今回はグループホームで働く精神保健福祉士の仕事をご紹介します。
Vol.11 受験が終われば、現場にGO! 働く場の実際と心構え
その4 精神障害者グループホームのシゴト
坂尾裕介さん
社会福祉法人よつば グループホーム「クローバーハウス」管理者兼世話人
所有資格:精神保健福祉士
管理者として、世話人として
失敗するチャンスを援助者が取り上げない
私たちは地域の支援者として、医療とは少し離れたところから当事者の生活をサポートしています。精神障害のある当事者には、精神疾患をもつ患者としての側面と、その疾患をもつがゆえに生じてしまう生活のしづらさを抱えながら生活している「生活者」としての一面がありますが、私たちはその生活者としての側面に焦点をあてることが求められます。
当事者の皆さんは、実にさまざまな日常生活の場面でストレスを感じ、生活のしづらさを感じていて、そのストレスや生活のしづらさは病状に影響を及ぼし、時に不調や再入院の引き金になることもあります。しかし、地域で生活していく以上、そういったことをゼロにすることは不可能ですし、仮にできたとしても、それは地域生活とはいえません。地域の支援者の役割は、当事者のそういったストレスや生活のしづらさに対し、回避させたり取り除いてあげたりすることではなく、当事者自身がストレスやそこから生じる生活のしづらさを回避する、または取り除く力、つまりそれらとの付き合い方を身につけることができるよう支援していくことだと思います。
こう書くと、「そんなのは当たり前だ」とか「今さら何を」といった声が聞こえてきそうですが、実際の援助の場面では、いまだに回避させてあげる、取り除いてあげる、といった支援がなされているケースがあります。日々の業務に忙殺される中では、そういう方法をとるほうが圧倒的に時間も労力も少なくてすむ場合が多いからです。
私は利用者の「困った」という声に対し、“解決してあげるためにはどうすればよいか”ではなく、“この人はどういう条件が揃えばこの「困った」を自分で解決できるか”という視点を忘れないように心がけています。失敗したとしても、そこから必ず得る物はあるはずです。失敗は成功の素。大切なのは失敗するチャンスを援助者が取り上げてしまわないことです。
当事者の皆さんは、実にさまざまな日常生活の場面でストレスを感じ、生活のしづらさを感じていて、そのストレスや生活のしづらさは病状に影響を及ぼし、時に不調や再入院の引き金になることもあります。しかし、地域で生活していく以上、そういったことをゼロにすることは不可能ですし、仮にできたとしても、それは地域生活とはいえません。地域の支援者の役割は、当事者のそういったストレスや生活のしづらさに対し、回避させたり取り除いてあげたりすることではなく、当事者自身がストレスやそこから生じる生活のしづらさを回避する、または取り除く力、つまりそれらとの付き合い方を身につけることができるよう支援していくことだと思います。
こう書くと、「そんなのは当たり前だ」とか「今さら何を」といった声が聞こえてきそうですが、実際の援助の場面では、いまだに回避させてあげる、取り除いてあげる、といった支援がなされているケースがあります。日々の業務に忙殺される中では、そういう方法をとるほうが圧倒的に時間も労力も少なくてすむ場合が多いからです。
私は利用者の「困った」という声に対し、“解決してあげるためにはどうすればよいか”ではなく、“この人はどういう条件が揃えばこの「困った」を自分で解決できるか”という視点を忘れないように心がけています。失敗したとしても、そこから必ず得る物はあるはずです。失敗は成功の素。大切なのは失敗するチャンスを援助者が取り上げてしまわないことです。
当事者が気づけない部分への気づき
そのほか、心がけとして大切にしているのは、日々の変化を見落とさないことです。統合失調症をはじめとした精神疾患は、ご存知のとおり好不調を繰り返します。突然訪れるようにみえる不調の波も、生活の中で本人や周囲の環境を見回すと実は原因があり、わずかであっても予兆がみられることがあります。このことに関して当事者自身は気づいていなかったり、また気づいていてもどう対応してよいのかわからなかったりします。
私たちのような地域の援助者は、利用者それぞれのそういった部分に着目し、そのことを本人と共有することで対処法を見つけ、その人の地域生活への定着を目指すことが大切になります。つまり、本人が気づけないような部分への気づきが必要なわけですから、援助者には豊富な知識は当然として、高い洞察力や分析力も必要だということになります。
資格の有無や経験の長さにかかわらず、働き始めた瞬間から我々はプロの援助者としての役割を期待されます。皆さんのご活躍をお祈りしています。
私たちのような地域の援助者は、利用者それぞれのそういった部分に着目し、そのことを本人と共有することで対処法を見つけ、その人の地域生活への定着を目指すことが大切になります。つまり、本人が気づけないような部分への気づきが必要なわけですから、援助者には豊富な知識は当然として、高い洞察力や分析力も必要だということになります。
資格の有無や経験の長さにかかわらず、働き始めた瞬間から我々はプロの援助者としての役割を期待されます。皆さんのご活躍をお祈りしています。
- 関連リンク
-
けあサポ 福祉専門職サポーターズ
「プロフェッショナルブログ・佐野卓志のこころの病を生きるぼく」
中央法規出版
「新人PSW(精神科ソーシャルワーカー)おすすめ図書」