皆さんは「同行援護」というサービスをご存知ですか? 同行援護とは、重度の視覚障害のある人に対して今年10月1日から始まる障害者自立支援法に基づくサービスのことです。今回のキャッチ・アップでは、この新サービスについてお伝えします。
Vol.100 新サービス「同行援護」を大解剖!
同行援護とは?
視覚障害のある人の社会参加の実現に欠かせない「ガイドヘルプサービス」は、2011(平成23)年10月1日より、新たに障害者自立支援法に基づく「同行援護」として、サービスが提供されることとなりました(図)。その目的として「視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行して行う移動の援護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等の外出に必要な援助とする」(障害者自立支援法第5条第4項)とされています。
全国一定水準のサービスを提供
これまでのガイドヘルプサービスは、地方自治体の判断により事業が展開される「移動支援事業」として提供されてきましたが、自立支援給付の「同行援護」として位置づけられることで、全国で一定水準のサービスが提供されることとなります。また、他のサービスと同様、利用者負担についても低所得者に配慮した軽減策が設けられています。「同行援護」の大きな特徴は、以下のとおりです。
・ | 対象者は、視力障害、視野障害、夜盲などによる移動障害のある人で、独自のアセスメント調査票を用いて判定。 「身体介護を伴う」視覚障害者については、アセスメント調査票に加え、市町村による障害程度区分認定を受けてサービスを利用する。 |
・ | サービス提供者は、「同行援護従業者養成研修」の受講を義務づけられる(経過措置あり)。 |
・ | サービス内容に、視覚的情報の提供として「代筆と代読」を追加 等。 |
携わる人の資格要件は?
同行援護サービスを提供する同行援護従業者の資格要件としては、同行援護従業者養成研修(表1、一般課程20時間)を修了した者等とされています。ただし、2014(平成26)年9月30日まで経過措置が設けられています(図2)。
≪表1≫同行援護従事者の養成研修カリキュラム
【一般課程】
【応用課程】
【一般課程】
区分 | 科目 | 時間数 | 備考 |
---|---|---|---|
講義 | 視覚障害者(児)福祉の制度とサービス | 1 |
|
同行援護の制度と従業者の業務 | 2 |
|
|
障害・疾病の理解(1) | 2 |
|
|
障害者(児)の心理(1) | 1 |
|
|
情報支援と情報提供 | 2 |
|
|
代筆・代読の基礎知識 | 2 |
|
|
同行援護の基礎知識 | 2 |
|
|
演習 | 基本技能 | 4 |
|
応用技能 | 4 |
|
|
合計 | 20 |
|
【応用課程】
区分 | 科目 | 時間数 | 備考 |
---|---|---|---|
講義 | 障害・疾病の理解(2) | 1 |
|
障害者(児)の心理(2) | 1 |
|
|
演習 | 場面別基本技能 | 3 |
|
場面別応用技能 | 3 |
|
|
交通機関の利用 | 4 |
|
|
合計 | 12 |
|
|
注:この表に定める研修の課程は、一般課程に定める内容以上の研修の課程を修了した者を対象として行われるものとする。 |
資料:厚生労働省
≪図2≫同行援護従事者の資格要件
都道府県による人材育成に期待
支援費制度の導入以降、市町村に委ねられていたガイドヘルプ(移動支援)の考え方や技術は、市町村間によって異なるものになっていました。しかし、「同行援護」が自立支援給付に位置づけられたことで、都道府県が人材養成・育成の責務を担うこととなり、同行援護サービスの質の確保という重要な課題に向けて取り組まれることになります。
同行援護従業者研修カリキュラムにおいても、情報提供支援のための講義が加わり、また「全盲」中心で学んできた内容に「弱視(ロービジョン)」も加えられました。視覚障害のある人の安心・安全な移動を実現するために、専門職には、視覚障害者に関する基礎知識に加え、安全な移動支援技術の獲得が必須となります。
*2011(平成23)年9月22日、10月1日から施行される同行援護等に関する政省令・告示等が公布されました。
同行援護従業者研修カリキュラムにおいても、情報提供支援のための講義が加わり、また「全盲」中心で学んできた内容に「弱視(ロービジョン)」も加えられました。視覚障害のある人の安心・安全な移動を実現するために、専門職には、視覚障害者に関する基礎知識に加え、安全な移動支援技術の獲得が必須となります。
*2011(平成23)年9月22日、10月1日から施行される同行援護等に関する政省令・告示等が公布されました。