医療と介護をあわせたデイサービス「療養通所介護」
最終回 療養通所介護ってこんなところ 2
〜療養通所介護事業所 鳩ヶ谷
療養通所介護について紹介した特集も最終回となりました。前回に引き続き、療養通所介護事業所・鳩ヶ谷におじゃまして、お昼からの様子をレポートします。
お昼ご飯も自分にあった物を
お昼ご飯は自己負担になるので、各自で用意します。KさんとOさんは介護専門の配食サービスからお弁当を取り寄せました。自分で食べることのできるOさんは、ゆっくりマイペースで召し上がります。Kさんは介助が必要なので、平賀玉江さん(介護福祉士)に食事介助をしてもらいながら召し上がっていました。
Iさんは胃瘻からになりますが、胃瘻の回りの皮膚が赤くなっているため半固形の栄養をチューブではなく注射器で看護師の高橋保子さんが慎重に注入していました。Sさんも胃瘻からの食事になります。30分前に脱気という胃の中に残ったものを出す処置を行ってから、胃瘻にチューブをつなげました。テレビが見えるようにとベッドを移動して、2時間以上かけて食事を行いました。
Iさんは胃瘻からになりますが、胃瘻の回りの皮膚が赤くなっているため半固形の栄養をチューブではなく注射器で看護師の高橋保子さんが慎重に注入していました。Sさんも胃瘻からの食事になります。30分前に脱気という胃の中に残ったものを出す処置を行ってから、胃瘻にチューブをつなげました。テレビが見えるようにとベッドを移動して、2時間以上かけて食事を行いました。
できることをマイペースで
午後も各自ができることを、自分のペースで行います。足浴をしたり、テレビをみて過ごしたり、切り絵を楽しむ方もいらっしゃいました。利用者のKさんは「私はここ以外にも大人数(60名)のデイサービスにも通っています。ここは少人数だからきめ細かく対応してくれるところがいいですね」とおっしゃっていました。
春らしいステキな切り絵を貼り終えたOさんは、しっかり洋服を着込んで散歩に出掛けることに。とにかく散歩が大好きで毎日かかせないのだと言います。事業所の前に咲いていたお花を前に、にっこり。
春らしいステキな切り絵を貼り終えたOさんは、しっかり洋服を着込んで散歩に出掛けることに。とにかく散歩が大好きで毎日かかせないのだと言います。事業所の前に咲いていたお花を前に、にっこり。
帰りの送迎
必然のサービスを制度として成り立つように
Sさんの家族はこう言います。「療養通所介護に行くようになり、本人は明るくなり、家族は楽になりました。いつもの看護師さんが来てくれることも安心です」。療養通所介護を利用するまでのSさんは、失語症のために意思表示がうまくできず、大きな声をあげることが多かったそうです。家族も訪問看護師も、その声の意味をはかりかねていました。しかし、療養通所介護で看護師が長時間にわたってSさんと関わることで、その声がトイレのサインであったり、何かを要求する声だったことが徐々にわかってきたそうです。適切な関わりができるようになると、Sさんも安心して、大きな声をあげることが少なくなりました。これは訪問看護の短い時間だけではわからなかったことですし、こうした変化がご家族の介護負担を減らすことにつながることはいうまでもありません。また、ケアマネジャーやホームヘルパーなど他の事業者にも伝えることで、チームとしてよりよいケアができるようになったそうです。
医療ニーズの高い人やその家族にとって、とても大切なサービスでありながら、療養通所介護事業所は全国に70か所ほどしかありません。その理由は介護報酬が低いことが大きな原因です。事業をすればするほど赤字になってしまい、鳩ヶ谷でも週に2回が精一杯とのことでした。
赤字になりながらも事業を行う意味を問うと、所長の白石恵子さんと高橋さんは口をそろえて「必然だから」とおっしゃいました。在宅で暮らす医療依存度が高い方に訪問看護で接するたびに、本人の外出する機会や家族のレスパイトの必要性を痛感するようになったのだといいます。「経営的には難しいけれど、すごく大事なことをしているという自負があります。自分たちも楽しんでやっています」と高橋さんは前向きです。今後は、状態の安定につながったデータなどをまとめて国に報告することで、制度の有効性を訴えるといったこともしていきたいと白石所長も力強く語ります。
医療ニーズの高い人やその家族にとって、とても大切なサービスでありながら、療養通所介護事業所は全国に70か所ほどしかありません。その理由は介護報酬が低いことが大きな原因です。事業をすればするほど赤字になってしまい、鳩ヶ谷でも週に2回が精一杯とのことでした。
赤字になりながらも事業を行う意味を問うと、所長の白石恵子さんと高橋さんは口をそろえて「必然だから」とおっしゃいました。在宅で暮らす医療依存度が高い方に訪問看護で接するたびに、本人の外出する機会や家族のレスパイトの必要性を痛感するようになったのだといいます。「経営的には難しいけれど、すごく大事なことをしているという自負があります。自分たちも楽しんでやっています」と高橋さんは前向きです。今後は、状態の安定につながったデータなどをまとめて国に報告することで、制度の有効性を訴えるといったこともしていきたいと白石所長も力強く語ります。
療養通所介護事業所・鳩ヶ谷では、この2月から、毎週水曜日に超重症心身障害児・者を受け入れる事業を始めたそうです。訪問看護では、高齢者だけでなく、呼吸器を付けた子どもたちも訪問していますが、そうした子どもたちの外出サービスは、高齢者以上に少ないそうです。
療養通所介護は医療依存度の高い人が在宅で暮らし続けるために、とても大切なサービスです。しかし、善意の事業者の努力で成り立っているのが現実です。制度を作るのは、利用している一人ひとりの声。このレポートを読んで「療養通所介護を使いたい!」と思った皆さま。ぜひ、声を上げてみませんか。
療養通所介護は医療依存度の高い人が在宅で暮らし続けるために、とても大切なサービスです。しかし、善意の事業者の努力で成り立っているのが現実です。制度を作るのは、利用している一人ひとりの声。このレポートを読んで「療養通所介護を使いたい!」と思った皆さま。ぜひ、声を上げてみませんか。
取材先
[住所]
埼玉県鳩ヶ谷市坂下町1−8−16
[電話]
048−281−7102
[ホームページ]
http://www.nurse-saitama.jp/26page_3.html