10月24日、北海道釧路市で日本ケアマネジメント学会の地区別シンポジウムが開催されました。大会の様子をレポートします。
Vol.65 日本ケアマネジメント学会 in くしろ 釧路地区介護支援専門員連絡協議会研究大会
医療連携と認知症をキーワードに
大会テーマは「いま、介護支援専門員に求められている資質とは」。医療依存度が高い利用者、認知症高齢者の増加という現状を踏まえ、医療連携、認知症の2つをキーワードに、“求められること”が具体的に語られました。
プログラムは前沢政次氏(日本ケアマネジメント学会副理事長・北海道大学大学院医学研究科教授)による基調講演、服部万里子氏(同学会理事・立教大学コミュニティー福祉学部教授)による特別講演、道東地域の実践者によるシンポジウム、本間昭氏(認知症介護研究・研修東京センター長)による特別講演の4つ。
はじめに、前沢氏による基調講演「なぜ今医療との連携が強く求められるか」が行われました。前沢氏は、医療連携の必要性を述べた上で、「医師との面談が困難」「個人情報保護法が壁となっている」など、ケアマネジャーからよく挙げられる連携を困難にする要因を挙げ、それぞれについてどう対応すべきかを参加者にアドバイスをしました。また医師不足の現状では十分な時間をとることは難しい、ポイントを明確にした情報提供などが求められると、連携を行う上での基本的な姿勢の必要性を語りました。
続いての講演は、服部氏による「これからのケアマネジャーに求められる資質とは」。介護報酬改正でさまざまな加算が創設されたものの、居宅介護支援費の基本単価は据え置かれ居宅介護支援事業所の経営がさらに悪化している現状を説明し、また来年度には介護保険法の介護保険法の改正が控えていることからも、ケアマネジャーの支援の質の高さによって、その有用性を示さなければならないとしました。
シンポジウム「道東地域での医療連携・認知症ケアの実践と課題」では、地元の実践者3名をシンポジストにコーディネーターの服部氏との討議が行われました。認知症対応型通所介護で実践する認知症ケア、帯広市介護支援専門員連絡協議会が作成した連携フォームの紹介、地域包括支援センターによる医療との連携が報告されました。
研究大会の最後は、本間氏による「認知症ケアの現状と今後の課題」。本間氏は事例を交え、よりよい認知症ケアの実践について述べました。講演のなかでは、身体疾患、心理的な状況、環境や認知症の種類(アルツハイマー型やレビー小体型など)を踏まえたアセスメントの重要性を強調。また、今後の課題として、全ての関係者の啓発と認識の改め、早期発見・診断・治療、支える受け皿づくりの3点を挙げました。
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今研究大会の講演のなかでは、「ケアマネジャーが実践していることを社会に向かって発信すること」の重要性を強調する声が何度も聞かれました。大会テーマともなっている資質の向上とも合わせ、実践者自らがケアマネジャーの社会的意義を自覚することの必要性を改めて認識する場となったのではないでしょうか。