去る11月23日、日本介護経営学会第8回学術大会が明治大学駿河台キャンパスにて開催されました。今回の学術大会のテーマは「地域包括ケアシステム下における経営連携モデル」と題し、学会長である田中滋氏(慶應義塾大学教授)の挨拶で学会がスタートしました。
「地域包括ケアシステム」は、現在、そして今後の介護保険制度において重要なキーワードです。本大会においても、各公演者がこのキーワードを随所に交えて発表が行われました。今回のキャッチ・アップでは、同大会で発表された千葉県柏市の取り組みをお伝えします。
「地域包括ケアシステム」は、現在、そして今後の介護保険制度において重要なキーワードです。本大会においても、各公演者がこのキーワードを随所に交えて発表が行われました。今回のキャッチ・アップでは、同大会で発表された千葉県柏市の取り組みをお伝えします。
Vol.122 地域包括ケアシステムにおける経営連携モデルとは?――日本介護経営学会第8回学術大会が開催(2013/01/09)
高齢化率40%の団地から
柏市には昭和39年、特殊法人日本住宅公団(現在の独立行政法人都市再生機構)が建設をした豊四季台団地があります。平成22年10月の時点で約6000人がこの団地に住んでいますが、高齢化率が40%と全国平均を大きく上回っているのが現実です。また、建物自体の老朽化が進み、高齢化とあわせてハード面での対応が喫緊の課題でした。
こうした背景のもと、都市再生機構の豊四季台団地の立替事業を契機として、平成21年6月、柏市、東京大学、都市再生機構の三者からなる「豊四季台地域高齢社会総合研究会」が発足しました。そして翌年5月には三者で協定を締結し、現在は「高齢社会の安心で豊かな暮らし方・まちのあり方」を産(都市再生機構)・学(東京大学)・官(柏市)が一体となり、「地域包括ケアシステム」の具現化に向けて取り組んでいるところです。
こうした背景のもと、都市再生機構の豊四季台団地の立替事業を契機として、平成21年6月、柏市、東京大学、都市再生機構の三者からなる「豊四季台地域高齢社会総合研究会」が発足しました。そして翌年5月には三者で協定を締結し、現在は「高齢社会の安心で豊かな暮らし方・まちのあり方」を産(都市再生機構)・学(東京大学)・官(柏市)が一体となり、「地域包括ケアシステム」の具現化に向けて取り組んでいるところです。
柏市の取り組みからみる「地域包括ケア」の将来像
具体的な取り組みとしては「在宅医療の推進」です。現在の柏市の状況として、病院・診療所の数がともに全国平均と比較して非常に厳しい状況が続いています。さらに、高齢化の進行にともない、要支援・要介護の高齢者がこの先さらに増加することが予想されています。
このように、今後迎える超高齢化社会において、在宅医療の推進が市政の急務になっていて、在宅医療を確実に提供できるシステムを構築し、「地域包括ケアシステム」の実現を図ることは必要不可欠です。
そのためにはまず、在宅医療にかかる負担の軽減を図るシステムが必要です。具体的には、主治医の訪問診療を補完する副主治医機能を設けて、主治医・副主治医が相互に協力をして訪問診療を提供するシステムを構築することです。このシステムの事務局は柏市が担うことになります。これによって、在宅医療を担う敷居が低くなり、在宅医療を行う医師の増加が期待できます。また、共同で地域全体を支えるために医師のグループ化を図り、多くの診療所が少しずつ患者を支えるというシステムの構築に取り組むことになるのです。
また、在宅医療を行う医師の増加と質の向上を図るため、在宅医療研修プログラムを実施しています。プログラムは千葉大学医学部付属病院をはじめ、千葉県下の医療機関の協力も得ながら、東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県地域医療再生において実施します。さらには、多職種連携を容易にするための情報共有システムの構築、市民向けの在宅医療の相談・啓発についても取り組んでいくといいます。市民向けの相談・啓発事業は在宅医療推進のため、在宅医療を必要とする方々への情報提供や相談に応じて、在宅でも安心して医療・看護・介護を利用しながら生活し続けることができるということを周知していきます。
これらの実現のために、在宅医療、がん対策を含めた柏市の地域医療を支える地域医療拠点を整備します(平成25年度に運営開始を予定)。また、今回紹介した事例以外にも「地域包括ケアシステム」の具現化のために、高齢者の就労や育児等様々な取り組みを行っているといいます。
発表からは、「地域包括ケアシステム」とは産・官・学のどれか一つがかけると具現化はできない、言い換えれば、皆が共働してこそ初めて成し遂げられるものだと感じられました。三者が連携をとることは技術的にも難しい面もあるとは思いますが、柏市の取り組みは、今後の介護保険制度を持続可能なものにするための大きな指針になるのではないでしょうか。
同じことが他の自治体でも実現可能かといえば、地域の実情はさまざまなのでうまくいくとは限りませんが、参考になる部分は少なくないので、少しずつでも全国に広がればよいと願うばかりです。
このように、今後迎える超高齢化社会において、在宅医療の推進が市政の急務になっていて、在宅医療を確実に提供できるシステムを構築し、「地域包括ケアシステム」の実現を図ることは必要不可欠です。
そのためにはまず、在宅医療にかかる負担の軽減を図るシステムが必要です。具体的には、主治医の訪問診療を補完する副主治医機能を設けて、主治医・副主治医が相互に協力をして訪問診療を提供するシステムを構築することです。このシステムの事務局は柏市が担うことになります。これによって、在宅医療を担う敷居が低くなり、在宅医療を行う医師の増加が期待できます。また、共同で地域全体を支えるために医師のグループ化を図り、多くの診療所が少しずつ患者を支えるというシステムの構築に取り組むことになるのです。
また、在宅医療を行う医師の増加と質の向上を図るため、在宅医療研修プログラムを実施しています。プログラムは千葉大学医学部付属病院をはじめ、千葉県下の医療機関の協力も得ながら、東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県地域医療再生において実施します。さらには、多職種連携を容易にするための情報共有システムの構築、市民向けの在宅医療の相談・啓発についても取り組んでいくといいます。市民向けの相談・啓発事業は在宅医療推進のため、在宅医療を必要とする方々への情報提供や相談に応じて、在宅でも安心して医療・看護・介護を利用しながら生活し続けることができるということを周知していきます。
これらの実現のために、在宅医療、がん対策を含めた柏市の地域医療を支える地域医療拠点を整備します(平成25年度に運営開始を予定)。また、今回紹介した事例以外にも「地域包括ケアシステム」の具現化のために、高齢者の就労や育児等様々な取り組みを行っているといいます。
★
発表からは、「地域包括ケアシステム」とは産・官・学のどれか一つがかけると具現化はできない、言い換えれば、皆が共働してこそ初めて成し遂げられるものだと感じられました。三者が連携をとることは技術的にも難しい面もあるとは思いますが、柏市の取り組みは、今後の介護保険制度を持続可能なものにするための大きな指針になるのではないでしょうか。
同じことが他の自治体でも実現可能かといえば、地域の実情はさまざまなのでうまくいくとは限りませんが、参考になる部分は少なくないので、少しずつでも全国に広がればよいと願うばかりです。