1994年、国際アルツハイマー病協会は、毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と定めました。「アルツハイマー病及び関連の諸疾患に関する世界的啓蒙の普及を図ると共に、地球規模での理解と把握につとめ、患者と家族への支援を推進するために努力し働きかけて」いくことを目的に、毎年世界的にさまざまな催しを通して啓発運動が行われています。
今回は、9月13日に東京・御茶ノ水で行われた記念講演会の様子をレポートします。
今回は、9月13日に東京・御茶ノ水で行われた記念講演会の様子をレポートします。
Vol.61 認知症の人の応援者になろう!――9月21日は「世界アルツハイマーデー」
見直しによる問題
講演会に先立ち、主催者である社団法人認知症の人と家族の会の東京支部代表の原英子さんから、世界アルツハイマーデー制定の経緯と日本での取り組みについて説明がありました。
「1994年の制定以来、毎年(家族の会)本部のある京都と東京で公開講座を行ってきました。16回目となる今回の公開講座(講演会)は、認知症サポーター養成講座を兼ねています。サポーターとは『認知症の人の応援者』です。今日を機会に、たとえ専門的な知識がなくても、本人や家族を温かい目で見守り続けていただくよう、協力をお願いいたします」
密接に関係する3つの「D」
記念講演会の講師は、昭和大学医学部精神医学教室の三村將(まさる)さん。老年精神医学の専門医として多くの患者と接してきた経験から、「認知症とうつ病を理解する」と題し、認知症と老年期うつ病の特徴(概念)と介護者としてのかかわり方について、やさしく解説されました。
まず、近年ならびに将来的な高齢者人口の増加が必然的に認知症をもつ人の増加につながり、その事実から目を背けて何か物事を進めることはもはやできないことを力説し、そのうえで、老年精神科でよくみられる「3D」(Dementia:認知症、Delirium:せん妄、Depression:うつ病)はそれぞれ密接に関係していることを説明しました。これは、それぞれの「D」を理解することで、結果的にほかの「D」の理解につながることを意味し、今回の講演は、2つの「D」(うつ病と認知症)を理解することで、より理解を深める意味もありました。
「認知症の有病率は、80歳以上は5人に1人、85歳以上になると4人に1人になります。これはたとえば、85歳以上の老夫婦は『自分が認知症』もしくは『配偶者が認知症』の確率が2分の1という非常に高い数字を示しています」(三村先生)
まず、近年ならびに将来的な高齢者人口の増加が必然的に認知症をもつ人の増加につながり、その事実から目を背けて何か物事を進めることはもはやできないことを力説し、そのうえで、老年精神科でよくみられる「3D」(Dementia:認知症、Delirium:せん妄、Depression:うつ病)はそれぞれ密接に関係していることを説明しました。これは、それぞれの「D」を理解することで、結果的にほかの「D」の理解につながることを意味し、今回の講演は、2つの「D」(うつ病と認知症)を理解することで、より理解を深める意味もありました。
「認知症の有病率は、80歳以上は5人に1人、85歳以上になると4人に1人になります。これはたとえば、85歳以上の老夫婦は『自分が認知症』もしくは『配偶者が認知症』の確率が2分の1という非常に高い数字を示しています」(三村先生)
信頼できる医師などをもち、気軽に相談を!
うつ病から、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)への進展は、うつが強い人ほどMCIを発症する確率が高く、またうつ症状のあるMCI患者は、うつ症状のないMCI患者よりも認知症(アルツハイマー型認知症)になる確率が高いのです。「一般高齢者の2.5〜6倍の確率」(三村先生)といいますが、それだけに、介護者(家族)への負担も大きく、本人のみならず介護者がうつになるケースが多いようです。
「自分が信頼できるかかりつけ医師(人)をもち、気軽に相談できることが大切」と三村先生。専門職の人たちは、こうした本人と家族の姿を幾度となく目の当たりにしてきたことでしょう。なかには「もう少し早くかかわっていれば」と思うことが少なくないかもしれません。それだけに、日頃から地域にかかわり、高齢者と接することで、専門職としての視点でアドバイスやフォローができる関係を構築しておきたいものです。