キャッチ・アップvol.24および31において、現在開催されている「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の内容について解説しましたが、11月17日に7回目の検討会が開催され、「精神保健福祉士の新たなカリキュラム(案)」が示されたので、今回はその内容を紹介します。
Vol.70 精神保健福祉士の養成のあり方は?(第3報)
中間報告書の意見をベースに
精神保健福祉士のカリキュラム見直しにあたっては、「今後の精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の中間報告書(内容については、キャッチ・アップvol.31を参照)に示された意見を踏まえ、「実践力の高い精神保健福祉士を養成する教育内容への改正を実現する」ために、平成21年3月よりワーキングチームを開催し、教育内容の見直しに向けて検討がされてきました。
ワーキングチームで検討された内容をもとに整理され、検討会に示されたものが、今回の「検討会中間報告書とワーキングチームにおける検討を踏まえた教育内容見直し案」です。
ワーキングチームで検討された内容をもとに整理され、検討会に示されたものが、今回の「検討会中間報告書とワーキングチームにおける検討を踏まえた教育内容見直し案」です。
新教育カリキュラムの枠組み(案)
「見直し案」では、新カリキュラムの枠組みなどについて、以下のように示されています。
1)教育時間数
●総時間数を、現行の1,110時間から1,200時間へ拡充する
「精神保健福祉士に求められる役割や必要となる知識及び技術を踏まえて、実践力の高い精神保健福祉士の養成をめざした教育内容の充実を図るためには、一般養成施設の現行の1年以上という修業年限を前提としつつ、教育時間数を拡充し教育内容の充実を図る」とされ、現行の総時間数から90時間増の1,200時間が示されています。
「精神保健福祉士に求められる役割や必要となる知識及び技術を踏まえて、実践力の高い精神保健福祉士の養成をめざした教育内容の充実を図るためには、一般養成施設の現行の1年以上という修業年限を前提としつつ、教育時間数を拡充し教育内容の充実を図る」とされ、現行の総時間数から90時間増の1,200時間が示されています。
2)社会福祉士との共通科目の拡大
●障害者福祉の基礎知識として欠かせない1科目を拡大する
「専門とする障害の種別にかかわらず、障害者福祉に関する法制度の基礎的な理解として欠かせない『障害者に対する支援と障害者自立支援制度』(30時間)を、新たに共通科目として盛り込む」としています。
また、現在社会福祉士の専門科目にある『相談援助の基盤と専門職』『就労支援サービス』『更生保護制度』については、「精神障害者の具体的な支援手法と不可分との観点から、教育内容の一部を専門科目の教育内容に組み入れる」と示しています。
「専門とする障害の種別にかかわらず、障害者福祉に関する法制度の基礎的な理解として欠かせない『障害者に対する支援と障害者自立支援制度』(30時間)を、新たに共通科目として盛り込む」としています。
また、現在社会福祉士の専門科目にある『相談援助の基盤と専門職』『就労支援サービス』『更生保護制度』については、「精神障害者の具体的な支援手法と不可分との観点から、教育内容の一部を専門科目の教育内容に組み入れる」と示しています。
3)専門科目の体系について
●現行の学問体系から、知識・技術を柱とした科目体系に見直す
新カリキュラムにあたっては、「これまでの学問体系による教育から、精神保健福祉士として必要とされる知識及び技術を柱とした科目体系による教育に見直し、共通科目の教育内容との整合性を図りながら、教育すべき内容の明確化と充実を行う」こととされ、「その際、共通科目となる社会福祉士の科目群も参考として、精神保健福祉士の専門となる科目の柱を組み立て、共通科目と専門科目の全体で教育内容を網羅する」としています。
また、「精神保健福祉士の専門科目の構成については、精神保健福祉士が中核の業務として担うべき役割に関する知識・技術の教育が充実できるように、他の専門科目や演習・実習科目との関連についても考慮しながら教育内容の組み立てを行うもの」とし、「これまで、専門科目で教育が行われていた内容が、一部共通科目に移行するが(障害者に対する支援と障害者自立支援制度)、専門科目の時間数を現行と同様に維持することにより、教育内容の充実を図る」と示されています。
新カリキュラムにあたっては、「これまでの学問体系による教育から、精神保健福祉士として必要とされる知識及び技術を柱とした科目体系による教育に見直し、共通科目の教育内容との整合性を図りながら、教育すべき内容の明確化と充実を行う」こととされ、「その際、共通科目となる社会福祉士の科目群も参考として、精神保健福祉士の専門となる科目の柱を組み立て、共通科目と専門科目の全体で教育内容を網羅する」としています。
また、「精神保健福祉士の専門科目の構成については、精神保健福祉士が中核の業務として担うべき役割に関する知識・技術の教育が充実できるように、他の専門科目や演習・実習科目との関連についても考慮しながら教育内容の組み立てを行うもの」とし、「これまで、専門科目で教育が行われていた内容が、一部共通科目に移行するが(障害者に対する支援と障害者自立支援制度)、専門科目の時間数を現行と同様に維持することにより、教育内容の充実を図る」と示されています。
4)専門教育カリキュラムの構成について
●専門科目に、精神保健福祉士教育の中核的な科目を創設し教育効果を高める
〈専門科目の見直し〉
専門科目の見直しにあたっては、「精神障害者に対する、相談援助の基礎的な知識と技術の理解に関する教育については、ソーシャルワークとして共通する教育内容と、精神保健福祉士に特有な教育内容とに分けて科目を創設して、各々の教育内容を充実させる」こととし、「精神保健福祉士教育の中核的となる、精神障害者を対象とする相談援助については、精神科病院等から地域までの相談援助の展開を、一環として教育ができるようにするとともに、さらに、それらの援助活動を支える精神科リハビリテーションの理論と一体的に教育する科目を創設して、知識・技術と理論との相互の教育効果を高める」とされています。
また、「近年、拡がりをみせる、精神的健康課題の理解や支援に関する教育については、現行の『精神医学』や『精神保健学』に相当する科目の中で、教育内容を充実する」「精神障害者の相談援助に係わる、各種制度や具体的なサービスについては、他の専門科目や共通科目の教育内容との整理を行いつつ、効果的な教育ができるように科目を創設する」としています。
〈科目群の検討〉
専門教育カリキュラムの構成については、科目群を参考にしつつ、基本的枠組みを検討するとしています。
一部の内容を共通科目としている社会福祉士の科目群は、
「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」
「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」
「サービスに関する知識」
「実習・演習」
となっていますが、精神保健福祉士については、この科目群に、「精神保健福祉士に特有とされる、精神科の医療機関における相談援助や、医療チームの一員としての役割を遂行するために必要となる知識と技術の科目群」(以下の(3))を加えるとしています。
【専門教育カリキュラムを検討する際の科目群(案)】
(1)「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」
(2)「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
(3)「医療と協働・連携する相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
(4)「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」
(5)「サービスに関する知識」
(6)「実習・演習」
〈専門科目の見直し〉
専門科目の見直しにあたっては、「精神障害者に対する、相談援助の基礎的な知識と技術の理解に関する教育については、ソーシャルワークとして共通する教育内容と、精神保健福祉士に特有な教育内容とに分けて科目を創設して、各々の教育内容を充実させる」こととし、「精神保健福祉士教育の中核的となる、精神障害者を対象とする相談援助については、精神科病院等から地域までの相談援助の展開を、一環として教育ができるようにするとともに、さらに、それらの援助活動を支える精神科リハビリテーションの理論と一体的に教育する科目を創設して、知識・技術と理論との相互の教育効果を高める」とされています。
また、「近年、拡がりをみせる、精神的健康課題の理解や支援に関する教育については、現行の『精神医学』や『精神保健学』に相当する科目の中で、教育内容を充実する」「精神障害者の相談援助に係わる、各種制度や具体的なサービスについては、他の専門科目や共通科目の教育内容との整理を行いつつ、効果的な教育ができるように科目を創設する」としています。
〈科目群の検討〉
専門教育カリキュラムの構成については、科目群を参考にしつつ、基本的枠組みを検討するとしています。
一部の内容を共通科目としている社会福祉士の科目群は、
「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」
「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」
「サービスに関する知識」
「実習・演習」
となっていますが、精神保健福祉士については、この科目群に、「精神保健福祉士に特有とされる、精神科の医療機関における相談援助や、医療チームの一員としての役割を遂行するために必要となる知識と技術の科目群」(以下の(3))を加えるとしています。
【専門教育カリキュラムを検討する際の科目群(案)】
(1)「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」
(2)「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
(3)「医療と協働・連携する相談援助の理念と方法に関する知識と技術」
(4)「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」
(5)「サービスに関する知識」
(6)「実習・演習」
5)教育内容(シラバス)の示し方について
教育内容(シラバス)については、「出題基準の中で網羅することとし、指導要領(通知)では詳細な内容までは示さない」としています。
6)大学等における指定科目・基礎科目について
大学等における指定科目・基礎科目については、「科目名が一致していれば足りることとされている現行の仕組みを基本的には維持する」とし、また、「指定科目・基礎科目の科目名について、現行と同様、一定の読替の範囲を設定する」こととされています。
専門科目の構成見直し(案)
専門科目における現行科目から新科目(案)への構成見直しについては、図1が示されていますので、参考にしてください。また、科目群に照らし合わせた新カリキュラムのイメージ図(図2)もまとめられています。
新教育カリキュラムの全体像(案)
新教育カリキュラムの全体像を示すものとして、表1が示されています。
この中で、「演習」の時間数については、現行の60時間から90時間へ拡充することが示されています。
また、「実習」については、「実習時間を拡充するとともに、精神科医療機関等の実習を必須にする」としています。具体的には、「これまでの実習指導や現場実習等が統合された教育内容から、実習指導と現場実習を個別科目として明確に区分するとともに、各々の教育内容を充実する」「現場実習については、精神科病院等と地域の施設等の両方で行うことが、精神保健福祉士の専門性の確保の観点から不可欠であることから、現行の時間(目安)から時間へ拡充するとともに、実習内容を充実する」「精神保健福祉士に『求められる役割』が十分に発揮できるよう教育をする観点から、精神科医療機関等における実習を必須として、90時間以上行うことを基本とするとともに、実習で経験すべき内容についても充実させる」とされています。
また、「精神保健福祉士の実践能力を高める教育として、特に実習・演習は重要であることから、大学等においても養成施設と同等の基準等を定めるべき」とまとめられています。
また、「実習」については、「実習時間を拡充するとともに、精神科医療機関等の実習を必須にする」としています。具体的には、「これまでの実習指導や現場実習等が統合された教育内容から、実習指導と現場実習を個別科目として明確に区分するとともに、各々の教育内容を充実する」「現場実習については、精神科病院等と地域の施設等の両方で行うことが、精神保健福祉士の専門性の確保の観点から不可欠であることから、現行の時間(目安)から時間へ拡充するとともに、実習内容を充実する」「精神保健福祉士に『求められる役割』が十分に発揮できるよう教育をする観点から、精神科医療機関等における実習を必須として、90時間以上行うことを基本とするとともに、実習で経験すべき内容についても充実させる」とされています。
また、「精神保健福祉士の実践能力を高める教育として、特に実習・演習は重要であることから、大学等においても養成施設と同等の基準等を定めるべき」とまとめられています。
今後の検討
今回示された新教育カリキュラム(案)は、検討会を中心にさらなる検討が進められていく予定です。今後の動向については、随時けあサポでも紹介します。
精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会(第7回)