平成19年22.8%、18年20.5%。ここ数年、介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は約20%で推移しています。いまや社会福祉士国家試験よりもハードルの高い、介護・福祉関係の資格試験では最難関のものといえるでしょう。晴れて合格─の後にも、ケアマネジャーの基本となる業務への姿勢、技術などを学ぶ「介護支援専門員実務研修」が控えています。実務に就く前の最後の頑張りどころ、実務研修について概説します。
Vol.33 難関突破の後は─介護支援専門員実務研修を知ろう!(3)アセスメント、ニーズの把握の方法
特定非営利活動法人神奈川県介護支援専門員協会理事
社会福祉法人いきいき福祉会 ラポール三ツ沢開設準備室長
荻原満寿美
今回は、実務研修のカリキュラムの「介護支援サービス(ケアマネジメント)の基礎技術」のうち、特に重要な「アセスメントとニーズの把握」について解説します。いよいよ、具体的なケアマネジメントの手法について学んでいくことになります。以前の研修ではMDS-HCや三団体版などのアセスメントツールを中心に行われていましたが、現在はほとんどの都道府県でアセスメントそのものについて学ぶことに重きを置いた内容となっているようです。
アセスメント、ニーズとは
さて、“アセスメント”“ニーズ”と聞くと、難しいように感じる方もいるかもしれませんが、このケアマネジメントのプロセスを簡単に言えば(少し乱暴ですが)、「その人(利用者)はどのような人で、どのような暮らしをして、どのように考えているか」という、その人を知る過程がアセスメント。その人が「困っていること」「したいこと」「要望していること」、そして「必要なこと」がニーズとなります。こうしたニーズをアセスメントから把握し、それを解決するのにどのようなことが必要かを考えながらプランニングしていくことになります。
利用者・家族の介護や生活に問題が発生し、または課題がある場合、相談に乗るケアマネジャーは、「問題は何だろうか。どうすれば解決できるか」と一生懸命に耳を傾けて解決方法を考えます。
しかし、気をつけなければならないのは、「皮相的なアセスメントでは、ニーズが掴めないこともある」ということです。
介護保険制度が導入されると、高齢者の方々にも「サービス」という言葉が広まりました。利用する方の多くが「私もヘルパーさんをお願いできるのかしら?」「自分もデイサービスに行ってみたい」などの声がありました。それはとても嬉しく、大切なことです。
しかし一方で、例えば「デイサービスに行きたいので紹介してください」という要望に対し、ケアマネジャーが「ハイ、わかりました。では、デイサービスの手続きをしますね」と紹介するだけの支援になってしまうこともあります。
その人に必要な支援は、デイサービスで本当によいのでしょうか。もしかして、通所リハビリテーションのほうが適当なのかもしれません。または、デイサービスにでかけて本当に効果があるのでしょうか。デイでよいとしても、小規模のデイサービスあるいは、認知症対応のデイサービスではなくてよいのでしょうか。
また、「炊事に困っている」という相談があった場合はどうでしょう。「では、給食サービスをご紹介しますね」という対応だけでよいのでしょうか。
ある人は、「私は買い物に行ってくれれば、自分で作りたい」という希望があるかもしれませんし、または「包丁がうまく使えない。食材を切る支援を受ければ、自分で調理ができる」かもしれません。さらに、機能訓練を行うことで、またご自分で調理ができるようになるかもしれません。場合によっては、給食代金を毎日払う経済的な力が無い可能性もあります。
利用者や家族から具体的な要望があったとしても、ケアマネジャーはそのまま受け取るのではなく専門職の目で吟味しなければならないのです。
利用者・家族の介護や生活に問題が発生し、または課題がある場合、相談に乗るケアマネジャーは、「問題は何だろうか。どうすれば解決できるか」と一生懸命に耳を傾けて解決方法を考えます。
しかし、気をつけなければならないのは、「皮相的なアセスメントでは、ニーズが掴めないこともある」ということです。
介護保険制度が導入されると、高齢者の方々にも「サービス」という言葉が広まりました。利用する方の多くが「私もヘルパーさんをお願いできるのかしら?」「自分もデイサービスに行ってみたい」などの声がありました。それはとても嬉しく、大切なことです。
しかし一方で、例えば「デイサービスに行きたいので紹介してください」という要望に対し、ケアマネジャーが「ハイ、わかりました。では、デイサービスの手続きをしますね」と紹介するだけの支援になってしまうこともあります。
その人に必要な支援は、デイサービスで本当によいのでしょうか。もしかして、通所リハビリテーションのほうが適当なのかもしれません。または、デイサービスにでかけて本当に効果があるのでしょうか。デイでよいとしても、小規模のデイサービスあるいは、認知症対応のデイサービスではなくてよいのでしょうか。
また、「炊事に困っている」という相談があった場合はどうでしょう。「では、給食サービスをご紹介しますね」という対応だけでよいのでしょうか。
ある人は、「私は買い物に行ってくれれば、自分で作りたい」という希望があるかもしれませんし、または「包丁がうまく使えない。食材を切る支援を受ければ、自分で調理ができる」かもしれません。さらに、機能訓練を行うことで、またご自分で調理ができるようになるかもしれません。場合によっては、給食代金を毎日払う経済的な力が無い可能性もあります。
利用者や家族から具体的な要望があったとしても、ケアマネジャーはそのまま受け取るのではなく専門職の目で吟味しなければならないのです。
アセスメントはケアプランの効果に直結する
その人に本当に必要なサービスをプランするためには、利用者の身体状況や疾患、今後の回復状況や予後、経済状態、家族関係、価値観等、利用者に関する多くの情報を把握しておかなければなりません。また、そうした情報こそがケアプラン、利用するサービスの必要性の根拠となります。アセスメントが不十分なことで、不必要なサービスの利用を助長させてしまったり、利用者・家族からの信頼を失う可能性もあるのです。
このように、その人にあった本当に効果のあるケアプランを作成するには、しっかりとしたアセスメントが大前提となります。とはいえ、アセスメントはケアマネジメントの中核の部分でもあり簡単なものではありません。
アセスメントを行う際に参考になるものとして、厚生労働省では、最低限のアセスメント項目として23項目からなる「課題分析標準項目」を定めています。実務研修では、これらのアセスメント項目をおさえることや、またはアセスメントツールとして開発されたアセスメント様式などについての説明が行われ、アセスメントの方法についての理解を深めます。また、アセスメントの際に頭に置いておくべきこととして、介護が必要な方でも「できること」も多くあるということが挙げられます。研修では、これに関連してストレングス視点やICFなども学び、「活動」や「参加」という視点からアセスメントすることが、その人の生活を大きく変えることが理解できると思います。
ケアマネジャーからよく聞く悩みのひとつに「納得のいくケアプランが作れない」というものがあります。これはほとんどの場合、アセスメントの不十分さに原因があります。ケアマネジャーには欠かせない技術ですので、しっかりと学びましょう。
このように、その人にあった本当に効果のあるケアプランを作成するには、しっかりとしたアセスメントが大前提となります。とはいえ、アセスメントはケアマネジメントの中核の部分でもあり簡単なものではありません。
アセスメントを行う際に参考になるものとして、厚生労働省では、最低限のアセスメント項目として23項目からなる「課題分析標準項目」を定めています。実務研修では、これらのアセスメント項目をおさえることや、またはアセスメントツールとして開発されたアセスメント様式などについての説明が行われ、アセスメントの方法についての理解を深めます。また、アセスメントの際に頭に置いておくべきこととして、介護が必要な方でも「できること」も多くあるということが挙げられます。研修では、これに関連してストレングス視点やICFなども学び、「活動」や「参加」という視点からアセスメントすることが、その人の生活を大きく変えることが理解できると思います。
ケアマネジャーからよく聞く悩みのひとつに「納得のいくケアプランが作れない」というものがあります。これはほとんどの場合、アセスメントの不十分さに原因があります。ケアマネジャーには欠かせない技術ですので、しっかりと学びましょう。