Vol.40 障害者自立支援法:応益負担を見直し
今国会で応能負担へ法改正
2009年2月12日、障害者自立支援法の見直しを検討している与党プロジェクトチーム(PT)は、障害福祉サービスの利用者負担のしくみを見直すことを決定しました。すなわち、使ったサービス料の1割を原則自己負担【応益負担】から、所得(支払い能力)に応じた自己負担【応能負担】に変更する方針を正式にまとめました。
2006年、厚労労働省は、急増する障害者福祉サービス利用者を背景に、応益負担の制度を導入しました。制度導入のメリットして、利用者も自己負担をすることでサービス事業者と対等な関係を築けるということ、また、自己負担が増えることとのいわば交換条件として、かつては障害児・者施設以外は国の裁量的経費であった障害者福祉サービスを、義務的経費として財源を確保することとなりました。
しかし実際は、特に低所得層で負担増となり、「1割自己負担は違憲」として、全国各地で障害者らによる国や自治体を相手にした提訴が相次ぐなど、強い反発が続いていたことから今回大幅な見直しとなったのです。
PTの見直し原案では、「今回の法改正では、介護保険との整合性を考慮した仕組みを解消し、障害者福祉の原点に立ち返り、自立支援法により障害者の自立生活に必要十分なサービスが提供されるという考え方に立って、給付を抜本的に見直す」と記述されています。
2006年、厚労労働省は、急増する障害者福祉サービス利用者を背景に、応益負担の制度を導入しました。制度導入のメリットして、利用者も自己負担をすることでサービス事業者と対等な関係を築けるということ、また、自己負担が増えることとのいわば交換条件として、かつては障害児・者施設以外は国の裁量的経費であった障害者福祉サービスを、義務的経費として財源を確保することとなりました。
しかし実際は、特に低所得層で負担増となり、「1割自己負担は違憲」として、全国各地で障害者らによる国や自治体を相手にした提訴が相次ぐなど、強い反発が続いていたことから今回大幅な見直しとなったのです。
PTの見直し原案では、「今回の法改正では、介護保険との整合性を考慮した仕組みを解消し、障害者福祉の原点に立ち返り、自立支援法により障害者の自立生活に必要十分なサービスが提供されるという考え方に立って、給付を抜本的に見直す」と記述されています。
利用者負担軽減の実態は?
PTの基本方針では、現在制度の2008年度までの軽減措置を恒久化し、利用者負担を現行水準以下にするとされています。ただ、現行でも所得に応じた負担軽減策をとっており、低所得者の負担は平均約3%と、法改正後も負担水準は大きく変わらない見通しです。また、その他に、利用者負担の限度額(月額3万7200円)も引き下げること、一定資産がある障害者が軽減措置を受けられない資産要件の撤廃、各障害特性を反映させて障害程度区分を見直すことなども盛り込まれました。
しかし、応益負担の制度導入の際、利用者負担の前提とされていた障害者の所得保障はいまだ具体化されていません。障害者の約55%が主に年金で生計を立てていますが(2008年、内閣府調査)、障害基礎年金(月額1級8万2508円、2級6万6008円)の引き上げについて議論はなされていないままです。また、障害者が福祉工場などで得る工賃は平均月額1万6037円(2007年)で、働いても「自立」するにはまったく不十分な収入しか得られないのが現状といえます。
今回の見直しで問題が決着したとみることはできません。障害者支援のあり方の方向性自体が問われているといえるでしょう。
しかし、応益負担の制度導入の際、利用者負担の前提とされていた障害者の所得保障はいまだ具体化されていません。障害者の約55%が主に年金で生計を立てていますが(2008年、内閣府調査)、障害基礎年金(月額1級8万2508円、2級6万6008円)の引き上げについて議論はなされていないままです。また、障害者が福祉工場などで得る工賃は平均月額1万6037円(2007年)で、働いても「自立」するにはまったく不十分な収入しか得られないのが現状といえます。
今回の見直しで問題が決着したとみることはできません。障害者支援のあり方の方向性自体が問われているといえるでしょう。