12月2日・3日、第31回日本看護科学学会学術集会(高知)が開催されました。メインテーマは、「社会とともに拓く看護の新たな知への挑戦」です。人類の歴史とともに脈々と営まれてきた看護は、人々の知恵とともに、自然・人文・社会科学の諸科学を活用して、国内外の多様な文化や価値による影響を感取しながら、「看護学」として発展してきましたが、この発展を確固たるものにするためには何が必要なのかを改めて考える学術集会となりました。
Vol.110「変革(イノベーション)する看護」「新たな知を模索する看護」とは
第31回日本看護科学学会学術集会(高知)開催
看護の知の構築に向けて
大会には全国から1500名を超える参加者が集いました。参加者の内訳は大学の教員や臨床の看護師など、臨床系というより研究色の強い学会です。一般口演・一般示説(ポスター発表)での研究発表の数は、あわせて758ありました。
野嶋佐由美先生(高知県立大学看護学部長)による会長講演から第31回の学術集会は始まりました。テーマは、「看護の知の構築にむけての方略」。躍進する看護・看護学の発展状況等についてわかりやすく解説をしていました。看護をリードする重要な見解や提言が、看護界のみならず社会に向けて発信されるようになり、看護の価値も高まってきている一方で、「看護は専門職としての自律性を確保しているか?」という問いが残っているそうです。その問いを解決するための方策の一つとして、一人ひとりの看護職者が、看護の価値をしっかりと内在化させ、看護者としてアイデンティティを確立していくこと、あるいは、各自の看護哲学や看護感を確立することが重要である、ということがわかりました。
野嶋佐由美先生(高知県立大学看護学部長)による会長講演から第31回の学術集会は始まりました。テーマは、「看護の知の構築にむけての方略」。躍進する看護・看護学の発展状況等についてわかりやすく解説をしていました。看護をリードする重要な見解や提言が、看護界のみならず社会に向けて発信されるようになり、看護の価値も高まってきている一方で、「看護は専門職としての自律性を確保しているか?」という問いが残っているそうです。その問いを解決するための方策の一つとして、一人ひとりの看護職者が、看護の価値をしっかりと内在化させ、看護者としてアイデンティティを確立していくこと、あるいは、各自の看護哲学や看護感を確立することが重要である、ということがわかりました。
続く基調講演は、南裕子先生(高知県立大学学長)による「グローバル化のなかでの看護学のあり方」。2011年4月1日に日本は国民皆保険制度発足から50年を迎えましたが、この50年の間に日本の平均寿命は世界一となり、乳幼児や成人の死亡率が著しく低下するなど、健康指標の大きな改善は常に世界の注目を浴びてきたといえます。
しかし、1970年代半ば以降の改善については、世界と比較して鈍化しているようにみえます。これには、少子高齢社会の到来、大規模自然災害の多発、疾病構造の変化など多くの要因が考えられますが、同時にグローバル化の進行も大きな背景となっており、今後日本の健康環境を改善するためには、世界規模、地球規模で健康問題とその対策を考えていく必要がある、ということを解説していました。
「国民の生命と生活を守る看護からの政策提言の在り方」と題した教育講演や「日本人の死生観とケア」をテーマとした特別講演、一般口演、一般示説などが行われ、会場が分散していたにも関わらず、限られた時間の中で活発な議論が交わされていました。
支えること、支えられること
2日目も、教育講演、30周年記念講演、シンポジウムなど盛り沢山の内容でした。「日常性のなかで尊厳を守る看護倫理」と題した教育講演では、片田範子先生(兵庫県立大学)が看護倫理について、歴史的な変遷や、ベナー博士やデービス博士の研究などを引き合いに出してわかりやすく解説をしていました。
30周年記念講演は、村木厚子氏(内閣府政策統括官)による「支えること、支えられること」。自身の体験を内容に盛り込みながら、チームワークの大切さなどを述べていました。聴講していた人たちは皆、村木氏の講演に惹きつけられておりました。
30周年記念講演は、村木厚子氏(内閣府政策統括官)による「支えること、支えられること」。自身の体験を内容に盛り込みながら、チームワークの大切さなどを述べていました。聴講していた人たちは皆、村木氏の講演に惹きつけられておりました。
2日にわたる学会では、研究発表数の数も多く、また会場も分散していたこともあり、すべてを聴講することはできませんでしたが、看護学の「今」、そして「これから」をどのように考えていくか、ほんのわずかではありますが、そのヒントを得られたように思います。
次回、第32回学術集会は、東京での開催(東京国際フォーラム)で、2012年11月30日、12月1日の日程で開催されます。