認知症の人を支えるためには、専門職だけでなく、地域の啓発促進も欠かせません。しかし、口でいうほど地域づくりは簡単ではありません。高齢化、高齢世帯、独居、労働力人口の減少など、考慮すべき要素も山積しています。
そこで、先駆的な取り組みといえる福岡県大牟田市の事例から学ぼうと、5月19日、東京・中野のなかのZEROにて、東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会主催によるセミナーが開催され、多くの参加者のもと、熱き思いが交わされました。
そこで、先駆的な取り組みといえる福岡県大牟田市の事例から学ぼうと、5月19日、東京・中野のなかのZEROにて、東京都地域密着型サービス事業者連絡協議会主催によるセミナーが開催され、多くの参加者のもと、熱き思いが交わされました。
Vol.79 大牟田市に学ぶ 地域づくりの勘所
大牟田市の取り組み
三池炭鉱の町、福岡県大牟田市は人口12万3600人、高齢化率29.7%の都市です。この29.7%という数字は、10万人以上の都市では全国2位の高さといいます。
セミナー当日は、市の保健福祉部長寿社会推進課長の池田武俊さんが、この大牟田市で平成14年から進められている認知症ケアコミュニティ推進事業について説明しました。これまでの軌跡として、池田さんは「まずは関係する事業者への教育」を優先課題とし、認知症コーディネーターを育成します(現在までに59名が修了)。次に医療面での担保として、認知症疾患医療センター、急性期病院、在宅療養支援診療所への啓発、さらには早期発見・初期支援に向けたもの忘れ相談検診を開始します。この検診は本人の会やもの忘れ相談員の育成にもつながっています。「国の制度としてないのであれば、自治体がつくっていこう」と池田さん。「家族からの相談で多いのが、いい医者を知らないかということでした」。この取り組みは、2009年度までに700名を超える受診者が出ていることからも、一定の成果を挙げているといえます。
セミナー当日は、市の保健福祉部長寿社会推進課長の池田武俊さんが、この大牟田市で平成14年から進められている認知症ケアコミュニティ推進事業について説明しました。これまでの軌跡として、池田さんは「まずは関係する事業者への教育」を優先課題とし、認知症コーディネーターを育成します(現在までに59名が修了)。次に医療面での担保として、認知症疾患医療センター、急性期病院、在宅療養支援診療所への啓発、さらには早期発見・初期支援に向けたもの忘れ相談検診を開始します。この検診は本人の会やもの忘れ相談員の育成にもつながっています。「国の制度としてないのであれば、自治体がつくっていこう」と池田さん。「家族からの相談で多いのが、いい医者を知らないかということでした」。この取り組みは、2009年度までに700名を超える受診者が出ていることからも、一定の成果を挙げているといえます。
それぞれの地域づくり
次に、大牟田市の取り組みの報告を受けて東京都の練馬区役所、世田谷区の地域包括支援センター、さらには小金井市と青梅市の事業者によるシンポジウム「大牟田市から学ぶ地域づくり」が開かれました。
小金井市のグループホーム「のがわ」からは、年3回の行事の一つ「餅つき大会」を通した地域とのかかわり、さらにはゴミ拾い活動を始めとした地域貢献活動、運営推進会議の取り組みが発表されました。青梅市の小規模多機能型居宅介護「福わ家」からは、開設時からの自治会とのかかわりが発表されました。
両事業者が口を揃えたのは、地域づくりというかけ声ばかりが先行していることへの危惧です。「自治体が地域づくりを進めていくなかで、高齢者介護に関する部分の地域づくりを事業者が担うのが望ましいのではないでしょうか」とのがわの高浜さん。コーディネーターを務めた永田久美子さん(認知症介護研究・研修東京センター 研究部副部長)は「一人ひとりの利用者にとって地域とは何かという視点で見ていくことが必要です。また、地域づくりの過程で職員がどれだけ育つということも欠かせません」と言います。
「事業者の方々が今やっていることこそが、地域づくり」という関口さん(練馬区高齢社会対策課長)の言葉のとおり、一つひとつの事業者が自分たちを信じて進んでいけば、それがいつしか結果となることを実感させるセミナーでした。
小金井市のグループホーム「のがわ」からは、年3回の行事の一つ「餅つき大会」を通した地域とのかかわり、さらにはゴミ拾い活動を始めとした地域貢献活動、運営推進会議の取り組みが発表されました。青梅市の小規模多機能型居宅介護「福わ家」からは、開設時からの自治会とのかかわりが発表されました。
両事業者が口を揃えたのは、地域づくりというかけ声ばかりが先行していることへの危惧です。「自治体が地域づくりを進めていくなかで、高齢者介護に関する部分の地域づくりを事業者が担うのが望ましいのではないでしょうか」とのがわの高浜さん。コーディネーターを務めた永田久美子さん(認知症介護研究・研修東京センター 研究部副部長)は「一人ひとりの利用者にとって地域とは何かという視点で見ていくことが必要です。また、地域づくりの過程で職員がどれだけ育つということも欠かせません」と言います。
「事業者の方々が今やっていることこそが、地域づくり」という関口さん(練馬区高齢社会対策課長)の言葉のとおり、一つひとつの事業者が自分たちを信じて進んでいけば、それがいつしか結果となることを実感させるセミナーでした。