日差しが輝きを増しはじめる6月3日〜5日までの3日間、沖縄県宜野湾市・沖縄コンベンションセンターで「第46回社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第9回日本精神保健福祉学会」が開催されました。沖縄での開催は、第24回大会に続く2回目です。
大会テーマは、「今、われわれ精神保健福祉士に求められるもの〜美ら島発!! 広げよう結(ゆい)まーる〜」。今回のキャッチ・アップは、同大会・学会の様子をお伝えします。
大会テーマは、「今、われわれ精神保健福祉士に求められるもの〜美ら島発!! 広げよう結(ゆい)まーる〜」。今回のキャッチ・アップは、同大会・学会の様子をお伝えします。
Vol.81 第46回社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第9回日本精神保健福祉学会
寸劇をもとに討論
初日は沖縄県精神保健福祉士協会の自主企画が開催されました(下表参照)。7つの自主企画のうち、「『権利擁護ってなあ〜に?』〜沖P子の部屋へようこそ〜」では、早稲田大学の岩崎香さんから、わが国における権利条約をふまえた今後の政策動向、ソーシャルワークと権利擁護とのかかわりが、日本精神保健福祉士協会の田村綾子さんからは「成年後見人ネット・ワーク・クローバー」の取り組みが報告されました。
その後グループワークに移り、参加者からは日々の業務の悩みや葛藤、解決に向けた取り組みなどが報告されました。特にグループワークでは、日本精神保健福祉士協会沖縄県支部による寸劇が演じられ、寸劇をもとに討論がなされるなど、出席者が主体的に参加できる工夫がされていました。
その後グループワークに移り、参加者からは日々の業務の悩みや葛藤、解決に向けた取り組みなどが報告されました。特にグループワークでは、日本精神保健福祉士協会沖縄県支部による寸劇が演じられ、寸劇をもとに討論がなされるなど、出席者が主体的に参加できる工夫がされていました。
今“も”精神保健福祉士に求められるもの
大会2日目は、NPO法人十勝障がい者支援センター理事長の門屋充郎さんによる基調講演「今もわれわれ精神保健福祉士に求められるもの」、厚生労働省社会・援護局の吉川隆博障害保健専門官による特別講演「精神保健医療福祉の動向と精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」、そして株式会社ラシーマ社長の島袋勉さんによる記念講演「夢をあきらめない」が行われました。
門屋充郎さんによる基調講演では、冒頭「保護者制度はこのままでよいか」「精神保健福祉法は分割・解体すべきか」などが参加者に問いかけられた後、自身の取り組みや実践をふまえて、「本人の声を聞け、35万人すべての入院患者にPSWとしての面接調査を」「PSWとして精神障害者の生活実態を明らかにし、社会運動を起こせ」「相談支援専門職として地域に拠点をつくれ」といった、今“も”精神保健福祉士に求められる倫理観、実践のありようについて話がありました。
吉川隆博障害保健専門官による特別講演では、平成16年9月に策定された「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の進捗状況をふまえ、精神保健医療福祉にかかわる現状や目標値、さらに、精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて報告がありました。
2日目最後の記念講演は、両足義足でマラソンを続けている島袋勉さんの「夢をあきらめない」。島袋さんは20歳で起業した後、踏切事故で両下腿を切断、高次脳機能障害(記憶障害)というハンディを背負います。その後、会社の危機を受け、さまざまなチャレンジと工夫、努力によって社長に復帰、会社を立て直します。さらに、当時は不可能といわれていた両足義足でのフルマラソンに挑戦し、見事に完走を果たすのです。
島袋さんが自らの経験とその時々の想い、感情にのせて語る「小さな進歩を喜ぶ」「夢や希望をあきらめない」「やりたいことを先延ばしにしない」といった言葉は、多くの人に勇気を与えてくれます。その信念の強さと困難を前向きにとらえる姿勢には驚かされるばかりです。
門屋充郎さんによる基調講演では、冒頭「保護者制度はこのままでよいか」「精神保健福祉法は分割・解体すべきか」などが参加者に問いかけられた後、自身の取り組みや実践をふまえて、「本人の声を聞け、35万人すべての入院患者にPSWとしての面接調査を」「PSWとして精神障害者の生活実態を明らかにし、社会運動を起こせ」「相談支援専門職として地域に拠点をつくれ」といった、今“も”精神保健福祉士に求められる倫理観、実践のありようについて話がありました。
吉川隆博障害保健専門官による特別講演では、平成16年9月に策定された「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の進捗状況をふまえ、精神保健医療福祉にかかわる現状や目標値、さらに、精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて報告がありました。
2日目最後の記念講演は、両足義足でマラソンを続けている島袋勉さんの「夢をあきらめない」。島袋さんは20歳で起業した後、踏切事故で両下腿を切断、高次脳機能障害(記憶障害)というハンディを背負います。その後、会社の危機を受け、さまざまなチャレンジと工夫、努力によって社長に復帰、会社を立て直します。さらに、当時は不可能といわれていた両足義足でのフルマラソンに挑戦し、見事に完走を果たすのです。
島袋さんが自らの経験とその時々の想い、感情にのせて語る「小さな進歩を喜ぶ」「夢や希望をあきらめない」「やりたいことを先延ばしにしない」といった言葉は、多くの人に勇気を与えてくれます。その信念の強さと困難を前向きにとらえる姿勢には驚かされるばかりです。
職場に応じた精神保健福祉士の役割と機能
3日目は午前と午後に分かれ、17の分科会が行われました。このうち、「チームと精神保健福祉のアイデンティティ」と「ACT実践から学ぶ」の様子を報告します。
「チームと精神保健福祉のアイデンティティ」では、精神保健福祉士の活躍の場が広がっていくなかで、認知症専門病院や精神科救急、地域の障害者相談支援センターなどで働く報告者から、その職場に応じた精神保健福祉士としての役割や機能などについて、実践を通じた報告がなされました。
「ACT実践から学ぶ」では、浜松と仙台で取り組まれている実践報告がされた後、大学の研究者からACTスタッフのかかわり(プロセス)が明らかにされ、さらに日本とイギリス、アメリカとのACT実践の比較が行われました。
重度の精神障害を抱える人を対象とするACTは、日本での取組みはまだまだ端緒についたばかりといえます。この分科会では、臨床と研究双方の報告がバランスよくなされ、ACTにかかわる先端の取り組みとその理論的枠組みが理解できるように感じました。
多くの参加者を集めた本大会は大変実りのあるものでした。なお、次回の第47回社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第10回日本精神保健福祉士学会は「過去から未来へ、受け継がれるもの、そして進化させるもの」をテーマに、来年6月9日から11日までの3日間、和歌山県で開催される予定です。
「チームと精神保健福祉のアイデンティティ」では、精神保健福祉士の活躍の場が広がっていくなかで、認知症専門病院や精神科救急、地域の障害者相談支援センターなどで働く報告者から、その職場に応じた精神保健福祉士としての役割や機能などについて、実践を通じた報告がなされました。
「ACT実践から学ぶ」では、浜松と仙台で取り組まれている実践報告がされた後、大学の研究者からACTスタッフのかかわり(プロセス)が明らかにされ、さらに日本とイギリス、アメリカとのACT実践の比較が行われました。
重度の精神障害を抱える人を対象とするACTは、日本での取組みはまだまだ端緒についたばかりといえます。この分科会では、臨床と研究双方の報告がバランスよくなされ、ACTにかかわる先端の取り組みとその理論的枠組みが理解できるように感じました。
多くの参加者を集めた本大会は大変実りのあるものでした。なお、次回の第47回社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第10回日本精神保健福祉士学会は「過去から未来へ、受け継がれるもの、そして進化させるもの」をテーマに、来年6月9日から11日までの3日間、和歌山県で開催される予定です。