認知症の人の歴史を学びませんか
第4回 認知症の人の未来を考える
今回の特集では、より認知症に関する理解を深めていただくため、これまで認知症の人がどのような所で生活し、生きてきたのかの歴史を取り上げています。最終回では、認知症の人の未来を考えます。
認知症の歴史に関する数多くの講演会をしている宮崎和加子さんの著書『認知症の人の歴史を学びませんか』(中央法規出版、1月刊行予定)の内容をもとにご紹介します。
認知症の歴史に関する数多くの講演会をしている宮崎和加子さんの著書『認知症の人の歴史を学びませんか』(中央法規出版、1月刊行予定)の内容をもとにご紹介します。
意識改革
かつて、日本の社会において、障害がある人を差別視・偏見視し、目にふれないような場所に隔離し、人が住む町から遠ざけるような対応をする傾向がありました。その体質はまだ残っています。しかし、その要因はともかく、どんな状態の人でも対等にみることができて、そして対等にかかわれるように意識を変えなければいけません。そして、さまざまな障害や病気などをもった人でも、肌の色が違う人種の人でも、同じ地域で、同じ町で一緒に暮らしていく「地域づくり」が大きな課題なのではないでしょうか。
まずは、周囲の「地域づくり」からはじめてみましょう。
まずは、周囲の「地域づくり」からはじめてみましょう。
認知症の人をめぐる状況
特認知症の人をめぐる状況も変わってきました。団塊の世代が高齢者の仲間入りを始めています。膨大な数の団塊の世代が、認知症になり自己実現のための要求を介護者・社会に表明していくでしょう。
誰もが、認知症になっても好きなことをして生き生きと暮らしたいと願うはずです。その願いを当たり前のように実現できる社会にしたいですね。
誰もが、認知症になっても好きなことをして生き生きと暮らしたいと願うはずです。その願いを当たり前のように実現できる社会にしたいですね。
行政の要介護者対策の方向性
行政の要介護者対策の方向性も変わってきました。これまで要介護者の中心的モデルは「寝たきり」で身体介護が必要な方でしたが、支援の質が異なる「認知症」モデルの対策が必要になってきました。
また、町から離れた大規模施設に収容する方向ではなく、できるだけ自宅で生活を継続できるように、また地域の小規模多機能サービスで支援していくという方向性に変わりました。
だからといって施設がなくなる訳ではなく、施設か自宅か、小規模か大規模か、利用者や家族の状況に応じて選択できるようになったのです。
ですので、利用者と家族はどの場所でどういった支援を受けるのが自分の状況に一番適しているのか、またどのように暮らしていきたいのかを考え、情報収集をしなければいけないのです。
また、町から離れた大規模施設に収容する方向ではなく、できるだけ自宅で生活を継続できるように、また地域の小規模多機能サービスで支援していくという方向性に変わりました。
だからといって施設がなくなる訳ではなく、施設か自宅か、小規模か大規模か、利用者や家族の状況に応じて選択できるようになったのです。
ですので、利用者と家族はどの場所でどういった支援を受けるのが自分の状況に一番適しているのか、またどのように暮らしていきたいのかを考え、情報収集をしなければいけないのです。
これから自分がどのような介護をしていくのか、また自分だったらどのような介護を受けたいのか、『認知症の人の歴史を学びませんか』を読んで考えてみませんか。