全国に広がる
認知症の人の見守り・SOSネットワーク
第4回 見守り・SOSネットワークの実例からみえてきたこと
徘徊・行方不明ゼロのまちを目指して、さまざまな地域で、その土地に合った「見守り・SOSネットワーク」が構築されています。今回はそのいくつかを紹介し、ネットワークの実例からみえてきた行方不明を防ぎ、早期発見に向けたポイントをまとめます。
あなたのまちに徘徊・見守りSOSネットワークはありますか?
平成21年度にNPOシルバー総合研究所が行った調査では、「貴自治体に認知症高齢者のSOSネットは設置されていますか」という問いに、「整備済み」と答えた自治体は27.8%、「未整備」は69.4%という結果でした。また、「整備済み」と答えた自治体の中で、「活発に稼働している」と回答した自治体は23.3%にとどまりました。つまり、ネットワークの構築や活用はまだまだこれから、というのが現実です。
そのような中で、ネットワークが有効な結果を出している自治体も少なくありません。たとえば、ある認知症の方の死亡事故を受け、家族会が中心になって全国初のネットワークを平成6年に作り上げた釧路地域SOSネットワーク(北海道)。当初から事前登録制度や24時間対応の一時保護施設を設けてスタートした茅ヶ崎市・寒川町のネットワーク(神奈川県)。認知症の人だけでなく地域のすべての人を対象にし、小学校区ごとに市内全域を対象にした模擬訓練を行っている大牟田市ほっと安心(徘徊)ネットワーク(福岡県)。地元FM局や市民ボランティアと協働して運営している沼田市の認知症にやさしい地域づくりネットワーク(群馬県)。大都会東京における地域包括支援センターを中心とした練馬区認知症高齢者徘徊対策ネットワーク事業と清瀬市ほっと・安心(認知症)ネットワーク訓練(東京都)など、アイデアと実効性に富んだネットワークや模擬訓練を行っている自治体もあります(詳しくは参考文献を参照)。
ネットワークづくりは、まさにこれからです。あなたのまちでも、今まさに立ち上げに向けた準備を行っているかもしれません。地域包括支援センターや行政の窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
そのような中で、ネットワークが有効な結果を出している自治体も少なくありません。たとえば、ある認知症の方の死亡事故を受け、家族会が中心になって全国初のネットワークを平成6年に作り上げた釧路地域SOSネットワーク(北海道)。当初から事前登録制度や24時間対応の一時保護施設を設けてスタートした茅ヶ崎市・寒川町のネットワーク(神奈川県)。認知症の人だけでなく地域のすべての人を対象にし、小学校区ごとに市内全域を対象にした模擬訓練を行っている大牟田市ほっと安心(徘徊)ネットワーク(福岡県)。地元FM局や市民ボランティアと協働して運営している沼田市の認知症にやさしい地域づくりネットワーク(群馬県)。大都会東京における地域包括支援センターを中心とした練馬区認知症高齢者徘徊対策ネットワーク事業と清瀬市ほっと・安心(認知症)ネットワーク訓練(東京都)など、アイデアと実効性に富んだネットワークや模擬訓練を行っている自治体もあります(詳しくは参考文献を参照)。
ネットワークづくりは、まさにこれからです。あなたのまちでも、今まさに立ち上げに向けた準備を行っているかもしれません。地域包括支援センターや行政の窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
ネットワークの実例から見えてきた
行方不明を防ぎ、早期発見に向けたポイント
行方不明に気づいたら、すぐに連絡を!
すでにネットワークを整備した地域の方にお話をうかがうと、「時間が経つと見つけづらくなるので、気づいたらすぐに通報を」と呼び掛けています。しかし、家族は「警察に通報し、捜索を頼むこと」に躊躇しがちです。少し探せば見つかるだろう、大事にしたくない、何度もいなくなっていて、言いにくい…という気持ちがうかがえます。
しかし、時間が経てばたつほど、認知症の人は遠くに行ってしまう可能性があり、捜索が困難になります。行方不明に気づいたときは自分たちだけで探そうとせず、すぐに警察や地域包括支援センターなどに連絡しましょう。
しかし、時間が経てばたつほど、認知症の人は遠くに行ってしまう可能性があり、捜索が困難になります。行方不明に気づいたときは自分たちだけで探そうとせず、すぐに警察や地域包括支援センターなどに連絡しましょう。
家族が認知症の正しい知識を身につける
平成15年に行われた「釧路地域SOSネットワーク」の調査結果では、行方不明になったことが2回以上あったケースが全体の32%にのぼり、最高では8回という人がいました。このように、徘徊・行方不明事故を防ぐためには、ネットワークを整備するだけでなく、家族が認知症に対する正しい知識を身につけて、徘徊・行方不明を繰り返さないように、専門職と連携をとりながら適切に対応する必要があります。
徘徊・行方不明は認知症の初期から
また、同じ調査で「行方不明・発見時の本人の認知症のステージと家族の状況」を分析したところ、病気になったばかりの早期段階で行方不明になった人が全体の20.2%あり、家族も「予期せずびっくりした」とか「うちの親は認知症ではない、たまたま」と否定する人もいました。このように、徘徊・行方不明は認知症の早期から起こりえることです。認知症と診断された、あるいは家族が「あれ?最近うちの人……」と思い始めたときから、徘徊・行方不明への対策は必要なのかもしれません。
4回にわたって取り上げた「認知症の人の見守り・SOSネットワーク」ですが、ネットワークは創ることが目的ではなく、認知症になっても、ご近所さんの温かい目に見守られて、安心してまちを歩き回れることが目的です。そのためには、一人ひとりが認知症の正しい知識を学び、実践していくことが求められています。あなたもネットワークの一員です。今回の特集も参考に、ぜひ実践してみてください。
4回にわたって取り上げた「認知症の人の見守り・SOSネットワーク」ですが、ネットワークは創ることが目的ではなく、認知症になっても、ご近所さんの温かい目に見守られて、安心してまちを歩き回れることが目的です。そのためには、一人ひとりが認知症の正しい知識を学び、実践していくことが求められています。あなたもネットワークの一員です。今回の特集も参考に、ぜひ実践してみてください。