2005年4月にスタートした「認知症を知り 地域をつくる10カ年構想」。中間年にあたる09年末の目標として掲げられていた「認知症について学んだ市民=認知症サポーターを100万人育成する」ことが、年度末を待たずに、今年5月31日に達成されました。
これを記念して7月26日、砂防会館(東京都千代田区)にて「認知症サポーター100万人達成記念大会」が開催されました。
当日は認知症サポーターやキャラバンメイト、行政関係者など、約650人が参加。認知症サポーターとして活動する団体や講座開催回数上位キャラバンメイトの表彰に、会場からは大きな拍手が贈られました。
これを記念して7月26日、砂防会館(東京都千代田区)にて「認知症サポーター100万人達成記念大会」が開催されました。
当日は認知症サポーターやキャラバンメイト、行政関係者など、約650人が参加。認知症サポーターとして活動する団体や講座開催回数上位キャラバンメイトの表彰に、会場からは大きな拍手が贈られました。
Vol.57 広げよう、続けよう、認知症理解の輪
認知症サポーター100万人達成記念大会
高齢の女性が多いサポーター
表彰に先立ち、主催の全国キャラバンメイト・連絡協議会事務局長の菅原弘子さんから、この5年間の活動が報告されました。サポーターの養成講座数をみると、平成17年度は2万9982人、18年度13万8436人、19年度27万9787人、20年度47万9860人と、年を重ねるごとに、加速度的にサポーターの数が増えていきました。講座の開催回数も、初年度の323回から、4年目には1万3629回(20年度)と40倍以上に増えたといいます。
実施主体をみると、自治体の主催が全体の90%と圧倒的ですが、受講者は「住民」が約80%に対して、「企業・団体」9%、「学校」7%、「行政」はわずか6%でした。この数字を反映するように、サポーターの年齢構成は、60歳代と70歳代以上が全体の半数以上を占め、学生や社会人の受講者が少ないという課題が浮き彫りになりました。また、男女別の内訳では、女性67%、男性33%で、ボランティアや地域活動に関心のある女性の割合が高いことがわかりました。
実施主体をみると、自治体の主催が全体の90%と圧倒的ですが、受講者は「住民」が約80%に対して、「企業・団体」9%、「学校」7%、「行政」はわずか6%でした。この数字を反映するように、サポーターの年齢構成は、60歳代と70歳代以上が全体の半数以上を占め、学生や社会人の受講者が少ないという課題が浮き彫りになりました。また、男女別の内訳では、女性67%、男性33%で、ボランティアや地域活動に関心のある女性の割合が高いことがわかりました。
功労者への感謝状
認知症サポーターは、サポーターになってからの活動が重要で、課題でもあります。そのなかでも、それぞれの地域に根ざした独自のアイデアと組織で積極的に活動している団体があります。当日は、こうした認知症サポーター21団体に感謝状が贈られました。
住民主体で地域の見守りネットワークをつくった「オレンジリングの会」(宮城県大河原町)、予防運動を開発し取り組んでいる「若竹元気くらぶ」(秋田県羽後市)、新規採用職員のすべてに講座を受けさせている「福島県警察学校」(福島県)など、活動が報告されると大きな拍手が沸き、受賞者は一様に晴れやかな表情で感謝状を手にしました。
最後には、熊本県知事の蒲島郁夫さんに対して感謝状が贈られました。蒲島知事は、全国の知事の中で唯一のサポーター。知事がサポーターになるまで、熊本県のサポーター養成数は全国でも下位でしたが、翌年には6位に急上昇。知事自らが養成講座の開催を呼びかけているといいます。
行政のリーダーが自ら活動に参加する意義は大きいです。蒲島知事は「今後は、これまでの倍にあたる5万人のサポーター養成を目標に、積極的に取り組んでいきたい」と力強く抱負を述べました。
続いて、年間20回以上の養成講座を開いている「開催上位キャラバン・メイト」に感謝状が贈られました。
住民主体で地域の見守りネットワークをつくった「オレンジリングの会」(宮城県大河原町)、予防運動を開発し取り組んでいる「若竹元気くらぶ」(秋田県羽後市)、新規採用職員のすべてに講座を受けさせている「福島県警察学校」(福島県)など、活動が報告されると大きな拍手が沸き、受賞者は一様に晴れやかな表情で感謝状を手にしました。
最後には、熊本県知事の蒲島郁夫さんに対して感謝状が贈られました。蒲島知事は、全国の知事の中で唯一のサポーター。知事がサポーターになるまで、熊本県のサポーター養成数は全国でも下位でしたが、翌年には6位に急上昇。知事自らが養成講座の開催を呼びかけているといいます。
行政のリーダーが自ら活動に参加する意義は大きいです。蒲島知事は「今後は、これまでの倍にあたる5万人のサポーター養成を目標に、積極的に取り組んでいきたい」と力強く抱負を述べました。
続いて、年間20回以上の養成講座を開いている「開催上位キャラバン・メイト」に感謝状が贈られました。
金融機関、子どもたちへのサポーター養成が課題
銀行をはじめとする金融機関では、認知症の人がATMで戸惑ったり、通帳や印鑑をなくして何度も再発行するといったトラブルが生じます。このとき、行員がどのように声をかけ、支援するかは大切です。今後、行員に向けた養成講座が開催されることを願って、実施のポイントや進行台本などが紹介されました。
さらに、元厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室長の井内雅明さんからは、小学生・中学生向きの副読本が紹介されました。現在、10代のサポーターは5万6753人、20代は4万2007人ですが、この数は全体の10%にも満たない数字です。小中学生を対象にしたサポーター養成が今後ますます増えていくことを願って作られた副読本を手に井内さんは「子どもたちが認知症について正しく理解し、支援の担い手になることはとても大切です」と、活動のさらなる広がりに期待しました。
会の後半には「もっと認知症を知ろう・リレートーク」と題して、「正しく理解すれば認知症はこわくない」(鳥取大学医学部教授の浦上克哉さん)、認知症の早期発見のしくみ」(敦賀温泉病院院長の玉井顯さん)、「今からできる認知症予防」(群馬大学医学部教授の山口晴保さん)による講演が行われ、認知症という病の正確な理解、早期発見のための活動、日常生活で行える認知症予防の方法などが紹介されました。
会場のロビーには、全国のサポーター活動を紹介した写真が張り出され、休憩時間などに多くの参加者が熱心に見入っていました。
会場のロビーには、全国のサポーター活動を紹介した写真が張り出され、休憩時間などに多くの参加者が熱心に見入っていました。
とはいえ、今後は単にサポーターの数を増やすことにとどまらず、その活動が注目されることになるでしょう。サポーターの数が増えるとともに、一人ひとりが当たり前のこととして認知症の人の生活を支援する社会を目指して、今後も活動が広がっていくことを願って止みません。