介護保険制度の改正について-平成24年
第2回 24時間地域巡回型訪問サービス
前回は、今国会(第177回)に提出されております、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」の概要をお伝えしました。
第2回は、今回の改正案の中で注目度の高い「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス事業」についてです。この事業の創設に向けて厚生労働省において「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」で議論がなされ、その議論の報告書が三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社より公表されております。平成24年度よりはじまる本事業のあり方やイメージについて、この報告書の概要を元にお伝えします。
第2回は、今回の改正案の中で注目度の高い「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス事業」についてです。この事業の創設に向けて厚生労働省において「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」で議論がなされ、その議論の報告書が三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社より公表されております。平成24年度よりはじまる本事業のあり方やイメージについて、この報告書の概要を元にお伝えします。
基本的な考え方
・在宅の要介護高齢者の日常生活を支えるために必要な介護・看護サービスを包括的かつ継続的に提供するものであり、「地域包括ケア」の仕組みを支える基礎的なサービスとして位置づけられるものです。
・適切なアセスメントとマネジメントに基づいて、介護サービスと看護サービスが連携を図りつつ、「短時間の定期訪問」、「随時の対応」といった手段を適宜・適切に組み合わせて、1日複数回、「必要なタイミング」で「必要な量と内容」のケアを一体的に提供する「まったく新しいサービス類型」です。
【最終的な目標】
「単身・重度の要介護者」であって、在宅を中心とする住み慣れた地域で、尊厳と個別性が尊重された生活を継続することができるような社会環境の整備
・適切なアセスメントとマネジメントに基づいて、介護サービスと看護サービスが連携を図りつつ、「短時間の定期訪問」、「随時の対応」といった手段を適宜・適切に組み合わせて、1日複数回、「必要なタイミング」で「必要な量と内容」のケアを一体的に提供する「まったく新しいサービス類型」です。
【最終的な目標】
「単身・重度の要介護者」であって、在宅を中心とする住み慣れた地域で、尊厳と個別性が尊重された生活を継続することができるような社会環境の整備
基本コンセプト
(1)一日複数回の定期訪問と継続的アセスメントを前提としたサービス
一日複数回の定期訪問によるサービス提供を行い、在宅生活を包括的に支えるとともに、利用者の心身の状況について介護・看護の視点から継続的にアセスメントを行う。
(2)短時間ケア等、時間に制約されない柔軟なサービス提供
継続的なアセスメントに基づき、施設におけるケアと同様、利用者の心身の状況に応じて、提供時間の長さやタイミングを柔軟に変更しながら必要なサービスを提供する。
(3)「随時の対応」を加えた「安心」サービス
一日複数回の定期訪問に加え、利用者からのコールを受けた場合に、利用者の心身の状況等を踏まえコール内容を総合的かつ的確に判断し、必要な対応を行うことにより在宅生活の安心感を提供する。
(4)24時間の対応
日中帯を中心に定期訪問サービス提供を行い、起床から就寝までの在宅生活を包括的に支えるとともに、発生頻度は少ないながらも確実に存在する深夜帯のニーズに対応するため、24時間の対応体制を確保する。
(5)介護サービスと看護サービスの一体的な提供
在宅生活を包括的かつ継続的に支える観点から、利用者の看護ニーズに対応するため、介護・看護サービスを一体的に提供する。
一日複数回の定期訪問によるサービス提供を行い、在宅生活を包括的に支えるとともに、利用者の心身の状況について介護・看護の視点から継続的にアセスメントを行う。
(2)短時間ケア等、時間に制約されない柔軟なサービス提供
継続的なアセスメントに基づき、施設におけるケアと同様、利用者の心身の状況に応じて、提供時間の長さやタイミングを柔軟に変更しながら必要なサービスを提供する。
(3)「随時の対応」を加えた「安心」サービス
一日複数回の定期訪問に加え、利用者からのコールを受けた場合に、利用者の心身の状況等を踏まえコール内容を総合的かつ的確に判断し、必要な対応を行うことにより在宅生活の安心感を提供する。
(4)24時間の対応
日中帯を中心に定期訪問サービス提供を行い、起床から就寝までの在宅生活を包括的に支えるとともに、発生頻度は少ないながらも確実に存在する深夜帯のニーズに対応するため、24時間の対応体制を確保する。
(5)介護サービスと看護サービスの一体的な提供
在宅生活を包括的かつ継続的に支える観点から、利用者の看護ニーズに対応するため、介護・看護サービスを一体的に提供する。
サービスのあり方のポイント1
☆サービスの対象者像
・本サービスは、要介護3以上の要介護者の在宅生活限界点を引き上げることを前提としていますが、要介護1・2といった軽度の要介護者であっても、一日複数回の定期訪問ニーズや随時の対応による安心感の提供の効果は認められることから、本サービスの対象者は要介護者全般とすべきである。
・継続的アセスメントに基づく一日複数回の訪問により、適切な食事内容の確保や、服薬の確認、排泄時の清潔保持、心身の状況の変化の定期的な確認等が可能であることから、認知症高齢者の在宅生活を支える上でも有効性が期待されるが、サービス提供に当たっては認知症高齢者の心身の状況に応じた配慮も必要である。
・継続的アセスメントに基づく一日複数回の訪問により、適切な食事内容の確保や、服薬の確認、排泄時の清潔保持、心身の状況の変化の定期的な確認等が可能であることから、認知症高齢者の在宅生活を支える上でも有効性が期待されるが、サービス提供に当たっては認知症高齢者の心身の状況に応じた配慮も必要である。
☆ケアマネジメント及び24時間地域巡回型訪問サービスが行うマネジメントのあり方
・24時間地域巡回型訪問介護サービス事業者は、実際に訪問を行っている介護職員や看護職員によるチームが行う継続的アセスメントに基づき、一日のサービス提供のタイミング等を決定する。
・こうしたマネジメントを行うことにより、より効率的な移動ルートの設定や介護従事者の効果的な投入が可能となる。
・ケアマネジャーは、24時間地域巡回型訪問サービス事業所と「共同マネジメント」の形で緊密に連携を図り、他のサービス提供事業者との情報共有を進めつつ、利用者のニーズに即したケアプランを作成することが必要となる。
・こうしたマネジメントを行うことにより、より効率的な移動ルートの設定や介護従事者の効果的な投入が可能となる。
・ケアマネジャーは、24時間地域巡回型訪問サービス事業所と「共同マネジメント」の形で緊密に連携を図り、他のサービス提供事業者との情報共有を進めつつ、利用者のニーズに即したケアプランを作成することが必要となる。
サービスのあり方のポイント2
☆介護サービスと看護サービスの一体的提供
・在宅生活の継続には介護サービスに加え看護サービスの安定的な提供が重要であり、介護職員と看護職員が情報を共有しながら一体的にサービスを提供することが重要であり、具体的には看護職員は、
(1)利用者に対する定期的なモニタリング・アセスメント
(2)訪問看護指示書に基づくサービス提供
(3)体調急変時の判断や医師との連携
(4)介護職員に対する療養上の助言
等を行う。
・このため、24時間地域巡回型訪問サービス事業所には、介護職員と看護職員を配置し、介護・看護サービスを一体的に提供できる体制とし、効果的かつ柔軟なサービス提供を行うべきである。なお、事業所に看護職員を配置することが困難な場合においても、外部の事業所との緊密な連携により、こうした機能を確保する必要がある。
(1)利用者に対する定期的なモニタリング・アセスメント
(2)訪問看護指示書に基づくサービス提供
(3)体調急変時の判断や医師との連携
(4)介護職員に対する療養上の助言
等を行う。
・このため、24時間地域巡回型訪問サービス事業所には、介護職員と看護職員を配置し、介護・看護サービスを一体的に提供できる体制とし、効果的かつ柔軟なサービス提供を行うべきである。なお、事業所に看護職員を配置することが困難な場合においても、外部の事業所との緊密な連携により、こうした機能を確保する必要がある。
☆職員配置のあり方
・利用者の心身の状態の変化に応じて柔軟なサービス提供を行う必要があるため、常勤職員の雇用を進め勤務ローテーション安定化することが基本となるが、モーニングケア、食事、ナイトケアなど特定の時間帯において利用の集中が予想されることから、短時間勤務職員も組み合わせたシフト対応が必要になる。
・人材の安定的確保及び有効活用の観点から、兼務等について柔軟に対応できる仕組みが必要である。特に、夜間(深夜)は、サービス提供の頻度も相当程度低下することが想定されるため、ほかの24時間対応を行っている介護サービス事業所、または施設等との兼務も検討すべきである。
・人材の安定的確保及び有効活用の観点から、兼務等について柔軟に対応できる仕組みが必要である。特に、夜間(深夜)は、サービス提供の頻度も相当程度低下することが想定されるため、ほかの24時間対応を行っている介護サービス事業所、または施設等との兼務も検討すべきである。
随時の対応のための職員配置
・利用者からのコールに対応する職員(オペレーター)は一定の知見と実務経験を有する者を配置することが望ましい。また、利用者の看護ニーズに適切に対応するため、必要に応じて看護の専門知識を有する職員からの助言が常に得られるような体制を確保すべきである。
・こうした随時の対応体制については、人的資源の効果的活用の観点から、事業所間の連携・委託方式や多様な地域資源・インフラの活用等も重要である。また、双方向通信が可能なICT(情報通信技術)を活用した機器の利活用の推進も有効である。
・こうした随時の対応体制については、人的資源の効果的活用の観点から、事業所間の連携・委託方式や多様な地域資源・インフラの活用等も重要である。また、双方向通信が可能なICT(情報通信技術)を活用した機器の利活用の推進も有効である。
サービスのあり方のポイント3
☆事業者のサービス提供圏域のあり方
・利用者のニーズに即応する必要性があり、また移動時間の短縮が効率的な運営を行ううえで重要になることから、30分程度の範囲が適当である。
・在宅高齢者の日常生活圏域内で、各地域及び住民の特性に応じたきめ細かなニーズ把握とサービスのマネジメントを行うことが求められることから、市町村が事業者指定を行う「地域密着型サービス」とすることが適当である。
・事業所の指定については、個々の日常生活圏域におけるニーズや地域特性等に応じて、安定的なサービス提供が確保されるよう、市区町村が一定の裁量のもと、利用者の事業者選択の自由の確保の視点も踏まえながら計画的に行うことが重要である。
・在宅高齢者の日常生活圏域内で、各地域及び住民の特性に応じたきめ細かなニーズ把握とサービスのマネジメントを行うことが求められることから、市町村が事業者指定を行う「地域密着型サービス」とすることが適当である。
・事業所の指定については、個々の日常生活圏域におけるニーズや地域特性等に応じて、安定的なサービス提供が確保されるよう、市区町村が一定の裁量のもと、利用者の事業者選択の自由の確保の視点も踏まえながら計画的に行うことが重要である。
☆報酬体系のあり方
・高齢者の生活においては、心身の状態が日々変化しそれにともない必要なサービスの量やタイミングも変化することから、施設と同様、包括定額払い方式の介護報酬を基本とすべきである。
・包括定額払いを導入する際、「事業者によるサービス提供控え」が生じる可能性があるが、これについては、保険者の責任において利用者の在宅生活が、包括的かつ継続的に支えられているかを把握する必要がある。
・包括定額払いを導入する際、「事業者によるサービス提供控え」が生じる可能性があるが、これについては、保険者の責任において利用者の在宅生活が、包括的かつ継続的に支えられているかを把握する必要がある。
☆本サービスの事業者、従業員に与える効果
・従来の訪問介護に比べ事業者側のサービス提供の密度が高まることにより、職員の稼働率の向上が図られ、より効率的なサービス提供が可能となり、事業者の経営の安定性が増すほか、常勤職員の雇用機会の増加等、介護職員の処遇改善が期待される。
・利用者の一日の生活を包括的かつ継続的に支えることにより、利用者のニーズを総合的・継続的に把握することが可能となり、介護従事者の専門性の向上、やりがいの醸成につながる。
・これまでの一対一の関係性に比較してチームケアの概念がより強化される。
事業モデルのシミュレーション図
・利用者の一日の生活を包括的かつ継続的に支えることにより、利用者のニーズを総合的・継続的に把握することが可能となり、介護従事者の専門性の向上、やりがいの醸成につながる。
・これまでの一対一の関係性に比較してチームケアの概念がより強化される。
事業モデルのシミュレーション図
以上が報告書の概要になります。平成24年4月より正式に介護保険法に位置づけられる予定の本事業は、今後「地域包括ケア」を推進していくうえで中核を担う事業の一つです。報告書が提言しているさまざまな事項が実際に反映されて運営されることが介護をする側・うける側にとって一番有益なことではないでしょうか。
次回は「複合型サービス」についてお伝えします。
【参考資料】「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」報告書(平成23年2月25日 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
次回は「複合型サービス」についてお伝えします。
【参考資料】「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」報告書(平成23年2月25日 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)