今回は、地域包括支援センターにおける社会福祉士の仕事を見てみましょう。
Vol.9 受験が終われば、現場にGO! 働く場の実際と心構え
その2 地域包括支援センターのシゴト
荒木 篤さん
笠松町社会福祉協議会 笠松町地域包括支援センター
主任ケアマネジャー(センター長)
所有資格:社会福祉士、介護支援専門員
1本の電話から始まる、一日の仕事
センターの1日は、1本の電話から始まります。朝一番の時間帯は、居宅サービス事業者と連絡が取りやすく、高齢者のサービス利用時の様子、日程やサービス内容の変更等、連携を支える報告、連絡、相談を短時間で行います。
一方で、利用者から(特にひとり暮らしの高齢者から)は、「役場からきた手紙の内容がわからない」「変な電話があった」などいろいろな相談が入ります。
さらに、地域包括支援センターであるがゆえの相談もあります。最近では、病院の医療相談員から、退院にかかわる介護保険申請代行や成年後見制度の活用等の相談が多くなってきました。安心して退院できる機関ネットワークづくりは、これからも大きな課題といえるでしょう。
朝の連絡等の後は、高齢者宅、デイサービスセンター等の事業所、介護支援専門員の事務所、病院等地域のさまざまな場所へ訪問に出ます。その合間に、センターの職員とケースの共有や確認を行ったり、事業所と電話でやりとりすることもあり、日中の時間帯は忙しいものとなっています。
夕刻には、再度事業所との連絡調整を行いながら、1日の記録をつけたり、行政への提出書類や研修会の企画・案内を作成するなどの事務を行います。
業務の大半を占める、地域にアウトリーチしていく仕事のあり方には、少し大げさですが「地域に暮らす高齢者の安心を約束できるか」という、センターの大きな使命があるのです。
社会と向き合うことが専門性
社会福祉士を取得した後は、基幹型在宅介護支援センターに配属になり、それが現在の地域包括支援センターにつながっています。配置に「資格取得者」という要件があったこともあり、「福祉の制度については何でも知っていると思われ、いろいろと相談がくる」「困難なケースについて行政から依頼がくる」「会議で発言を求められる」など、「資格」を超える期待も寄せられています。
社会福祉士は、個々のケースの背景にある社会と向き合う職種であり、そこに専門性があります。しかもそれは、現場の実践の中で養うものであると、自らの経験から確信しています。
これから現場で働く社会福祉士の皆さんには、現場の実践の中から、多くを学ぶ姿勢をもっていただきたいと思います。特に相談援助を業務とする場合には、相談に来た人の1つの主訴に対して、その背景となる生活全体を類推し、本当のニーズを導き出す思考を常にもつことが大切です。その姿勢こそが、最終的には多くの人々の信頼を勝ち取ることとなります。信頼こそが、良い仕事を進める推進力となるのです。
今後、私たち社会福祉士の日々の実践が、新たな日本の社会福祉を形づくる1つの力となります。必要なことは、日々の実践の積み上げと分析、それを社会に発信していく姿勢です。
私自身も実践を振り返りながら、皆さんと一緒に日々精進していきます。
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