介護保険制度の改正について-平成24年
第4回 介護職員等によるたんの吸引等の実施について
いよいよ最終回となりました。
予告通り今回は、現在審議中の「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」の中の目玉の一つである、介護職員等によるたんの吸引等実施についてお伝えします。
予告通り今回は、現在審議中の「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」の中の目玉の一つである、介護職員等によるたんの吸引等実施についてお伝えします。
改正経緯(「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」より)
○介護職員等によるたんの吸引等の取扱いについては、介護現場におけるニーズ等も踏まえ、これまで、当面のやむを得ない措置として、在宅・特別養護老人ホーム・特別支援学校において、介護職員等がたんの吸引等のうちの一定の行為を実施することが一定の下に運用によって認められてきた。
○しかしながら、こうした運用による対応(実質的違法性阻却)については、そもそも法律において位置付けるべきではないか、グループホーム・有料老人ホームや障害者施設等においては対応できていないのではないか、在宅でもホームヘルパーの業務として位置付けるべきではないか等の課題が指摘されている。
○こうしたことから、介護現場等において、たんの吸引等が必要な者に対して、必要なケアをより安全に提供し、利用者と介護職員等の双方にとって安心できる仕組みとして、介護職員等によるたん吸引等の実施のための法制度や教育・研修の在り方についての検討会を昨年7月に設置し、昨年12月に制度の在り方についての基本的な考え方とその骨子について「中間まとめ」が行われた。
○その結果、介護福祉士及び一定の研修を修了した介護職員等が一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとし、「社会福祉士及び介護福祉士法」を改正する方向で検討に入った。
○しかしながら、こうした運用による対応(実質的違法性阻却)については、そもそも法律において位置付けるべきではないか、グループホーム・有料老人ホームや障害者施設等においては対応できていないのではないか、在宅でもホームヘルパーの業務として位置付けるべきではないか等の課題が指摘されている。
○こうしたことから、介護現場等において、たんの吸引等が必要な者に対して、必要なケアをより安全に提供し、利用者と介護職員等の双方にとって安心できる仕組みとして、介護職員等によるたん吸引等の実施のための法制度や教育・研修の在り方についての検討会を昨年7月に設置し、昨年12月に制度の在り方についての基本的な考え方とその骨子について「中間まとめ」が行われた。
○その結果、介護福祉士及び一定の研修を修了した介護職員等が一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとし、「社会福祉士及び介護福祉士法」を改正する方向で検討に入った。
介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について
趣旨
○介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等は、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとする。
※たんの吸引や経管栄養は「医行為」と整理されており、現在は一定の条件の下に実質的違法性阻却論により容認されている状況。
○介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等は、一定の条件の下にたんの吸引等の行為を実施できることとする。
※たんの吸引や経管栄養は「医行為」と整理されており、現在は一定の条件の下に実質的違法性阻却論により容認されている状況。
実施可能な行為
○たんの吸引その他の日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの
※保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として、たんの吸引等を行うことを業とすることができる
☆具体的な行為については省令で定める
・たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)
・経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)
※保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として、たんの吸引等を行うことを業とすることができる
☆具体的な行為については省令で定める
・たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)
・経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)
介護職員等の範囲
○介護福祉士
※具体的な養成カリキュラムは省令で定める
○介護福祉士以外の職員等
・一定の研修を修了した者を都道府県知事が認定
・認定証の交付事務は都道府県が登録研修機関に委託可能
※具体的な養成カリキュラムは省令で定める
○介護福祉士以外の職員等
・一定の研修を修了した者を都道府県知事が認定
・認定証の交付事務は都道府県が登録研修機関に委託可能
登録研修機関
○たんの吸引等の研修を行う期間を都道府県知事に登録
(すべての要件に適合している場合は登録)
○登録の要件
・基本研修、実地研修を行うこと
・医師・看護師その他の者を講師として研修業務に従事
・具体的な要件については省令で定める
※登録研修機関の指導監督に必要な登録の更新制、届出、改善命令等の規定を整備
(すべての要件に適合している場合は登録)
○登録の要件
・基本研修、実地研修を行うこと
・医師・看護師その他の者を講師として研修業務に従事
・具体的な要件については省令で定める
※登録研修機関の指導監督に必要な登録の更新制、届出、改善命令等の規定を整備
登録事業者
○自らの事業の一環として、たんの吸引等の業務を行う者は、事業所ごとに都道府県知事に登録
(全ての要件に適合している場合は登録)
○登録の要件
・医師、看護職員等の医療関係者との連携の確保
・記録の整備その他安全かつ適正に実施するための措置
・具体的な要件については省令で定める
※登録事業者の指導監督に必要な届出、報告徴収等の規定を整備
<対象となる施設・事業所等の例>
・介護関係施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、通所介護、短期入所生活介護等)
・障害者支援施設等(通所施設及びケアホーム等)
・在宅(訪問介護、重度訪問介護(移動中や外出先を含む)等)
・特別支援施設
※医療機関は対象外
(全ての要件に適合している場合は登録)
○登録の要件
・医師、看護職員等の医療関係者との連携の確保
・記録の整備その他安全かつ適正に実施するための措置
・具体的な要件については省令で定める
※登録事業者の指導監督に必要な届出、報告徴収等の規定を整備
<対象となる施設・事業所等の例>
・介護関係施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、通所介護、短期入所生活介護等)
・障害者支援施設等(通所施設及びケアホーム等)
・在宅(訪問介護、重度訪問介護(移動中や外出先を含む)等)
・特別支援施設
※医療機関は対象外
実施時期及び経過措置
○平成24年4月1日施行(介護福祉士については平成27年4月1日施行。ただし、それ以前であっても、一定の研修を受ければ実施可能)
○現在、一定の条件の下にたんの吸引等を実施している者が新たな制度の下でも実施できるために必要な経過措置
○現在、一定の条件の下にたんの吸引等を実施している者が新たな制度の下でも実施できるために必要な経過措置
以上が介護職員等によるたんの吸引等の実施についての概要になります。具体的な行為や研修内容等は法案が成立した後、厚生労働省令にて定められる予定ですので、今後の省令の中身についても要注目です。
最後になりましたが、全4回にわたりまして、今回の介護保険制度の改正について特集をしてきましたが、まだ法案自体が審議中ということで今後の国会審議にも注目をしていく必要があります。財政難のなかでの制度改正ということで、必ずしも万人が納得する改正内容ではないかもしれません。しかしながら今後地域包括ケアシステムを構築していく上で今回の改正はとても重要な内容になっています。超高齢化社会を今後迎えるにあたり国民一人ひとりが自分のこととして、この介護保険制度の未来について真剣に考えなければならない時期に来ています。皆さんも是非一度、介護保険制度は今後どうあるべきかを考えてみましょう。
最後になりましたが、全4回にわたりまして、今回の介護保険制度の改正について特集をしてきましたが、まだ法案自体が審議中ということで今後の国会審議にも注目をしていく必要があります。財政難のなかでの制度改正ということで、必ずしも万人が納得する改正内容ではないかもしれません。しかしながら今後地域包括ケアシステムを構築していく上で今回の改正はとても重要な内容になっています。超高齢化社会を今後迎えるにあたり国民一人ひとりが自分のこととして、この介護保険制度の未来について真剣に考えなければならない時期に来ています。皆さんも是非一度、介護保険制度は今後どうあるべきかを考えてみましょう。