10月30日に政府が発表した追加経済対策では、2009年度から介護報酬が3%引き上げることが盛りこまれ、介護報酬改定の大枠が固まってきました。介護保険制度では過去2回ともマイナス改訂でしたが、プラス改訂は今回がはじめてのことになります。
Vol.32 介護報酬3%引き上げへ
1200億円投入で介護従事者を確保
今回の介護報酬3%の引き上げは、介護人材確保のためのものとみられています。介護従事者の月給を1人あたり2万円上げると同時に、それに伴う介護保険料の急激な上昇を緩和するため、国費1200億円が投入される予定です。そのために、補正予算で基金が設置され、65歳以上の高齢者については、2009年度は報酬改定による上昇分の全額が、2010年度は半額が国庫負担とされます。
これと同時に、介護人材確保のための方針として、(1)介護福祉士等就学資金貸付事業における返済免除要件の緩和、(2)母子家庭の母の介護福祉士等の資格取得支援の拡大、(3)介護人材の確保・定着させた事業者への助成などが提案されています。
しかし、報酬を引き上げても、介護従事者の具体的な賃金上昇へどう反映させるのかはっきりしておらず事業所まかせという問題が指摘されています。介護従事者の待遇を確実に改善するために、お金の流れの透明性を確保し、賃金や人件費率の公表が必要といえるでしょう。
厚生労働省は、今回の改定率決定を踏まえて、来年1月を目途に個別のサービス単価を決定する予定です。
しかし、報酬を引き上げても、介護従事者の具体的な賃金上昇へどう反映させるのかはっきりしておらず事業所まかせという問題が指摘されています。介護従事者の待遇を確実に改善するために、お金の流れの透明性を確保し、賃金や人件費率の公表が必要といえるでしょう。
厚生労働省は、今回の改定率決定を踏まえて、来年1月を目途に個別のサービス単価を決定する予定です。
在宅サービスに関する論点提示
なお、同じく10月30日に行われた、第57回社会保障審議会介護給付費分科会では、厚生労働省より、新しい介護報酬を鑑みて、在宅サービスの具体的見直しに向けた論点が提示されました。訪問介護ではサービス提供責任者の常勤要件の緩和や3級ヘルパーの廃止の延長、通所リハビリテーションでは医療保険から介護保険へのリハビリテーションの連携強化などが示されています。
これらには、介護従事者のキャリアアップへの取り組みや要介護度の維持・改善など、特筆すべき取り組みをしている事業事業所に対して、報酬を手厚く配分しようとする方針がうかがえます。
これらには、介護従事者のキャリアアップへの取り組みや要介護度の維持・改善など、特筆すべき取り組みをしている事業事業所に対して、報酬を手厚く配分しようとする方針がうかがえます。