毎年優れた医療福祉建築に贈られる「医療福祉建築賞」の2009年度表彰式が4月21日、東京・港区の建築会館ホールで開催されました。
とかくハードばかりに目が行きがちですが、受賞作品のいずれもが、使い勝手とアメニティを追求したものとなっています。
とかくハードばかりに目が行きがちですが、受賞作品のいずれもが、使い勝手とアメニティを追求したものとなっています。
Vol.77 利用者目線に立った、使い勝手の良い建築を目指して
――「医療福祉建築賞2009」が決定
優れた建築の条件は、ハードとソフトの融合
一般の利用者や患者からみれば、高齢者施設や病院は無機質かつとりたてて特徴のない建築物に映るかもしれません。しかしなかには、使い勝手を追求した、また居住空間としての快適性を考慮する建物があります。
1991年度の創設以来19回目を迎えた「医療福祉建築賞」は、「優れた医療福祉建築を表彰し、それを広く世に知らせることによって、これら施設の質の向上をはかること」を目的としています。ここでいう「優れた医療福祉建築」とは、建築としての質の高さのみならず、利用者や職員にとっての使い勝手も必要とされます。
1991年度の創設以来19回目を迎えた「医療福祉建築賞」は、「優れた医療福祉建築を表彰し、それを広く世に知らせることによって、これら施設の質の向上をはかること」を目的としています。ここでいう「優れた医療福祉建築」とは、建築としての質の高さのみならず、利用者や職員にとっての使い勝手も必要とされます。
受賞建築の横顔
今回の受賞は、特別養護老人ホーム1点と病院3点の計4点です。44点の応募作品のなかから選ばれたいずれもが、前述のとおり使い勝手を特徴としているといえます。
福祉施設で唯一の受賞となった「一重の里」は、宮城県仙台市にある特別養護老人ホーム「杜の里」で知られる社会福祉法人杜の里福祉会が2007年4月に開設した、定員90名(ショート30名含む)の新型特養です。暮らしの場を追求し、その工夫が随所に活かされている施設の大きな特徴は、親子や夫婦で過ごす時間を想定し、居室に設けられた3畳分の畳スペースです。場合によっては宿泊も可能なスペースは、看取りまでを想定したこれからの施設のあり方を提示しています。
栃木県医師会の塩原温泉病院は、湾曲した弓型のデザインが訪れる人の目をひきます。一般病棟49床、回復期リハビリテーション病棟100床、療養病床50床の計199床を有し、多床室に設けられた「縁側」など、アメニティと治療が融合した病院といえます。
富山県富山市にある泌尿器専門の長谷川病院は、車いす置き場や傘立て、検尿棚など細かい部分に工夫が施されています。またデザイン性にも優れ、快適性にも配慮しています。
大阪府箕面市の千里リハビリテーション病院は、全室個室ユニットの回復期リハビリテーション病院です。基準を上回るリハビリ職を配し、あえて段差を設けるなど、在宅復帰を想定したハードの工夫がみられます。
福祉施設で唯一の受賞となった「一重の里」は、宮城県仙台市にある特別養護老人ホーム「杜の里」で知られる社会福祉法人杜の里福祉会が2007年4月に開設した、定員90名(ショート30名含む)の新型特養です。暮らしの場を追求し、その工夫が随所に活かされている施設の大きな特徴は、親子や夫婦で過ごす時間を想定し、居室に設けられた3畳分の畳スペースです。場合によっては宿泊も可能なスペースは、看取りまでを想定したこれからの施設のあり方を提示しています。
栃木県医師会の塩原温泉病院は、湾曲した弓型のデザインが訪れる人の目をひきます。一般病棟49床、回復期リハビリテーション病棟100床、療養病床50床の計199床を有し、多床室に設けられた「縁側」など、アメニティと治療が融合した病院といえます。
富山県富山市にある泌尿器専門の長谷川病院は、車いす置き場や傘立て、検尿棚など細かい部分に工夫が施されています。またデザイン性にも優れ、快適性にも配慮しています。
大阪府箕面市の千里リハビリテーション病院は、全室個室ユニットの回復期リハビリテーション病院です。基準を上回るリハビリ職を配し、あえて段差を設けるなど、在宅復帰を想定したハードの工夫がみられます。
いずれの作品もここ4、5年の間に竣工された建物です。ハードを活かしたソフトの追求はこれからも続きます。