ドキュメンタリー映画『ただいま それぞれの居場所』からみる“介護”
最終回 民間福祉施設「元気な亀さん」をレポート
介護保険制度導入から10年――ドキュメンタリー映画『ただいま それぞれの居場所』は、介護福祉の“いま”をみることができます。その映画から介護をみつめ直そうという本特集。最終回は、映画にも登場している介護保険外の施設「元気な亀さん」の様子をお伝えします。園長の瀧本信吉さんのインタビューを交えて紹介します。
「元気な亀さん」とは
Q:「元気な亀さん」の基本情報を教えてください
ここには小さな子どもからお年寄りまでいます。総称して「元気な亀さん」と呼ばれていますが、小学校入学前の子どもを「そんごくう」、養護学校など学校に通っている人を「金星組」、成年を「明日は晴れ」、高齢者を「元気な亀さん」とグループ分けしています。登録人数は「そんごくう」「金星組」「明日は晴れ」がそれぞれ8人位、「元気な亀さん」は泊まりが18人で通いが1人です。
――定員はありますか?
ありません。可能な限り受け入れています。
――介護保険外の施設ということの良さは何ですか?
一人暮らしのお年寄りなどが転倒し、急に介護を必要となった場合、介護認定を受けていないと面倒をみてくれるところをみつけるのは難しいですが、うちでは介護保険は関係ありませんので、すぐに対応することができます。しかし、認定を受けていない人はうちのような施設の存在も知らないのが実情です。そういった場合、ケアマネさんや市の職員がつないでくれるとありがたいです。
ここには小さな子どもからお年寄りまでいます。総称して「元気な亀さん」と呼ばれていますが、小学校入学前の子どもを「そんごくう」、養護学校など学校に通っている人を「金星組」、成年を「明日は晴れ」、高齢者を「元気な亀さん」とグループ分けしています。登録人数は「そんごくう」「金星組」「明日は晴れ」がそれぞれ8人位、「元気な亀さん」は泊まりが18人で通いが1人です。
――定員はありますか?
ありません。可能な限り受け入れています。
――介護保険外の施設ということの良さは何ですか?
一人暮らしのお年寄りなどが転倒し、急に介護を必要となった場合、介護認定を受けていないと面倒をみてくれるところをみつけるのは難しいですが、うちでは介護保険は関係ありませんので、すぐに対応することができます。しかし、認定を受けていない人はうちのような施設の存在も知らないのが実情です。そういった場合、ケアマネさんや市の職員がつないでくれるとありがたいです。
創設の経緯
Q:亀さん(以下、この施設のことを総称してこう呼びます)創設の経緯を教えてください
高校卒業してから自分探しの旅をするために上京。職を転々として、サラリーマンをやっているころに短期里親制度やボランティア活動に参加していました。当時のボランティアはサマーキャンプやスキーの介助者などです。その時に、この子たちはこれからどうなっていくのだろうと心配になりました。同じく、特別養護老人ホームが制度化されてすぐに見学に行き悲しい印象を受け、それらをきっかけに自宅をデイ・ケアとして開放し始めました。
――創設時の状況はどうでしたか?
一番大変だったのは、1か所にお年寄りを集めることです。幼児を集めるのはよくあることでしたが、創設時は、介護が必要なお年寄りを室内に隠している時代です。日中にお年寄りを外に出すということが当たり前ではなかったので、「ご自由に遊びに来てください」といくら宣伝しても、来てくれる人はいませんでした。
――人が来るようになったきっかけは何ですか?
妻が働いていた病院の患者さんたち(脳梗塞を発症したお年寄り)が、退院してから遊びにきてくれたのがきっかけです。それから、その患者さんにボランティアとして通ってもらうことにしました。通ってもらうことによって、近所の人たちが「お年寄りが毎日来て帰っていくな」と認識し始めたのです。どうせ通うなら楽しいことをやろうと、料理を作ったり、古着で草履を作ったり、神社に参拝にいったり、今のデイサービスと同じようなことをしていました。今では片マヒの人と出かけるのは当たり前ですが、当時では珍しいことでした。こんなことをやっていたら、自閉症の子どもがいる母子家庭のお母さんから、多くの保育園や幼稚園で入園を断られ「亀さんでみてくれないか?」と申し出がありました。もちろん了承し、それが子どもからお年寄りまでいる今の亀さんのスタイルになりました。
高校卒業してから自分探しの旅をするために上京。職を転々として、サラリーマンをやっているころに短期里親制度やボランティア活動に参加していました。当時のボランティアはサマーキャンプやスキーの介助者などです。その時に、この子たちはこれからどうなっていくのだろうと心配になりました。同じく、特別養護老人ホームが制度化されてすぐに見学に行き悲しい印象を受け、それらをきっかけに自宅をデイ・ケアとして開放し始めました。
――創設時の状況はどうでしたか?
一番大変だったのは、1か所にお年寄りを集めることです。幼児を集めるのはよくあることでしたが、創設時は、介護が必要なお年寄りを室内に隠している時代です。日中にお年寄りを外に出すということが当たり前ではなかったので、「ご自由に遊びに来てください」といくら宣伝しても、来てくれる人はいませんでした。
――人が来るようになったきっかけは何ですか?
妻が働いていた病院の患者さんたち(脳梗塞を発症したお年寄り)が、退院してから遊びにきてくれたのがきっかけです。それから、その患者さんにボランティアとして通ってもらうことにしました。通ってもらうことによって、近所の人たちが「お年寄りが毎日来て帰っていくな」と認識し始めたのです。どうせ通うなら楽しいことをやろうと、料理を作ったり、古着で草履を作ったり、神社に参拝にいったり、今のデイサービスと同じようなことをしていました。今では片マヒの人と出かけるのは当たり前ですが、当時では珍しいことでした。こんなことをやっていたら、自閉症の子どもがいる母子家庭のお母さんから、多くの保育園や幼稚園で入園を断られ「亀さんでみてくれないか?」と申し出がありました。もちろん了承し、それが子どもからお年寄りまでいる今の亀さんのスタイルになりました。
家族介護者に向けて
Q:家族介護者へ向けてメッセージをお願いします
日本人は儒教の精神が受け継がれてきているので、親の面倒をみないといけないと思いがちですが、上手にサービスを使ってほしいと思います。介護保険のサービスであってもそうでなくても。私の想いとしては、「介護は楽しい」という価値観をもっていただきたい。意識の変換をしてほしいと思います。介護は大変だと思われがちですが、笑ってしまうような楽しいことがたくさんありますから。家族が認知症になって落胆する気持ちもあると思いますが、自分で面倒をみなきゃと思わず情報収集をたくさんして社会資源をうまく使ってください。在宅介護が良いと言われていますが、施設に入所することも一つの方法です。それぞれに合ったサービスを利用してください。
『ただいま それぞれの居場所』は4月17日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開です。
日本人は儒教の精神が受け継がれてきているので、親の面倒をみないといけないと思いがちですが、上手にサービスを使ってほしいと思います。介護保険のサービスであってもそうでなくても。私の想いとしては、「介護は楽しい」という価値観をもっていただきたい。意識の変換をしてほしいと思います。介護は大変だと思われがちですが、笑ってしまうような楽しいことがたくさんありますから。家族が認知症になって落胆する気持ちもあると思いますが、自分で面倒をみなきゃと思わず情報収集をたくさんして社会資源をうまく使ってください。在宅介護が良いと言われていますが、施設に入所することも一つの方法です。それぞれに合ったサービスを利用してください。
『ただいま それぞれの居場所』は4月17日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開です。