今月の特集 小規模多機能型居宅介護を知っていますか?
第2回 コミュニティ・ホーム樂の実際
こうして樂が始まった…
所長の佐戸さんが、小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能)に取り組むこととなったきっかけは、介護が必要になった途端にそれまでの生活から切り離された生活になってしまうことへの疑問からです。訪問介護を入れても、タイミングが合わずに結局大変な排泄の介助を家族がしていたり、少し手伝ってもらえれば食事の支度も出来るのに同居家族がいるということでヘルパーさんに来てもらえなかったり、行きつけの美容院には行けず訪問美容のサービスを使わなければならなかったり…。
そのような疑問を解決するためにたどり着いたのが小規模多機能です。平成18年の制度改正で小規模多機能が地域密着型サービスとして制度化され、これなら介護が必要になっても、それまでと同じような生活ができるのではないかと佐戸さんは動き出しました。
そのような疑問を解決するためにたどり着いたのが小規模多機能です。平成18年の制度改正で小規模多機能が地域密着型サービスとして制度化され、これなら介護が必要になっても、それまでと同じような生活ができるのではないかと佐戸さんは動き出しました。
樂での過ごし方
樂での生活は、一人ひとりが自由です。皆で一緒に何かをやらなければいけないということはなく、絵を描きたい人は描き、散歩に行きたい人は行き、映画を観たい人は公共交通機関を使って観に行きます。このように、一人ひとりのやりたいことを安全に叶えるために、日中は6〜7人の職員と数人のボランティアが必要となります。
樂の構造
樂の使い方
樂に登録している方は21人。そのうちの3分の1の方が「泊まり」を利用し、毎日必ず泊まる人がいるわけではありません。泊まりの人が誰もいない日に、緊急に泊まりたいと申し出てきた人がいる場合、樂では状況に応じて対応を工夫しています。家族が用事を済ませるまで樂にいてもらい、それから迎えに来てもらったり、早朝に訪問して家族とバトンタッチすることもあります。もちろん、それでもどうにもならない時には急きょシフトを変更したり、佐戸さん自身が泊まってしまうこともあるそうです。これが、まさに小規模多機能の魅力です。「泊まり」の対応が難しくても、「通い」と「訪問」でそれをカバーします。また、時間の融通がきくことも大きな利点です。従来の訪問介護であれば時間制限がありましたが、小規模多機能ではそれがありません。お風呂に入りたくない利用者が、やっとお風呂に入ってくれそうな雰囲気になってきたところでタイムアウトということはありません。お風呂に入り終えるまで、かかわることができるのです。
家族の力
一定の金額で24時間切れ間のないサービスを提供できるのが、小規模多機能。しかし、家族の協力なくしては、小規模多機能の力は発揮できません。佐戸さんは「全てやってくださいというご家族には、施設に入ることを勧めることもあります」と言います。24時間切れ間のないサービスを何でもやってくれることとはき違えている家族が少なからずいるそうです。小規模多機能は、住み慣れた自宅ですごす、地域ですごすというのが基本理念です。どうかそれを忘れずに、小規模多機能のサービスを利用していただきたいです。
次回も小規模多機能型居宅介護の現場を紹介します。次回更新は、10月19日(月)を予定しています。
次回も小規模多機能型居宅介護の現場を紹介します。次回更新は、10月19日(月)を予定しています。
第3回 小規模多機能ホーム方南の実際
ご協力いただいた方
コミュニティ・ホーム樂 所長