8月28、29日の2日間にわたり、第3回東北感染制御ネットワークフォーラムが仙台国際センター(宮城県仙台市)で開催されました。主催の東北感染制御ネットワークは、東北地域での医療・福祉関係者等の感染制御における連携・協力・支援活動が実践を通じ情報の共有化を図る取組を行っています。福祉現場で感染対策の取り組みが求められるなか、有用な情報満載のフォーラムの模様の一部をご紹介します。
Vol.86 第3回東北感染制御ネットワークフォーラムin仙台国際センター
フォーラムは盛りだくさん
フォーラムは大ホールのほか、5つの会場にわかれ、学会形式でトピックスレクチャーやシンポジウム、ワークショップなど、医師や看護師、薬剤師、検査技師、介護スタッフなど、医療現場で感染症対策に対応する医療従事者のみならず、病院や高齢者・介護施設の管理者、さらに国や地域自治体の医療保健担当者などが一同に参加し、「感染管理・感染予防」「感染症の診断・治療」「感染症の疫学」「アウトブレイク対応」「感染症に関する情報提供」などの感染症に関する総合的な「マネジメント・危機管理」に関する最新情報を広く共有化し、討議する場となりました。また、感染制御・感染症診療に関連する各種機器・器具、PPE、消毒薬・抗微生物薬、診断試薬などに関する展示も行われ、参加者が熱心に説明を求める光景も見られました。
主に医療機関向けのプログラム構成となっているなか、フォーラム2日目、感染管理ベストプラクティス部会シンポジウム/東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会ワークショップでは、「変革をもたらすおむつ交換手順への取り組み」と題し、介護老人保健施設での感染対策の取り組みが報告されるなど、医療機関だけでなく福祉の現場でも有用な事例が多く紹介されていました。
主に医療機関向けのプログラム構成となっているなか、フォーラム2日目、感染管理ベストプラクティス部会シンポジウム/東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会ワークショップでは、「変革をもたらすおむつ交換手順への取り組み」と題し、介護老人保健施設での感染対策の取り組みが報告されるなど、医療機関だけでなく福祉の現場でも有用な事例が多く紹介されていました。
東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会シンポジウム
東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会は、医療施設や介護施設など現場に即した手順の作成と医療及び介護従事者に対する実践的なプロセスの改善を支援することを目的に活動をしており、現場での感染対策に有効なツール・方法を蓄積されています。
「感染管理ベストプラクティスの考え方―なぜ実践現場をひきつける―」と題した基調講演で、NPO法人日本感染管理支援協会の土井英史さんは、
「日本の医療機関・福祉施設ではこの10年間の様々な感染管理を実施してきたにもかかわらず、なぜ感染症発生事例が頻発してしまうのか。それは組織のマニュアルだと『絵に描いた餅』になりがちで、遵守されていないことが多いためだといえる。プロセスの標準化、リスクポイントの標準化を行い、個別のケアごとの手順書の作成と手順遵守の内部チェックを繰り返すことが必要。誰でも実施でき成果が得やすい感染対策の方法論であることが『感染管理ベストプラクティス』が実践現場をひきつけている理由」と話しました。
「感染管理ベストプラクティスの考え方―なぜ実践現場をひきつける―」と題した基調講演で、NPO法人日本感染管理支援協会の土井英史さんは、
「日本の医療機関・福祉施設ではこの10年間の様々な感染管理を実施してきたにもかかわらず、なぜ感染症発生事例が頻発してしまうのか。それは組織のマニュアルだと『絵に描いた餅』になりがちで、遵守されていないことが多いためだといえる。プロセスの標準化、リスクポイントの標準化を行い、個別のケアごとの手順書の作成と手順遵守の内部チェックを繰り返すことが必要。誰でも実施でき成果が得やすい感染対策の方法論であることが『感染管理ベストプラクティス』が実践現場をひきつけている理由」と話しました。
福祉現場向けの感染対策書籍を刊行
今回、福祉現場の状況に応じた感染対策の情報提供を目的に、東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会アドバイザーの有志により、『イラストで理解する福祉現場の感染対策』が制作・発行されワークショップでも紹介されました。
社会福祉施設では、自施設に対応したマニュアルの策定を行うとともに、感染症や食中毒の発生及びまん延を防止する観点から、職員の健康管理の徹底や職員及び利用者に対して手洗いを励行するなど、衛生教育の徹底を図ることや、職員を対象として衛生管理に関する研修を定期的に行うことが求められています。
しかしながら、福祉サービスの利用者の多くは、感染症に対してコンプロマイズド・ホスト(易感染者)であり、介護や医療を必要とする利用者が混在する福祉現場においては、結核などの再興感染症や新型インフルエンザウイルス・腸管出血性大腸菌感染症などの新興感染症の発生に対して適切な感染対策の取り組みを行うことが今後の重要な課題となっています。
福祉現場における感染対策は、主として施設を所管する保健所や保健師・看護師等が中心となり感染対策のマニュアルの作成、研修等が行われていますが、感染対策が十分に機能している状況にあるとはいえないことが各種の調査でも指摘されています。
その理由として、
・スタッフの感染対策に対する理解度や意識にばらつきがあること。
・福祉現場の状況に即した感染対策に対する情報・知識が不足していること。
・研修のために必要な時間の確保が難しいこと。
があげられています。
施設内では多くの利用者が集い、人と器具、人と人が交差する現場で、いつ(集団)感染が発生するか分からない状況にあります。こうした(集団)感染を防ぐには、利用者と接する機会の多い介護者一人ひとりが、まず正しい知識を持つことが必要です。そのうえで“感染を防ぐ”という観点から一つひとつのケアを的確に行うことが大切になってきます。
福祉現場での感染対策のテキストとして、感染管理認定看護師によるわかりやすい記述と助産師による親しみやすいイラストで感染対策に必要な情報をコンパクトにまとめた書籍として、初めて感染対策に取り組むスタッフにも十分理解できるようにわかりやすくまとめられています。
感染対策・・・・・・。ひとりで悩んでいませんか?
東北感染制御ネットワークベストプラクティス部会シンポジウムでは、感染対策を進めるにあたり、組織体制の問題、上司の無理解、コストの問題、誰に相談したらよいか分からないといった悩みを持った方も多く参加されていたようです。
本サイトをご覧の皆さんで、同様の悩みを抱えている人も多いと思います。
そんな時は「困ったときのQ&Aコーナー」にご投稿ください。
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