聞き手から情報の送り手へ―現場の施設職員が自らの実践を発表する「ユニットケア実践者セミナー」も今年で8回目を迎えました。第7回と同様、神戸学院大学(兵庫県神戸市)にて、3月14日、15日の2日間にわたり800名の参加者を迎えて行われましたが、今回のキャッチアップでは、この実践者セミナーの様子をお伝えします。
Vol.44 地域に応援団を作ろう!
第8回 気づきを築くユニットケア全国実践者セミナー
介護の社会化をはばむ壁
もはや施設のユニットケアという枠にとどまらず、地域づくりに取り組む事例が増えてきた最近の発表ですが、今回は新たに「地域の応援団づくり」という部門が設けられ、その方向性がより顕著になったといえます。同セミナーの実行委員長である武田和典さんは「専門職の間でユニットケアの意識を伝えていくのと同時に、地域の住民に対してどのように働きかけていくのかが大切」と言います。
この方向性は、昨今話題となっている養成施設の定員割れ、現場の人材不足と無関係ではありません。たとえ介護という仕事に就きたいという学生がいても、親や教師が「そんな大変な仕事はすすめられない」と反対する現実。こうした一般の方々の意識を変えていかなれば、介護の社会化は望むべくもありません。ですから、福祉の地域づくりこそが根本的な解決策であり、継続的な人材確保が欠かせません。
この方向性は、昨今話題となっている養成施設の定員割れ、現場の人材不足と無関係ではありません。たとえ介護という仕事に就きたいという学生がいても、親や教師が「そんな大変な仕事はすすめられない」と反対する現実。こうした一般の方々の意識を変えていかなれば、介護の社会化は望むべくもありません。ですから、福祉の地域づくりこそが根本的な解決策であり、継続的な人材確保が欠かせません。
地域にかかわっていますか?
施設発の地域づくりとして、発表ではさまざまなアプローチが紹介されました。特別養護老人ホーム健生園(岡山県)では、友の会による地域住民参加の施設運営、同・寝屋川石津園(大阪府)では、企画課による広報活動。さらに同・こもれび(福岡県)では、第三者評価員との協働などが紹介され、参加者の活発な議論を呼びました。
「入口はユニットケア、出口は地域」と言われ続けながら、なかなかそのカタチが見えてこなかったユニットケアですが、ようやくその糸口が見えてきた、そんな予感を感じさせる今回の実践者セミナーでした。
2日目の講演では、3つの会場に別れて現場の代表者を中心にユニットケア、地域づくりについて報告がなされました。報告者の一人、蒲生の家(大阪府)の瀬川雅和さんは、作家・村上春樹氏のイスラエルでのスピーチを引き合いに出し、「社会そのものが、老いる、病む、死に関わる意味について向き合っていかなければならない。ナラティブな部分だけでなく、根拠のあるケアを提供していくことがこれからの介護には必要。そうでなければ、システムが人を無意味に蝕んでいく」と訴えます。
なお同セミナーは、来年も同じく神戸学院大学にて行われる予定です(日程は未定)。
「入口はユニットケア、出口は地域」と言われ続けながら、なかなかそのカタチが見えてこなかったユニットケアですが、ようやくその糸口が見えてきた、そんな予感を感じさせる今回の実践者セミナーでした。
2日目の講演では、3つの会場に別れて現場の代表者を中心にユニットケア、地域づくりについて報告がなされました。報告者の一人、蒲生の家(大阪府)の瀬川雅和さんは、作家・村上春樹氏のイスラエルでのスピーチを引き合いに出し、「社会そのものが、老いる、病む、死に関わる意味について向き合っていかなければならない。ナラティブな部分だけでなく、根拠のあるケアを提供していくことがこれからの介護には必要。そうでなければ、システムが人を無意味に蝕んでいく」と訴えます。
なお同セミナーは、来年も同じく神戸学院大学にて行われる予定です(日程は未定)。