平成19年22.8%、18年20.5%。ここ数年、介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は約20%で推移しています。いまや社会福祉士国家試験よりもハードルの高い、介護・福祉関係の資格試験では最難関のものといえるでしょう。晴れて合格─の後にも、ケアマネジャーの基本となる業務への姿勢、技術などを学ぶ「介護支援専門員実務研修」が控えています。実務に就く前の最後の頑張りどころ、実務研修について概説します。
Vol.38 難関突破の後は─介護支援専門員実務研修を知ろう!(6)
特定非営利活動法人神奈川県介護支援専門員協会理事
社会福祉法人いきいき福祉会 ラポール三ツ沢開設準備室長
荻原満寿美
今回は、実務研修カリキュラムの「介護予防支援」についてです。
このカリキュラムは平成18年4月の介護保険法改正で新たに創設された「介護予防マネジメント」「予防給付」を中心とした講義になります。
試験を乗り越えてきた皆様は既に勉強してきたことですが、わかりにくいところがあるので簡単なおさらいをしましょう。
このカリキュラムは平成18年4月の介護保険法改正で新たに創設された「介護予防マネジメント」「予防給付」を中心とした講義になります。
試験を乗り越えてきた皆様は既に勉強してきたことですが、わかりにくいところがあるので簡単なおさらいをしましょう。
介護予防の考え方と事業
介護予防の考え方は、もともと介護保険制度創設時から基本理念としてうたわれていました。すなわち、(1)高齢者が要介護状態になることをできる限り防ぐこと、(2)要介護状態になっても状態がそれ以上に悪化しないようにすることであり、「自立支援」を旨とすることです。
この観点をより強調したものとして、18年改正では「新予防給付」(要支援1・2を対象)と、地域支援事業(介護保険非該当者を対象)が創設されました。地域支援事業のなかには、要介護状態にならないように早期に課題を発見して予防に取り組む仕組みである介護予防事業が含まれ、これは「一般高齢者施策」「特定高齢者施策」に分けられます。
予防給付と特定高齢者施策の利用者には、介護予防ケアマネジメントが実施され、介護予防サービス計画書が作成されます。これらは地域包括支援センターが介護予防支援事業所として担当し、要支援1・2の方では、介護予防サービス計画書の作成を居宅介護支援事業所に委託することもできます。
この観点をより強調したものとして、18年改正では「新予防給付」(要支援1・2を対象)と、地域支援事業(介護保険非該当者を対象)が創設されました。地域支援事業のなかには、要介護状態にならないように早期に課題を発見して予防に取り組む仕組みである介護予防事業が含まれ、これは「一般高齢者施策」「特定高齢者施策」に分けられます。
予防給付と特定高齢者施策の利用者には、介護予防ケアマネジメントが実施され、介護予防サービス計画書が作成されます。これらは地域包括支援センターが介護予防支援事業所として担当し、要支援1・2の方では、介護予防サービス計画書の作成を居宅介護支援事業所に委託することもできます。
介護予防で習得すること
介護予防の講義では、介護予防の考え方、介護予防に関する事業・サービスの全体像、その対象者、予防給付、そして介護予防ケアマネジメントのプロセスの理解と介護予防ケアプラン作成などを習得します。
一日で習得するにはかなりのボリュームがあり、「難しい」という声もあります。例えば、神奈川県では、介護予防のカリキュラムができた当初は、3日目に講義を行っていましたが、ケアマネジメントプロセスの全体を理解しないで介護予防を学ぶのは難しいのではという理由から、最終日になりました。
講義の中では、「なぜ、予防と介護のケアマネジメントが分かれているのか」という質問を受けることもあります。個人的には、「予防給付のケアマネジメントも介護給付のケアマネジメントも同じプロセスと手法」だと思っています。実際、両者のプロセスを比較すると、アセスメントからケアプラン作成、モニタリング・評価と変わりはありません。また、どの介護度の利用者であっても、予防と自立支援の観点が必要なことは変わらないからです。
しかし残念ながら、介護保険制度導入後、必要以上にサービスを盛り込んだ「サービス補完型プラン」により、利用者の意欲や自立を引き出すのではなく、逆に利用者の自立を妨げてしまうようなケースも一部でみられました。たとえ、要支援・要介護であっても、維持や改善の可能性があるということを、改めて考え直す必要があります。
介護予防のケアマネジメントでは、利用者本人が何ができ、何ができないのか、また、どうすればできるようになるのかといった視点を常に念頭におきながらケアプランを作成します。例えば、「介護予防サービス計画」では本人の意欲や意向、具体策にたいする本人の意向などが盛り込まれ、利用者自身の意向や取り組みが反映できるものになっています。
利用者にとっての自立とそれを支える予防とは何かを考え、引き出す最善の方法を考え続けていくことが、これからの介護支援専門員にとって大切であることを忘れないでほしいと思います。
◆NPO法人 神奈川県介護支援専門員協会編集 『オリジナル様式から考えるケアマネジメント実践マニュアル(介護予防編)』中央法規出版
一日で習得するにはかなりのボリュームがあり、「難しい」という声もあります。例えば、神奈川県では、介護予防のカリキュラムができた当初は、3日目に講義を行っていましたが、ケアマネジメントプロセスの全体を理解しないで介護予防を学ぶのは難しいのではという理由から、最終日になりました。
講義の中では、「なぜ、予防と介護のケアマネジメントが分かれているのか」という質問を受けることもあります。個人的には、「予防給付のケアマネジメントも介護給付のケアマネジメントも同じプロセスと手法」だと思っています。実際、両者のプロセスを比較すると、アセスメントからケアプラン作成、モニタリング・評価と変わりはありません。また、どの介護度の利用者であっても、予防と自立支援の観点が必要なことは変わらないからです。
しかし残念ながら、介護保険制度導入後、必要以上にサービスを盛り込んだ「サービス補完型プラン」により、利用者の意欲や自立を引き出すのではなく、逆に利用者の自立を妨げてしまうようなケースも一部でみられました。たとえ、要支援・要介護であっても、維持や改善の可能性があるということを、改めて考え直す必要があります。
介護予防のケアマネジメントでは、利用者本人が何ができ、何ができないのか、また、どうすればできるようになるのかといった視点を常に念頭におきながらケアプランを作成します。例えば、「介護予防サービス計画」では本人の意欲や意向、具体策にたいする本人の意向などが盛り込まれ、利用者自身の意向や取り組みが反映できるものになっています。
利用者にとっての自立とそれを支える予防とは何かを考え、引き出す最善の方法を考え続けていくことが、これからの介護支援専門員にとって大切であることを忘れないでほしいと思います。
◆NPO法人 神奈川県介護支援専門員協会編集 『オリジナル様式から考えるケアマネジメント実践マニュアル(介護予防編)』中央法規出版