認知症の人が地域で安心して暮らし続けるためには、自治体の協力なしでは難しいものです。厚生労働省では平成19年度から、認知症地域支援体制構築等推進事業として、都道府県内がそれぞれモデル地域を選定し、町づくりを支援しています。
今回は、2月18日に東京・港区で行われた「町づくり報告会」の様子をお伝えします。
今回は、2月18日に東京・港区で行われた「町づくり報告会」の様子をお伝えします。
Vol.73 認知症の人を支える「町づくり」の現在
「町づくり報告会」(平成21年度認知症地域支援体制構築等推進事業報告会)より
3年間でのべ168地域がモデル事業を実施
平成21年度は、モデル地域が108にものぼったこともあり、いくつかの新たな動きがみられました。
・保健医療福祉といった従来の枠組みを超えて、さまざまな人とのつながり
・県内の全圏域をモデル地域として推進する県の登場(大分県)
・全市町村を対象に「県合同セミナー」を開催
・他県との情報交換、相互支援の広がり
「種が蒔かれたところで終わってしまうのではなく、成果を確認することが大切です。また、共通の課題については国に対策を求めることも必要です」(永田さん)
モデル事業実施の変遷
町づくり報告会では、モデル地域のうち「栃木県真岡市」「京都府京丹後市」「新潟県南魚沼市、津南町」の3地域から報告がありました。
真岡市は平成19、20年度のモデル地域でしたが、手上げ方式による応募の段階では「やりたいけれど、受けたら大変」(真岡市地域包括支援センターの細島弘子さん)という、受け身での応募でした。しかし、コアチームと称した定例の打ち合わせを重ね、障がい者向けの認知症サポーター養成講座や視覚障害者向けの同養成テキストの作成、WEB版認知症地域資源マップの作成を重ねるうちに、多くの課題がみえてきたといいます。
そこで21年度からは、2年間の事業の評価をもとにキャラバン・メイトのスキルアップ研修、認知症もしくは認知症が疑われる人や家族、専門職に向けた「認知症・生活支援アンケート」の実施、傾聴ボランティアを活用したもの忘れ予防教室の開催など、新たな取り組みを始めます。
細島さんは「最初はゼロからの出発でしたが、ようやくつながってきた感があります。今後は作った基盤をさらにつなげていきたい」と話します。
真岡市は平成19、20年度のモデル地域でしたが、手上げ方式による応募の段階では「やりたいけれど、受けたら大変」(真岡市地域包括支援センターの細島弘子さん)という、受け身での応募でした。しかし、コアチームと称した定例の打ち合わせを重ね、障がい者向けの認知症サポーター養成講座や視覚障害者向けの同養成テキストの作成、WEB版認知症地域資源マップの作成を重ねるうちに、多くの課題がみえてきたといいます。
そこで21年度からは、2年間の事業の評価をもとにキャラバン・メイトのスキルアップ研修、認知症もしくは認知症が疑われる人や家族、専門職に向けた「認知症・生活支援アンケート」の実施、傾聴ボランティアを活用したもの忘れ予防教室の開催など、新たな取り組みを始めます。
細島さんは「最初はゼロからの出発でしたが、ようやくつながってきた感があります。今後は作った基盤をさらにつなげていきたい」と話します。
続いて行われた京都府京丹後市の報告では、20年度のモデル事業での取り組みに加え、21年度以降の認知症対策について説明がありました。
20年度は認知症サポーターの養成と徘徊捜索模擬訓練、地域資源マップの作成などが行われました。21年度は普及・啓発、連携強化、仕組みづくりを掲げ、生活圏域の特性を活かした取り組みを展開するための場として「認知症コア・メンバー会議」を立ち上げました。これは社会福祉法人丹後福祉会の認知症委員会をベースとし、保健所のバックアップを受けたものですが、消防団の協力を得た徘徊捜索模擬訓練の実施、徘徊SOSネットワークのケアプランへの位置づけなど、主体的に動く仕組みができつつあります。
20年度は認知症サポーターの養成と徘徊捜索模擬訓練、地域資源マップの作成などが行われました。21年度は普及・啓発、連携強化、仕組みづくりを掲げ、生活圏域の特性を活かした取り組みを展開するための場として「認知症コア・メンバー会議」を立ち上げました。これは社会福祉法人丹後福祉会の認知症委員会をベースとし、保健所のバックアップを受けたものですが、消防団の協力を得た徘徊捜索模擬訓練の実施、徘徊SOSネットワークのケアプランへの位置づけなど、主体的に動く仕組みができつつあります。
最後の報告は、新潟県南魚沼市と津南町です。南魚沼市は19年度、津南町は21年度からのモデル事業への参加です。
南魚沼市は現状の課題を明確にし、地域体制、予防、早期発見、治療、介護、実態把握という柱ごとに計画を作成し、講演会やサポーター養成、医療機関連携、若年認知症の会の発足、徘徊SOS模擬訓練などを実施しました。特に徘徊SOS模擬訓練では、徘徊は平日にも起こり得ることから、よくある休日の実施ではなく、平日に実施するなど、実践的な取り組みがなされています。
津南町は、豪雪地帯の山間地にあり、早期の適切な対応がなされていない現状を鑑みた参加です。21年度は5名のコーディネーターを選定し、認知症対策推進協議会を開催。っ守り支援、予防・受診体制の検討部会をそれぞれ発足させ、皆で取り組んでいく一体感が生まれています。
南魚沼市は現状の課題を明確にし、地域体制、予防、早期発見、治療、介護、実態把握という柱ごとに計画を作成し、講演会やサポーター養成、医療機関連携、若年認知症の会の発足、徘徊SOS模擬訓練などを実施しました。特に徘徊SOS模擬訓練では、徘徊は平日にも起こり得ることから、よくある休日の実施ではなく、平日に実施するなど、実践的な取り組みがなされています。
津南町は、豪雪地帯の山間地にあり、早期の適切な対応がなされていない現状を鑑みた参加です。21年度は5名のコーディネーターを選定し、認知症対策推進協議会を開催。っ守り支援、予防・受診体制の検討部会をそれぞれ発足させ、皆で取り組んでいく一体感が生まれています。
永田さんを始め、報告者の皆さんが口を揃えたのは「継続性」。モデル事業が終わったら終わりではなく、認知症高齢者は今後、ますます増えていくことが予想されることからも、同事業をきっかけとした町づくりをいかに継続して行えるかがカギとなります。さらに今後は、地域性を活かした取り組みがよいっそう出てくることを期待しましょう。