現在、第174回通常国会(常会)が開かれています。会期は平成22年1月18日から6月16日までの150日間。今回のキャッチアップでは、介護・福祉の分野を管轄する厚生労働省が、今国会に提出した法案(2月20日現在)とその内容を紹介します。
雇用保険法の改正案や子ども手当法案などは、福祉施策に直接関係しないまでも、事業主と従業員の雇用に関する問題、子育ての問題など、福祉の仕事に携わる方にとってもひととおりおさえておきたい内容ですので、できるだけ平易にレポートします。
雇用保険法の改正案や子ども手当法案などは、福祉施策に直接関係しないまでも、事業主と従業員の雇用に関する問題、子育ての問題など、福祉の仕事に携わる方にとってもひととおりおさえておきたい内容ですので、できるだけ平易にレポートします。
Vol.74 厚生労働省が今国会に提出した法律案
介護保険法施行法の一部を改正する法律案
【趣旨】
介護保険法の施行前に、市町村の措置により特別養護老人ホームに入所していた者について講じている利用料・居住費・食費の負担軽減措置を、当分の間延長するものです。
【概要】
介護保険法が施行された日(平成12年4月1日)より前に、措置により特別養護老人ホームに入所していた方は、「利用料+居住費+食費」が法施行前の費用徴収額を上回らないように負担軽減の経過措置が設けられていました。
この措置は22年3月31日までとされていましたが、経過措置の終了で負担増になる方が21年6月末時点で約2万人も入所していること、対象になる方の多くが高齢・低所得・重度の要介護度で、実際に負担増になると施設利用の継続が困難になることが考えられることから、現行の負担軽減措置の実施期間を「当分の間」延長することとしています。
介護保険法の施行前に、市町村の措置により特別養護老人ホームに入所していた者について講じている利用料・居住費・食費の負担軽減措置を、当分の間延長するものです。
【概要】
介護保険法が施行された日(平成12年4月1日)より前に、措置により特別養護老人ホームに入所していた方は、「利用料+居住費+食費」が法施行前の費用徴収額を上回らないように負担軽減の経過措置が設けられていました。
この措置は22年3月31日までとされていましたが、経過措置の終了で負担増になる方が21年6月末時点で約2万人も入所していること、対象になる方の多くが高齢・低所得・重度の要介護度で、実際に負担増になると施設利用の継続が困難になることが考えられることから、現行の負担軽減措置の実施期間を「当分の間」延長することとしています。
平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案
【趣旨】
子ども手当について、平成22年度のみの支給方法等を定めるものです。
【概要】
財源負担をめぐって紛糾した「子ども手当」ですが、22年度はとりあえず「子ども手当」と従来の「児童手当」を併給する形で法案が提出されました。
子ども手当は、本来の半額の月額1万3000円(中学校修了までの子ども一人につき)の支給となります。財源について、子ども手当は全額国庫負担ですが、児童手当は従来どおり国と地方と事業主で負担する形です。なお、子ども手当に所得制限はなく、支払月は児童手当と同じタイミング(6月、10月、2月)ということで法案提出されています。
23年度以降の制度の在り方等については、別途検討して必要な措置を講ずるとしています。
子ども手当について、平成22年度のみの支給方法等を定めるものです。
【概要】
財源負担をめぐって紛糾した「子ども手当」ですが、22年度はとりあえず「子ども手当」と従来の「児童手当」を併給する形で法案が提出されました。
子ども手当は、本来の半額の月額1万3000円(中学校修了までの子ども一人につき)の支給となります。財源について、子ども手当は全額国庫負担ですが、児童手当は従来どおり国と地方と事業主で負担する形です。なお、子ども手当に所得制限はなく、支払月は児童手当と同じタイミング(6月、10月、2月)ということで法案提出されています。
23年度以降の制度の在り方等については、別途検討して必要な措置を講ずるとしています。
児童扶養手当法の一部を改正する法律案
【趣旨】
父子家庭の父も支給対象とするものです。
【概要】
児童扶養手当は子ども1人の場合、年収おおむね365万円未満の母子家庭に、所得に応じて最高で月4万2000円が支給される制度です。従来は、父子家庭は母子家庭に比べ経済的に豊かであることや、経済的支援より家事や育児支援が求められている等の理由で、支給の対象外となっていました。
しかし、非正規雇用などの増加で男女問わず経済状況が厳しいことを踏まえ、父子家庭(=子と生計を同じくしている父)についても、手当の支給対象とする法案が提出されました。可決された場合、8月から施行される予定で、22年度分の支給はまとめて12月に行われます。
父子家庭の父も支給対象とするものです。
【概要】
児童扶養手当は子ども1人の場合、年収おおむね365万円未満の母子家庭に、所得に応じて最高で月4万2000円が支給される制度です。従来は、父子家庭は母子家庭に比べ経済的に豊かであることや、経済的支援より家事や育児支援が求められている等の理由で、支給の対象外となっていました。
しかし、非正規雇用などの増加で男女問わず経済状況が厳しいことを踏まえ、父子家庭(=子と生計を同じくしている父)についても、手当の支給対象とする法案が提出されました。可決された場合、8月から施行される予定で、22年度分の支給はまとめて12月に行われます。
医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案
【趣旨】
医療保険制度の安定的な運営を図るため、市町村国保、協会けんぽ、後期高齢者医療制度における保険料の引上げの抑制等のため、各法の改正を行うものです。
【概要】
1.市町村国保の保険料軽減のための措置等
保険料滞納世帯であっても、医療を現物給付で受けられる子どもの対象を、現行の中学生以下から高校生世代以下に拡大する など
2.中小企業の従業員、事業主の保険料軽減のための措置
国庫補助割合の引き上げ(13%→16.4%) など
3.高齢者の保険料軽減のための措置
サラリーマンに扶養されていた方の保険料の軽減措置を延長する など
医療保険制度の安定的な運営を図るため、市町村国保、協会けんぽ、後期高齢者医療制度における保険料の引上げの抑制等のため、各法の改正を行うものです。
【概要】
1.市町村国保の保険料軽減のための措置等
保険料滞納世帯であっても、医療を現物給付で受けられる子どもの対象を、現行の中学生以下から高校生世代以下に拡大する など
2.中小企業の従業員、事業主の保険料軽減のための措置
国庫補助割合の引き上げ(13%→16.4%) など
3.高齢者の保険料軽減のための措置
サラリーマンに扶養されていた方の保険料の軽減措置を延長する など
雇用保険法の一部を改正する法律案( 平成22年1月28日可決・成立しました)
【趣旨】
当面の雇用保険制度の安定的運営を確保するため、平成21年度の失業等給付(求職者給付・雇用継続給付)の国庫負担として3500億円の一般財源を投入するものです。
【概要】
いわゆる失業保険を定めている雇用保険法の財源は、国庫負担25%、残りを労使折半で負担する、と規定されています。ただし、平成19年からは雇用保険財政の状況、過去の国庫負担率の縮減の実績等を踏まえて、暫定措置として国庫負担割合を13.75%として運用されてきました。
今般の改正では、雇用情勢が厳しいことから、短期的的にはまず一般財源(21年度第2次補正予算)を3500億円投入し、その後は23年度予算編成過程で検討し、安定財源を確保した上で、国庫負担割合を25%に戻すこととされています。
当面の雇用保険制度の安定的運営を確保するため、平成21年度の失業等給付(求職者給付・雇用継続給付)の国庫負担として3500億円の一般財源を投入するものです。
【概要】
いわゆる失業保険を定めている雇用保険法の財源は、国庫負担25%、残りを労使折半で負担する、と規定されています。ただし、平成19年からは雇用保険財政の状況、過去の国庫負担率の縮減の実績等を踏まえて、暫定措置として国庫負担割合を13.75%として運用されてきました。
今般の改正では、雇用情勢が厳しいことから、短期的的にはまず一般財源(21年度第2次補正予算)を3500億円投入し、その後は23年度予算編成過程で検討し、安定財源を確保した上で、国庫負担割合を25%に戻すこととされています。
雇用保険法等の一部を改正する法律案
【趣旨】
厳しい雇用失業情勢を踏まえ、非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等を図るものです。
【概要】
1.雇用保険の適用範囲の拡大
現行では「6か月以上雇用見込み」の従業員が適用の範囲でしたが、これを「31日以上雇用見込み」でも適用されるようにし、より多くの非正規労働者を保険の適用範囲内にします。
2.雇用保険未加入者に対する遡及適用期間の改善
事業主が被保険者資格取得の届け出を行わなかったため「未加入」とされていた従業員のうち、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等の書類により確認された方は、現行の2年を超えてもさかのぼって適用することができるものとします。
事業所全体として保険料を納付していないことが確認されたケースについては、保険料の徴収時効である2年を経過した後も、保険料を納付することを可能とし、その納付を勧奨します。
3.財源確保のための暫定措置
雇用保険二事業の財源不足を補うため、失業等給付の積立金から借り入れる仕組みを暫定的に措置します。
厳しい雇用失業情勢を踏まえ、非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等を図るものです。
【概要】
1.雇用保険の適用範囲の拡大
現行では「6か月以上雇用見込み」の従業員が適用の範囲でしたが、これを「31日以上雇用見込み」でも適用されるようにし、より多くの非正規労働者を保険の適用範囲内にします。
2.雇用保険未加入者に対する遡及適用期間の改善
事業主が被保険者資格取得の届け出を行わなかったため「未加入」とされていた従業員のうち、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等の書類により確認された方は、現行の2年を超えてもさかのぼって適用することができるものとします。
事業所全体として保険料を納付していないことが確認されたケースについては、保険料の徴収時効である2年を経過した後も、保険料を納付することを可能とし、その納付を勧奨します。
3.財源確保のための暫定措置
雇用保険二事業の財源不足を補うため、失業等給付の積立金から借り入れる仕組みを暫定的に措置します。
◇◇◇
雇用保険法や医療関連法の改正案は、政府与党の緊急経済対策を強く反映した内容となっています。
これに関連して、「景気対応緊急保証制度」(業況が悪化している中小企業者等を対象に、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証協会の保証を受けられる制度)が平成22年2月15日から開始されており、医療・介護・社会福祉の業種も対象になっています。
首相官邸チャンネル(緊急経済対策について説明しています)
一方で、どの法案も財源確保が重要な課題となっていますが、「来年度までに検討する」などの文言も多く、具体的な案がなかなか見出せていない状況がみられます。国の借金は553兆円、一人あたり約433万円といわれる中で、必要な部分と無駄な部分の精査をより厳しく行わなければならないでしょう。今後も国民が施策に関心をもち、目を光らせていかなければならないと思います。