キャッチ・アップVol.24において、昨年12月から開催されている「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の内容について解説しましたが、10月21日にこの検討会の中間報告書が出されましたので、今回はその内容を紹介します。
Vol.31 精神保健福祉士の養成のあり方は?(第2報)
精神障害者の地域移行を進めるために
報告書では、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な方策が示され、これまでさまざまな「精神保健医療福祉に関する施策が実施されてきたところではあるが、長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行が十分に進んでいない状況」があるとしています。
そして、「精神障害者の地域移行及び地域生活の支援」をさらに進め、「精神障害者が地域において安心して自立した生活を送る」には、「今後、『相談支援』の強化を図ること」が特に重要で、この「相談支援の強化を進めていく」には、「精神障害者の立場に立ち、権利擁護及び主体性を尊重した相談援助」により、「地域生活支援を行う専門職である精神保健福祉士」の役割がますます重要になる、としています。
このような背景から、「精神保健福祉士の高い専門性を担保できるような養成の在り方等について」の検討会を設置したとしています。
そして、「精神障害者の地域移行及び地域生活の支援」をさらに進め、「精神障害者が地域において安心して自立した生活を送る」には、「今後、『相談支援』の強化を図ること」が特に重要で、この「相談支援の強化を進めていく」には、「精神障害者の立場に立ち、権利擁護及び主体性を尊重した相談援助」により、「地域生活支援を行う専門職である精神保健福祉士」の役割がますます重要になる、としています。
このような背景から、「精神保健福祉士の高い専門性を担保できるような養成の在り方等について」の検討会を設置したとしています。
求められる役割・必要となる技術
検討会では主に、「求められる精神保健福祉士の役割について」「求められる役割を踏まえた対応について」という視点から議論が重ねられました。
報告書では、精神保健福祉士制度創設からのこの10年の精神保健医療福祉を取り巻くさまざまな変化から、「今後の精神保健福祉士に求められる役割」について、以下の2点を挙げています。
報告書では、精神保健福祉士制度創設からのこの10年の精神保健医療福祉を取り巻くさまざまな変化から、「今後の精神保健福祉士に求められる役割」について、以下の2点を挙げています。
(1)中核の業務として担うべき役割
「医療機関等におけるチームの一員として精神障害者の地域移行を支援する役割については、今後も精神保健福祉士の重要な役割」であるとし、これからは「精神障害者の地域生活を支援する役割がより重要」になってくるとしています。
これらについて、「精神保健福祉士が精神障害者を支援する専門職として担うべき最も重要な役割」であり、具体的な業務として、「援助の方向性を明らかにし、一貫性を保つための援助計画の作成、日常生活能力向上のための指導、生活技能訓練及び退院のための家族環境の調整を行うこと」「在宅医療・福祉サービスの調整、住居の確保・日常生活上の能力の向上のための訓練等の居住支援及び就職に向けた相談・求職活動・職業生活上での環境調整等の就労支援を行うこと」「地域住民に精神障害者の理解を求めるとともに、他職種・関係機関・ボランティアと連携し、必要な社会資源を整備、開発するための地域づくりを行うこと」などを挙げています。
これらについて、「精神保健福祉士が精神障害者を支援する専門職として担うべき最も重要な役割」であり、具体的な業務として、「援助の方向性を明らかにし、一貫性を保つための援助計画の作成、日常生活能力向上のための指導、生活技能訓練及び退院のための家族環境の調整を行うこと」「在宅医療・福祉サービスの調整、住居の確保・日常生活上の能力の向上のための訓練等の居住支援及び就職に向けた相談・求職活動・職業生活上での環境調整等の就労支援を行うこと」「地域住民に精神障害者の理解を求めるとともに、他職種・関係機関・ボランティアと連携し、必要な社会資源を整備、開発するための地域づくりを行うこと」などを挙げています。
(2)精神保健の課題の拡大を背景として拡がった役割
近年の精神保健における課題の拡大を背景として、精神保健福祉士の職域の拡大や支援の多様化を挙げています。
職域の拡大については、医療観察法における社会復帰調整官・精神保健参与員やスクールソーシャルワーカー、精神障害者就職サポーターなど、行政・司法・教育・労働に関する分野などでの職域の拡大がみられます。また、これまでの統合失調症への対応のみならず、気分障害や認知症、発達障害などへの対応が求められているとしています。
報告書では、この(1)(2)の役割を適切に遂行するために、「従来からの相談援助技術に加え、包括的な相談援助を行うための関連援助技術」として、「ケアマネジメント」「コンサルテーション」「チームアプローチ及びネットワーキング」などの技術が必要となってきているとされています。
職域の拡大については、医療観察法における社会復帰調整官・精神保健参与員やスクールソーシャルワーカー、精神障害者就職サポーターなど、行政・司法・教育・労働に関する分野などでの職域の拡大がみられます。また、これまでの統合失調症への対応のみならず、気分障害や認知症、発達障害などへの対応が求められているとしています。
報告書では、この(1)(2)の役割を適切に遂行するために、「従来からの相談援助技術に加え、包括的な相談援助を行うための関連援助技術」として、「ケアマネジメント」「コンサルテーション」「チームアプローチ及びネットワーキング」などの技術が必要となってきているとされています。
求められる役割を踏まえた対応
これらから、精神保健福祉士を取り巻く現状と課題について、報告書では次の5つにまとめています。
1:長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行を更に促進するとともに、安心して地域で暮らせるための支援が求められている。
2:精神障害者の地域生活を支援するにあたり、医療・福祉・就労など多様な精神障害者等のニーズに対応したサービスを効果的に提供することが求められている。
3:精神保健福祉士を取り巻く環境や求められる役割について変化があったが、これまで、この変化に対応した精神保健福祉士としての必要な知識及び技術が習得できるようなカリキュラムへの見直しが行われていない。
4:カリキュラムの見直しにあたっては、特に相談援助にかかる技術を習得する実習・演習の充実を図り、その実践力を高める必要がある。
5:精神保健福祉士を取り巻く環境について、今後も変化することがあり得るが、精神障害者等からのニーズに応じ、常に適切な支援を提供するためには、資格取得後の資質の向上が必要である。
報告書では、これらの現状と課題を踏まえ、次のような「具体的な対応を図るべき」としています。
1)精神保健福祉士の役割の理解の深化
2)他職種・関係機関との連携の重要性の明示
3)カリキュラムの充実
4)演習・実習にかかる水準の確保
5)資格取得後の資質の向上
なかでも3)ついては、精神障害者の「社会復帰の促進を図り、地域生活を支援していく上で必要となる知識及び技術については不可欠なものとして重点的に、さらに、職域の拡大や求められる支援の多様化に伴い拡がった役割についても基礎的な知識を習得できるよう、カリキュラムを充実させるべき」としています。
4)については、「精神保健福祉士の実践力を高めるため、養成施設における養成課程について、時間数の増や教育内容の充実を図るとともに、保健福祉系大学等における養成課程についても、養成施設と同程度の水準を確保すべき」「精神科病院等の医療機関での現場実習が極めて重要であることから、必須とすべき」「保健福祉系大学等及び養成施設の教員の質を高めるとともに、実習先の指導者の質についても高める必要がある」とされ、また、5)に関しては、「自己の研鑽のみならず、職能団体としても資質の向上のための卒後研修等に積極的に取り組むべきである」としています。
1:長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行を更に促進するとともに、安心して地域で暮らせるための支援が求められている。
2:精神障害者の地域生活を支援するにあたり、医療・福祉・就労など多様な精神障害者等のニーズに対応したサービスを効果的に提供することが求められている。
3:精神保健福祉士を取り巻く環境や求められる役割について変化があったが、これまで、この変化に対応した精神保健福祉士としての必要な知識及び技術が習得できるようなカリキュラムへの見直しが行われていない。
4:カリキュラムの見直しにあたっては、特に相談援助にかかる技術を習得する実習・演習の充実を図り、その実践力を高める必要がある。
5:精神保健福祉士を取り巻く環境について、今後も変化することがあり得るが、精神障害者等からのニーズに応じ、常に適切な支援を提供するためには、資格取得後の資質の向上が必要である。
報告書では、これらの現状と課題を踏まえ、次のような「具体的な対応を図るべき」としています。
1)精神保健福祉士の役割の理解の深化
2)他職種・関係機関との連携の重要性の明示
3)カリキュラムの充実
4)演習・実習にかかる水準の確保
5)資格取得後の資質の向上
なかでも3)ついては、精神障害者の「社会復帰の促進を図り、地域生活を支援していく上で必要となる知識及び技術については不可欠なものとして重点的に、さらに、職域の拡大や求められる支援の多様化に伴い拡がった役割についても基礎的な知識を習得できるよう、カリキュラムを充実させるべき」としています。
4)については、「精神保健福祉士の実践力を高めるため、養成施設における養成課程について、時間数の増や教育内容の充実を図るとともに、保健福祉系大学等における養成課程についても、養成施設と同程度の水準を確保すべき」「精神科病院等の医療機関での現場実習が極めて重要であることから、必須とすべき」「保健福祉系大学等及び養成施設の教員の質を高めるとともに、実習先の指導者の質についても高める必要がある」とされ、また、5)に関しては、「自己の研鑽のみならず、職能団体としても資質の向上のための卒後研修等に積極的に取り組むべきである」としています。
今後の検討
今後の検討会では、この中間報告を踏まえ、「より優れた人材の養成や、精神障害者に対する支援の一層の充実に向け、求められる精神保健福祉士を養成していくために必要となるカリキュラムについての検討」を行っていくことが予定されています。なお、カリキュラムの具体的な検討にあたっては、ワーキングチームを設置し、検討会での議論を踏まえ、検討を行う、としています。
今後の動向については、随時けあサポでもフォローしていく予定です。
精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書今後の動向については、随時けあサポでもフォローしていく予定です。