認知症予防にも効果!
「共想法」で、ほのぼの会話
第4回 「面白い話」の見つけ方
目の前の人と何か話をしてみたいと思っても、「一体、何を話してよいのかわからない…」という人は多いと思います。最終回にあたる今回は、そのような人のために、身の回りにある「面白い話」を見つける方法について、認知症予防の視点も含めてご紹介したいと思います。
認知症予防への効果
テーマに沿った写真を持ち寄り、時間と順番を決めて会話を楽しむ「共想法」は、もともと認知症予防を目的として開発されました。そこで、認知症予防に効果があると言われる(1)注意分割力、(2)体験記憶、(3)計画力の3つの認知活動にそって、日常生活の中で面白い話を見つける方法をまとめます。
注意分割力―周囲を注意深く観察し、面白いことに気づく
面白いことは、身の回りにたくさん転がっているという視点で、周囲を注意深く観察します。「面白いこと」は、必ずしも劇的なことやお腹を抱えて大笑いすることばかりではなく、少し気まずい感じや、思わず「くすっ」と笑ってしまうこと、何だか笑える…といったことが多いように思います。普段、何気なく散歩している道の途中、通勤中に流れる窓の外の風景、見慣れた職場の景色にも、実は面白いことが隠れているかもしれません。ただ、何となく眺めているのではなく、「面白いことが隠れているかもしれない」というつもりで注意深く見てみると、「おやっ?」と思うことがあるかも知れません。
複数のものに注意を向ける力は歳をとると衰えやすいため、意識して活用することが大切です。日常のいろいろな物に目を向け、耳を傾け、五感を駆使して注意を向けてみてください。
複数のものに注意を向ける力は歳をとると衰えやすいため、意識して活用することが大切です。日常のいろいろな物に目を向け、耳を傾け、五感を駆使して注意を向けてみてください。
体験記憶―面白いことに出会ったら、写真を撮って覚えておく
せっかく面白いことがあっても、人は多くの場合、すぐに忘れてしまいます。そこで、可能であれば写真を撮っておくことをお勧めします。「決定的瞬間」を逃さないように、常にデジタルカメラを持ち歩いてみてはいかがでしょうか。
認知症の中核症状は記憶障害で、特に、体験したこと自体を忘れてしまうことに特徴があります。もちろん、何の障害がなくても、私たちは多くの体験を忘れてしまっています。「最近あった面白い話をしてください」と言われて、すぐに話せる人はなかなかいないと思います。「面白い体験」を覚えておこうと意識して過ごすこと、覚えておくために写真を撮って残しておくこと、「面白い体験」として取り出せるように準備しておくことで、意識していなければ忘れてしまうささやかな「面白い体験」を覚えておくことができます。
認知症の中核症状は記憶障害で、特に、体験したこと自体を忘れてしまうことに特徴があります。もちろん、何の障害がなくても、私たちは多くの体験を忘れてしまっています。「最近あった面白い話をしてください」と言われて、すぐに話せる人はなかなかいないと思います。「面白い体験」を覚えておこうと意識して過ごすこと、覚えておくために写真を撮って残しておくこと、「面白い体験」として取り出せるように準備しておくことで、意識していなければ忘れてしまうささやかな「面白い体験」を覚えておくことができます。
計画力―面白そうなところ(面白いことがありそうなところ)に行き、面白かったことを人に伝える
自分が生活している地域にも、「名所」といわれる場所や、四季折々さまざまな行事が行われる場所があると思います。それほど遠出をしなくても歩いていけるところ、また、日帰りで行けるところにも面白い場所はあるものです。たしかに、いつも歩いている道でも、見方を変えるだけで、新しい発見がありますが、普段、行かない場所に行けば、普段は見ることのないものに出会う可能性が広がります。
計画力も、注意分割力や体験記憶と同様に、歳とともに低下しやすい力の一つです。したがって、意識的にこの機能を活用することをお勧めします。「計画力」といっても、大がかりなことではなく、「面白いこと」「面白い体験」を探すために、どこに行こうか、何を持って行こうか、誰と行こうか、などを考えることや、面白かったことをどのように伝えるかを考えながら、見つけたものを撮影することも計画力の一つです。
計画力も、注意分割力や体験記憶と同様に、歳とともに低下しやすい力の一つです。したがって、意識的にこの機能を活用することをお勧めします。「計画力」といっても、大がかりなことではなく、「面白いこと」「面白い体験」を探すために、どこに行こうか、何を持って行こうか、誰と行こうか、などを考えることや、面白かったことをどのように伝えるかを考えながら、見つけたものを撮影することも計画力の一つです。
さいごに
さいごに、NPO法人ほのぼの研究所の「ほの研ブログ」(http://www.fonobono.org/modules/d3blog/)より、「面白い話」をひとつご紹介します。
撮影者の説明:趣味と実益を兼ねて、毎日ウォーキングを続けています。そこで見つけた看板が、写真の「Kang! Bang! Yah!!」で、毎日見ても、ニコッとしてしまい、ちょっと疲れていても元気が出ます。ただ、いつもシャッターが閉まっているのが気になるところです。
聞き手の質問&コメント:いつか看板屋さんのシャッターが開くといいですね。お昼頃に散歩をしたら開いているのではないでしょうか。
聞き手の質問&コメント:いつか看板屋さんのシャッターが開くといいですね。お昼頃に散歩をしたら開いているのではないでしょうか。
ご協力いただいた方
■大武美保子先生
東京大学人工物工学研究センター准教授。認知症をもつ祖母との会話をヒントに、写真を見てほのぼの会話をする「共想法」を考案。2007年に研究拠点「ほのぼの研究所」を設立し、翌年NPO法人化、代表理事を務める。共想法を日常生活の中で実践し、高齢者が本来持っている力を引き出し、認知症予防や介護、脳のリハビリテーションに役立てるサービスを、平均年齢73歳、最高87歳の市民研究員、福祉、介護、医療関係者と共に開発中。
現在、介護専門職の総合情報誌「おはよう21」(中央法規)にて、好評連載中。