9月22日〜24日、日本デイケア学会の第16回年次大会(名古屋大会)が開催されました。大会のテーマは、「デイケアからの飛躍−それぞれのリカバリーを目指して−」で、デイケアのあり方などを考える大会となりました。
Vol.101 デイケアのあり方、リカバリーについて考える
日本デイケア学会 第16回年次大会(名古屋大会)開催
東日本大震災報告
大会には、全国から約800名の参加者が集いました。参加者の職種は、医師、看護師、精神保健福祉士など様々です。大会前日に日本を縦断した台風15号の影響で、参加を断念した方、会場への到着が遅れた方なども多数いましたが、朝早くから多くの参加者が講演を熱心に聞いていました。
通常であれば初日となる22日は大会長講演から始まりますが、今年は3月11日に発生した東日本大震災に関する特別報告から始まりました。仙台市内で精神科クリニックを営む医師、津波の被害に見舞われた大船渡市の病院で働く医師による、地震発生当時の状況、その後どのように支援をしていったのか、これから被災地(被災者)での支援をどう進めるのかなどスライドを交えた報告から、地震発生から6か月が経過した今も深いキズとなっていることが実感できました。
通常であれば初日となる22日は大会長講演から始まりますが、今年は3月11日に発生した東日本大震災に関する特別報告から始まりました。仙台市内で精神科クリニックを営む医師、津波の被害に見舞われた大船渡市の病院で働く医師による、地震発生当時の状況、その後どのように支援をしていったのか、これから被災地(被災者)での支援をどう進めるのかなどスライドを交えた報告から、地震発生から6か月が経過した今も深いキズとなっていることが実感できました。
続く特別講演は、アメリカから招聘されたデーヴィッド・ピロン氏による「リカバリー実践から日本へ提言できること」。デーヴィッド氏は、ロサンゼルス郡精神保健局所長兼CEOで、ビレッジと呼ばれる施設で「リカバリー」を実践していて、日本からも多くの実践家、研究者がビレッジを訪れ、ここでの実践を学んでいるそうです。精神保健医療における「リカバリー」という用語は、「利用者の疾患が回復すること」という意味ではなく、精神疾患を持ちながらも社会の中で生活し、それぞれの自己実現を主体的に追求し、人生を前向きに歩もうとするプロセス全体のことである、というところから話は始まり、これを日本で実践していくために、どのように調整をしていくべきか、事例を交えながらわかりやすく解説をしてくれました。
大会長講演をランチョンセミナーで行うという一風変わった進行でしたが、教育講演、シンポジウム、一般演題、ポスター発表など、限られた時間の中で盛りだくさんな内容でした。一般演題は、デイケアの機能・役割、プログラム実践などの定番のテーマから、気分障害からのリワーク、発達障害者などトピック的な話題がテーマの発表が目立つ印象でした。
大会長講演をランチョンセミナーで行うという一風変わった進行でしたが、教育講演、シンポジウム、一般演題、ポスター発表など、限られた時間の中で盛りだくさんな内容でした。一般演題は、デイケアの機能・役割、プログラム実践などの定番のテーマから、気分障害からのリワーク、発達障害者などトピック的な話題がテーマの発表が目立つ印象でした。
精神障害リハビリテーションとリカバリー
23日も、教育講演、シンポジウムなど内容の濃いプログラム構成となっていました。日本福祉大学の野中猛先生による特別講演「精神障害リハビリテーションとリカバリー」では、パワーポイントによる資料とわかりやすい解説で、参加者は皆、話に引き込まれました。「デイケアは利用し続けるところではない」という先生の言葉から、デイケア学会が抱える話題・問題点を改めて認識させられました。講演後、会場内で先生の最新刊『図説リカバリー』の販売をしていましたが、100部あった在庫がすべて売り切れたようです。講演の内容が分かりやすかったことに加え、テーマが合致していたことが購買につながったのでしょうか。
パネルディスカッション「日本におけるリカバリーとは」では、パネリストがそれぞれの立場から、自分の考える「リカバリー」について話をし、厚生労働省の精神障害保健課長の発言を踏まえ、議論が交わされました。野中先生の講演の際に感じた、デイケアが抱える話題・問題点。デイケアはどのような役割を果たしているのか? その評価をどうするのか? 目に見えるようにしなければならない、というここ数年の学会の課題が改めて浮き彫りになったように思います。
24日は、大会とは別に、デイケアの第一線で活躍する実践家とともに学ぶ研修会、他の施設見学という形式で行われました。他の施設、特に自分たちの地域ではない施設をみる機会はそう多くないと思います。自分たちの施設にはない特徴など、実際に見て感じるのは今後の実践をしていく糧になるのではないでしょうか?
デイケアは治療の場なのか? それとも生活支援の場なのか? 検討すべき課題は決して少なくないですが、利用者一人ひとりが心地よく日常生活を営んでいけるような支援システムが構築され、そして根づいていくことが必要なのだと、改めて感じさせる大会でした。
次回は福岡大会(会場:福岡国際会議場)で、2012年9月20日から22日の日程で開催されます。
24日は、大会とは別に、デイケアの第一線で活躍する実践家とともに学ぶ研修会、他の施設見学という形式で行われました。他の施設、特に自分たちの地域ではない施設をみる機会はそう多くないと思います。自分たちの施設にはない特徴など、実際に見て感じるのは今後の実践をしていく糧になるのではないでしょうか?
デイケアは治療の場なのか? それとも生活支援の場なのか? 検討すべき課題は決して少なくないですが、利用者一人ひとりが心地よく日常生活を営んでいけるような支援システムが構築され、そして根づいていくことが必要なのだと、改めて感じさせる大会でした。
次回は福岡大会(会場:福岡国際会議場)で、2012年9月20日から22日の日程で開催されます。