8月28・29日の2日間にわたり、第9回日本ケアマネジメント学会研究大会が開かれました。家族の形態が変化するなか、介護保険制度をはじめとする社会保障は現在のままで制度を維持できるのか。社会構造からとらえたケアの課題などが論じられた大会の模様を紹介します。
Vol.87 第9回日本ケアマネジメント学会研究大会
地域生活とケアマネジメント
「地域での生活を支えるケアマネジメント」をテーマに、第9回日本ケアマネジメント学会研究大会が8月28、29日埼玉県新座市の立教大学新座キャンパスで開催されました。全国からの参加者は2日間で計870名。
大会の幕開けは、大会長・立教大学教授橋本正明氏による講演「ケアマネジメントへの期待〜脆弱化する家族機能を支える〜」。氏は、介護保険導入以後に起こった介護殺人などの事件に触れながら、家族を支えるケアマネジメントが一層求められていることを強調しました。
午後は、大会の目玉となる「パラサイト・シングル」の言葉の生みの親である中央大学教授山田昌弘氏による講演「迷走する現代家族と地域社会〜現代社会の構造転換と社会保障〜」が行われました。これまでの日本の社会保障は、標準的なライフコースが前提となっていたとし、家族の経済的な格差が広がっている今の時代には機能しなくなってきていると述べました。会場は立ち見もでるほどの盛況ぶりで、参加者の問題意識の高さがうかがわれました。
2日にわたったシンポジウムは「ケアマネジメントの相克」「地域における包括的ケアマネジメント」「権利擁護と家族とケアマネジメント」というもの。「権利擁護と家族とケアマネジメント」では、支援者や家族介護者からなるシンポジストが、高齢者虐待、精神疾患のある母親の子、認知症高齢者などを例に、「その人らしい生活を支えるには権利擁護の視点をもつケアマネジャーが不可欠」と、今後必要とされるケアマネジメントの焦点に言及しました。
また、1日目の夜には、日本ケアマネジメント学会が作った資格である、認定ケアマネジャーの会の全体研修会が催されました。講師には、大阪市立大学准教授岩間伸之氏がたち、支援困難事例を3つの発生要因と4つの分析枠組みから解きほぐしました。また、バイスティックの7原則に則り、対人援助おける「自己決定」とは、本人の希望や意向を一緒に見つける協働作業(二人三脚)であること、さらに援助を深めるための事例研究の重要性をあらためて述べました。
2日間をとおし、分科会ではポスターセッションもあわせて116の発表が行われ、各会場では熱心な議論が繰り広げられていました。
大会の最後は、厚生労働省老健局振興課長川又竹男氏による講演「介護保険の現状と課題」。改正に向けての議論の経過や各データを用いた現状の解説に、参加者はメモを取りながら熱心に耳を傾けていました。
次回大会は、来年6月16、17日、東京新宿で開催される予定となっています。
大会の幕開けは、大会長・立教大学教授橋本正明氏による講演「ケアマネジメントへの期待〜脆弱化する家族機能を支える〜」。氏は、介護保険導入以後に起こった介護殺人などの事件に触れながら、家族を支えるケアマネジメントが一層求められていることを強調しました。
午後は、大会の目玉となる「パラサイト・シングル」の言葉の生みの親である中央大学教授山田昌弘氏による講演「迷走する現代家族と地域社会〜現代社会の構造転換と社会保障〜」が行われました。これまでの日本の社会保障は、標準的なライフコースが前提となっていたとし、家族の経済的な格差が広がっている今の時代には機能しなくなってきていると述べました。会場は立ち見もでるほどの盛況ぶりで、参加者の問題意識の高さがうかがわれました。
2日にわたったシンポジウムは「ケアマネジメントの相克」「地域における包括的ケアマネジメント」「権利擁護と家族とケアマネジメント」というもの。「権利擁護と家族とケアマネジメント」では、支援者や家族介護者からなるシンポジストが、高齢者虐待、精神疾患のある母親の子、認知症高齢者などを例に、「その人らしい生活を支えるには権利擁護の視点をもつケアマネジャーが不可欠」と、今後必要とされるケアマネジメントの焦点に言及しました。
また、1日目の夜には、日本ケアマネジメント学会が作った資格である、認定ケアマネジャーの会の全体研修会が催されました。講師には、大阪市立大学准教授岩間伸之氏がたち、支援困難事例を3つの発生要因と4つの分析枠組みから解きほぐしました。また、バイスティックの7原則に則り、対人援助おける「自己決定」とは、本人の希望や意向を一緒に見つける協働作業(二人三脚)であること、さらに援助を深めるための事例研究の重要性をあらためて述べました。
2日間をとおし、分科会ではポスターセッションもあわせて116の発表が行われ、各会場では熱心な議論が繰り広げられていました。
大会の最後は、厚生労働省老健局振興課長川又竹男氏による講演「介護保険の現状と課題」。改正に向けての議論の経過や各データを用いた現状の解説に、参加者はメモを取りながら熱心に耳を傾けていました。
次回大会は、来年6月16、17日、東京新宿で開催される予定となっています。