「もったいない」という小言は霧散。湯水が浪費され、ヘアドライヤーで朝の消費電力が一時的に高くなる社会現象を見て見ないふりをしちゃったでしょ。ああ、やはりツケはきたのだと思います。
9・11後、家族回帰が強まった合衆国
ニューヨークで9・11テロがおきたとき、「シングル王国」とまで言われた合衆国でにわかに「結婚ブーム」が起き、離婚数が減少したそうです。突然数千人が命を落としたあの日、NY在住の知人の息子さん2人が巻き込まれました。知人は失神せんばかりに驚愕し、いっきに十歳も老け込んだとか。
しかし、次男は常にない大渋滞にまきこまれて空港にたどり着けず、ハイジャック機に乗りそびれます。長男は妻が夜中に産気づいて病院に付き添っていき、遅刻して世界貿易センタービルの地下鉄の駅で爆風に吹き飛ばされました。封鎖で立ち往生の次男は数時間後に母親に電話連絡がとれます。彼女が受話器に号泣しているところに、灰のお化けみたいになった長男が徒歩でたどり着きました。会社経営もするバリバリの超キャリアウーマンの知人は「この日ほど家族を想ったことはない」と後日しみじみ回想してましたっけ。
合衆国ではこの時を境に家族回帰が強まり、同棲より結婚が増加し、離婚数が減って親子関係が親密になったというのが定説。この現象が震災後の日本でもジワジワと広がっているようです。
しかし、次男は常にない大渋滞にまきこまれて空港にたどり着けず、ハイジャック機に乗りそびれます。長男は妻が夜中に産気づいて病院に付き添っていき、遅刻して世界貿易センタービルの地下鉄の駅で爆風に吹き飛ばされました。封鎖で立ち往生の次男は数時間後に母親に電話連絡がとれます。彼女が受話器に号泣しているところに、灰のお化けみたいになった長男が徒歩でたどり着きました。会社経営もするバリバリの超キャリアウーマンの知人は「この日ほど家族を想ったことはない」と後日しみじみ回想してましたっけ。
合衆国ではこの時を境に家族回帰が強まり、同棲より結婚が増加し、離婚数が減って親子関係が親密になったというのが定説。この現象が震災後の日本でもジワジワと広がっているようです。
父性愛・祖父性愛がどっとあふれた?
この夏は行楽地に行っても、お祭りに行っても、平日にショッピングモールに行っても、いるわいるわの親子連れ、孫連れです。政府肝いりであれだけ「男の子育て」をアピールしても遅々として進まなかったのに、「なに、このパパ&ジイジ軍団!?」とビックリするほど、大勢の男たちが家族連れで出没。それもシブシブ家庭サービスという感じはなく、先頭にたって引っ張っている様子じゃありませんか。
人智でも天災は防ぎえないものだとつくづく知らされた3・11以降、縁あって家族になったのだから、生あるうちに少しでも楽しい時を過ごしたい、幼い命を守る義務を果たしたいという父性愛がどっとあふれてきたと言えそうです。
それも「アタクシ、じゅうぶんに育てたからもう不足はございません」と開き直る女性陣より、「俺、何もしてこなかった。思い出さえこしらえてこなかった」という男性陣に焦りがアリアリ。もちろん自分の時代の子育ては手抜きをし、孫の子守も苦手だなぁと遠巻きに構えていた団塊世代ジイジも例外ではありません。
家族とは単に生活共同体ではなく、血をつなげ、歴史を語り継ぐ存在だった。頼り頼られる「家族愛」の絆で結ばれて、無くしてはいけない人たちだったと、この半年で誰もが実感したのでしょう。
現に居酒屋、飲み屋、キャバクラなど、既婚未婚を問わず男性陣でにぎわう場所から深夜、「父親族」が消えて久しいとのこと。半年も続くと言うのは、単に被災地をおもんばかっての自粛だけではなさそうです。
この家庭回帰、家族回帰が世間の本流になっていくなら、次の民主党政権はメンツをかけて「こども手当」の名称存続にこだわっているヒマはありません。「家族再構築を可能にする政策」こそ、最大のウリになるのではありませんか?
次回は、9月9日更新予定です。
人智でも天災は防ぎえないものだとつくづく知らされた3・11以降、縁あって家族になったのだから、生あるうちに少しでも楽しい時を過ごしたい、幼い命を守る義務を果たしたいという父性愛がどっとあふれてきたと言えそうです。
それも「アタクシ、じゅうぶんに育てたからもう不足はございません」と開き直る女性陣より、「俺、何もしてこなかった。思い出さえこしらえてこなかった」という男性陣に焦りがアリアリ。もちろん自分の時代の子育ては手抜きをし、孫の子守も苦手だなぁと遠巻きに構えていた団塊世代ジイジも例外ではありません。
家族とは単に生活共同体ではなく、血をつなげ、歴史を語り継ぐ存在だった。頼り頼られる「家族愛」の絆で結ばれて、無くしてはいけない人たちだったと、この半年で誰もが実感したのでしょう。
現に居酒屋、飲み屋、キャバクラなど、既婚未婚を問わず男性陣でにぎわう場所から深夜、「父親族」が消えて久しいとのこと。半年も続くと言うのは、単に被災地をおもんばかっての自粛だけではなさそうです。
この家庭回帰、家族回帰が世間の本流になっていくなら、次の民主党政権はメンツをかけて「こども手当」の名称存続にこだわっているヒマはありません。「家族再構築を可能にする政策」こそ、最大のウリになるのではありませんか?
次回は、9月9日更新予定です。
(2011年8月26日)
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