病院や施設では、便秘などの排便障害をもつ人に対して、「3日便が出なかったら下剤を使う」など、判を押したように下剤に頼っていることが多くありませんか?
しかし、適切でない下剤の使用は便失禁やスキントラブルをもたらします。そこで今回のキャッチ・アップでは、日頃語られることが少ない排便障害に対するケアについて、日本コンチネンス協会の高崎良子さんにその必要性を伺いました。
しかし、適切でない下剤の使用は便失禁やスキントラブルをもたらします。そこで今回のキャッチ・アップでは、日頃語られることが少ない排便障害に対するケアについて、日本コンチネンス協会の高崎良子さんにその必要性を伺いました。
Vol.64 排便障害、放っていませんか?―「とりあえず下剤」は悪循環の元
下剤至上主義の弊害
まず、病院や施設で行われている排便ケアの現状について、高崎さんは病院・施設のレベル格差と不適切な下剤の使用を挙げます。
「便秘などの排便障害に対する知識とその対応の差について、(病院や施設間に)格差のあるのが現状です。また、下剤の乱用が便失禁をもたらし、臀部のスキントラブルやおむつの過剰な使用をもたらすという悪循環を生んでいます」
この背景には、排尿障害に比べて排便障害は専門の医師が少なく、適切な対応がなされていないことが挙げられます。しかし高崎さんは、排尿障害のある人の多くには排便障害もみられるといい、排便障害を合わせて考える重要性を指摘します。「下剤の乱用は本人にも苦痛を伴います。何のため、誰のために使うのか、よく考えてほしいですね」。
排尿障害は尿漏れを心配するあまり、外出を控える人が結果的に引きこもりになるなど、生活への障害も懸念されます。排便障害についても同様で、生活行為を控える人がいるそうです。「便漏れを心配し、外出する日は朝食を食べず、昼下がりに帰宅したあとに(その日)初めて食べ物を口にする人がいました。これでは低血糖になり、次第に外出自体減ってしまいかねません」(高崎さん)。
「便秘などの排便障害に対する知識とその対応の差について、(病院や施設間に)格差のあるのが現状です。また、下剤の乱用が便失禁をもたらし、臀部のスキントラブルやおむつの過剰な使用をもたらすという悪循環を生んでいます」
この背景には、排尿障害に比べて排便障害は専門の医師が少なく、適切な対応がなされていないことが挙げられます。しかし高崎さんは、排尿障害のある人の多くには排便障害もみられるといい、排便障害を合わせて考える重要性を指摘します。「下剤の乱用は本人にも苦痛を伴います。何のため、誰のために使うのか、よく考えてほしいですね」。
排尿障害は尿漏れを心配するあまり、外出を控える人が結果的に引きこもりになるなど、生活への障害も懸念されます。排便障害についても同様で、生活行為を控える人がいるそうです。「便漏れを心配し、外出する日は朝食を食べず、昼下がりに帰宅したあとに(その日)初めて食べ物を口にする人がいました。これでは低血糖になり、次第に外出自体減ってしまいかねません」(高崎さん)。
適切なアセスメントの前提となる知識の習得に向けて
正しい対処を施すためには、排便のメカニズムと排便障害の種類と仕組みなどの知識をもっていることが前提です。高崎さんの所属するコンチネンスジャパン(株)では、その知識を得るためにも、排便障害について学ぶ機会を提供しています。
□ 下剤のコントロールがうまくいかない
□ おむつから便が漏れて困る
□ 認知症のある人への排便ケアに困っている
□ 経管栄養の人に、下痢などの排便障害がみられる
これらのうち一つでも当てはまる人がいれば、排便ケアに関する勉強会などに参加することをおすすめします。また排便ケアは、医師や看護師だけが行うものではありません。「おむつ交換の機会は介護職のほうが多いのではないでしょうか。その際、排便に関する知識がなければ、医療職につなげることもできません」と高崎さん。ですから、介護の専門性を高める意味でも、排便ケアに関する学習は意義深いものがあります。
- 【参考】
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「第2回 アセスメントに基づく排便ケア研修会」
日時:2009年11月27日(金)10時〜16時
場所:東京体育館(東京都渋谷区)
定員:120名
参加費:1万4000円
「排便ケア ステップアップ講座」
(1)便秘と下剤
(2)経管栄養使用者の排便管理
(3)認知症の排便障害
日時:(1)2010年1月23日(土)、(2)2月27日(土)、(3)3月27日(土)
場所:すみだ産業会館(東京都墨田区)
参加費:各1万円
主催:コンチネンスジャパン(株)(http://www.continence.co.jp)