平成19年22.8%、18年20.5%。ここ数年、介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は約20%で推移しています。いまや社会福祉士国家試験よりもハードルの高い、介護・福祉関係の資格試験では最難関のものといえるでしょう。晴れて合格─の後にも、ケアマネジャーの基本となる業務への姿勢、技術などを学ぶ「介護支援専門員実務研修」が控えています。実務に就く前の最後の頑張りどころ、実務研修について概説します。
Vol.34 難関突破の後は─介護支援専門員実務研修を知ろう!(4)居宅サービス計画の作成
特定非営利活動法人神奈川県介護支援専門員協会理事
社会福祉法人いきいき福祉会 ラポール三ツ沢開設準備室長
荻原満寿美
今回は、実務研修カリキュラムの「居宅サービス計画等の作成」についてです。
居宅サービス計画書は、アセスメントで把握したニーズに対する「解決のための具体策」を示すものです。これには、介護保険のフォーマルサービスやインフォーマルサービスなどの社会資源の内容や利用回数などが、支援の方針と目標を中心に記載されます。おそらく受講者の皆さんにとって最も興味があるカリキュラムでしょう。ケアマネジャーが、どのようなサービスを組み合わせてニーズを解決していくかを示す文字どおりの「計画書」ですので、ケアマネジメントの仕事の集大成とも言えます。
居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーの仕事内容を示す「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の第13条では、居宅介護支援の方針として、居宅サービス計画を作成するために必要な25項目を示しています。研修では、これらの項目を確認しながら、居宅サービス計画作成の方法を勉強していきます。
居宅サービス計画書は、アセスメントで把握したニーズに対する「解決のための具体策」を示すものです。これには、介護保険のフォーマルサービスやインフォーマルサービスなどの社会資源の内容や利用回数などが、支援の方針と目標を中心に記載されます。おそらく受講者の皆さんにとって最も興味があるカリキュラムでしょう。ケアマネジャーが、どのようなサービスを組み合わせてニーズを解決していくかを示す文字どおりの「計画書」ですので、ケアマネジメントの仕事の集大成とも言えます。
居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーの仕事内容を示す「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の第13条では、居宅介護支援の方針として、居宅サービス計画を作成するために必要な25項目を示しています。研修では、これらの項目を確認しながら、居宅サービス計画作成の方法を勉強していきます。
居宅サービス計画書の位置づけは
居宅サービス計画書は、第1表〜8表の帳票で構成されています(今年8月から、従来の第5表「サービス担当者に対する照会(依頼)内容」は第4表「サービス担当者会議の要点」に統合されました)。帳票には標準様式があり、国が運営基準で示している内容を網羅していることが条件ですが、様式の記載方法は変更可能です。これらの帳票のうち中心となるのは1〜3表です。以下、それぞれについて簡単に解説をします。
第1表「居宅サービス計画書(1)」は、居宅サービス計画の全体の方向性を示すものであり、認定日や有効期間といった利用者の介護保険に関する情報と併せ、「利用者及び家族の生活に対する意向」「総合的な援助の方法」などが記されます。
第2表「居宅サービス計画書(2)」はアセスメントにより抽出された解決が必要なニーズ(生活全般の解決すべき課題(ニーズ))と、それに対する長期目標、短期目標、そして介護サービスの内容や支援する介護サービス事業所、頻度、期間が記載されます。
第3表「週間サービス計画表」は利用者の週間スケジュールとなります。サービス提供のスケジュールと利用者の生活時間が週単位でまとめられているため、その人の生活リズムにあったケアプランとなっているかを確認することもできます。
研修では、主にこれらの帳票の趣旨やその記載方法を、講義と演習を通じて学んでいきます。まず念頭に置いておかなければならないのが、「ニーズが同じ利用者でも、サービス計画書の内容は全く違う」ということです。それは、利用者の価値感、家族の支援状況、経済状況などさまざまな背景によって変わってくるためです。ですので、研修でも「どうして、この介護サービスを組み合わせたのか」ということがよく質問されます。
しかし、こうしたことは利用者や家族の様々な情報から導きだされるものであり、個々のケースによって異なるものです。研修では、どうしても用意された事例でしか学べないという限界があります。研修のなかでは、利用者との信頼関係を作りながら、アセスメントを重視したニーズに対する多面的な視点からの解決方法を考えるという作成の基本姿勢を学び、実務に就いてからは、実践のなかで皆さん一人ひとりが研鑽していく必要があります。
なお、居宅サービス計画は、利用者支援の「マスタープラン」として位置づけられます。訪問介護、通所介護などの各サービス事業所は、第2表に記載された目標に沿ってそれぞれが「個別支援計画書」を作成し支援を行います。両者が連動する性質のものであるため、目標達成度など評価の重要性についても学びます。また、計画を作る上では、実際にサービスを提供するサービス事業所、インフォーマルサービスなどの社会資源を熟知していないと適切なものを作成できません。社会資源の情報収集や活用なども、カリキュラムの要素として含まれています。
第1表「居宅サービス計画書(1)」は、居宅サービス計画の全体の方向性を示すものであり、認定日や有効期間といった利用者の介護保険に関する情報と併せ、「利用者及び家族の生活に対する意向」「総合的な援助の方法」などが記されます。
第2表「居宅サービス計画書(2)」はアセスメントにより抽出された解決が必要なニーズ(生活全般の解決すべき課題(ニーズ))と、それに対する長期目標、短期目標、そして介護サービスの内容や支援する介護サービス事業所、頻度、期間が記載されます。
第3表「週間サービス計画表」は利用者の週間スケジュールとなります。サービス提供のスケジュールと利用者の生活時間が週単位でまとめられているため、その人の生活リズムにあったケアプランとなっているかを確認することもできます。
研修では、主にこれらの帳票の趣旨やその記載方法を、講義と演習を通じて学んでいきます。まず念頭に置いておかなければならないのが、「ニーズが同じ利用者でも、サービス計画書の内容は全く違う」ということです。それは、利用者の価値感、家族の支援状況、経済状況などさまざまな背景によって変わってくるためです。ですので、研修でも「どうして、この介護サービスを組み合わせたのか」ということがよく質問されます。
しかし、こうしたことは利用者や家族の様々な情報から導きだされるものであり、個々のケースによって異なるものです。研修では、どうしても用意された事例でしか学べないという限界があります。研修のなかでは、利用者との信頼関係を作りながら、アセスメントを重視したニーズに対する多面的な視点からの解決方法を考えるという作成の基本姿勢を学び、実務に就いてからは、実践のなかで皆さん一人ひとりが研鑽していく必要があります。
なお、居宅サービス計画は、利用者支援の「マスタープラン」として位置づけられます。訪問介護、通所介護などの各サービス事業所は、第2表に記載された目標に沿ってそれぞれが「個別支援計画書」を作成し支援を行います。両者が連動する性質のものであるため、目標達成度など評価の重要性についても学びます。また、計画を作る上では、実際にサービスを提供するサービス事業所、インフォーマルサービスなどの社会資源を熟知していないと適切なものを作成できません。社会資源の情報収集や活用なども、カリキュラムの要素として含まれています。
施設サービス計画書について
さて、介護保険施設にお勤めの方は、「施設サービス計画書の作成については?」と思われたのではないでしょうか。
記載される言葉の違いはありますが、基本的には、居宅も施設もサービス計画書の作成の考え方とその方法は同じです。「本当ですか?」と言われそうですね。確かに、施設サービス計画書ではニーズに対するサービス内容は、施設職員の介護内容を中心に組み立てられます。居宅サービス計画書は多様な介護サービスを組み合わせて作られますが、施設では、基本的に身体介護中心のケア内容が多く、一見すると趣はすこし異なるかもしれません。
施設ケアプランは介護職員の具体的ケアや作業の計画書(説明書)ととらえられている節がありますが、施設内の各専門職の個別支援計画に対するマスタープランという位置づけですので、必要なニーズと誰がいつ対応するか、そのための注意事項などを中心に記載されていればよいのです。介護や看護、栄養、リハビリなど各専門分野のチームアプローチがしっかり見えるプランを作成することは、居宅と同じく重要です。
また、これからの施設介護支援専門員には、利用者の暮らしや人生、そして権利擁護といった、それぞれの生き方に沿ったプランを作成することが要求されます。研修では、介護サービス計画が施設内で完結するのではなく、例えばボランティアといった地域のインフォーマルサービスや成年後見制度といった介護保険外の制度をもプランニングできるよう学んでいきます。
記載される言葉の違いはありますが、基本的には、居宅も施設もサービス計画書の作成の考え方とその方法は同じです。「本当ですか?」と言われそうですね。確かに、施設サービス計画書ではニーズに対するサービス内容は、施設職員の介護内容を中心に組み立てられます。居宅サービス計画書は多様な介護サービスを組み合わせて作られますが、施設では、基本的に身体介護中心のケア内容が多く、一見すると趣はすこし異なるかもしれません。
施設ケアプランは介護職員の具体的ケアや作業の計画書(説明書)ととらえられている節がありますが、施設内の各専門職の個別支援計画に対するマスタープランという位置づけですので、必要なニーズと誰がいつ対応するか、そのための注意事項などを中心に記載されていればよいのです。介護や看護、栄養、リハビリなど各専門分野のチームアプローチがしっかり見えるプランを作成することは、居宅と同じく重要です。
また、これからの施設介護支援専門員には、利用者の暮らしや人生、そして権利擁護といった、それぞれの生き方に沿ったプランを作成することが要求されます。研修では、介護サービス計画が施設内で完結するのではなく、例えばボランティアといった地域のインフォーマルサービスや成年後見制度といった介護保険外の制度をもプランニングできるよう学んでいきます。