認知症予防にも効果!
「共想法」で、ほのぼの会話
第2回 「共想法」の実施方法
前回は、「共想法」について、開発の経緯、目的、効果をご紹介しました。今回は、実施の方法について具体的にご紹介したいと思います。
準備1:参加者を決める
共想法では、事前に写真を準備することのできる人が参加対象者となります。最大で6名程度が基本ですが、複数の人を前に会話をするのが苦手な人がいる場合は、人数を減らすと少し話しやすく感じられます。1対1で行うことももちろん可能です。
準備2:テーマを決めて写真を持ち寄る
テーマは、何でもよいのですが、「好きなものごと」「ふるさと・旅行・近所の名所」「健康・食べ物」「季節の楽しみ」など、周囲の人と話しやすく、写真の準備をしやすいものがよいようです。
準備3:写真をパソコンに登録する
話題提供者が持ち寄った写真をパソコンに登録します。共想法をスムーズに進行させるため、「ほのぼのパネル」というシステムが開発されています。このシステムを使うと、参加者ごとに写真を整理して登録しておくことができます。写真を登録したらプロジェクターとスクリーンを準備し、スクリーンに向かって半円を描くように6人が座ります(写真3)。
実施1:1周目は話題提供
持ち寄った写真を順にスクリーンに映し出し(写真4)、写真を持ってきた人がそれにまつわる話をします。標準的には、【1人あたり写真3枚で5分間】としています。この時間配分で進めると、参加者が6人の場合、話題提供で合計30分になります。話題提供者以外の人は、質問や感想を考えながら集中して話を聞きます。
実施2:2周目は質疑応答
1週目で全員が話題提供を終えた後、2周目は、写真と話題について参加者からの質問や感想を受け付けます。標準的には、話題提供と同様に【1人の話題提供者あたり5分間】としています。参加者が6人の場合は、合計で30分、1周目の30分とあわせて約1時間のプログラムになります。1周目を話題提供、2周目を質疑応答とするのは、話題提供と質疑応答をセットで行うと、終わりのほうの順番の人が、自分の出番まで長時間待つことになり、落ち着かないためです。
ほのぼのパネルの活用
先に紹介した「ほのぼのパネル」を活用すると、実施時間全体の時間と話題提供者の話している時間がスクリーンに表示されるため、参加者は時間を意識しながら会話をすることができます。持ち時間を過ぎると「タイムオーバー」(写真5)と表示されるので、自他ともに持ち時間を過ぎたことがわかるため、スムーズに話し手を交代することができます。
今回は、共想法の実施方法について具体的にご紹介しました。いかがでしょうか。みなさんもご家族や親しいご友人と実施してみてはいかがでしょうか。次回は、共想法を日常生活に活かす方法をご紹介します。
ご協力いただいた方
■大武美保子先生
東京大学人工物工学研究センター准教授。認知症をもつ祖母との会話をヒントに、写真を見てほのぼの会話をする「共想法」を考案。2007年に研究拠点「ほのぼの研究所」を設立し、翌年NPO法人化、代表理事を務める。共想法を日常生活の中で実践し、高齢者が本来持っている力を引き出し、認知症予防や介護、脳のリハビリテーションに役立てるサービスを、平均年齢73歳、最高87歳の市民研究員、福祉、介護、医療関係者と共に開発中。
現在、介護専門職の総合情報誌「おはよう21」(中央法規)にて、好評連載中。