全国に広がる
認知症の人の見守り・SOSネットワーク
第3回 道に迷っている認知症の人の気持ちと声のかけ方・接し方
前回は「自分の家族」が徘徊・行方不明になったとき、あるいはその防止のために何ができるかを紹介しました。今回は、まちで「あれ?」っと思う人にあなたが出会ったとき、どのように対応したらよいかを紹介します。一人ひとりが対応の仕方を知っていたら、徘徊・行方不明になる人が減り、事故がなくなります。安心・安全のまちづくりを目指して、皆さんも実践してみてください。
道に迷っている認知症高齢者の心理
徘徊・行方不明になる認知症の人は、無目的に歩いているわけではありません。心の中では、
・「ここがどこだかわからない」(場所がわからない)
・「〜がいない」と探している(人に対するエピソード記憶の低下)
・「〜をしなくてはいけない」と用件を思いつく(用件に対するエピソード記憶の低下)
・現在いる場所が「居心地が悪い」と感じている
といったことがあげられます。2、3番目に対しては認知症の人に「目的」があるので、その目的を解決するような関わりが求められます。また、1、4番目に対しては、不安や不愉快を感じているので本人が安心できるような関わりや環境の見直しが求められます。
なお、認知症の人は記憶障害の出現のため、不安や混乱を生みだしやすい状態と言えます。このため、認知症の人と接するときは次の心得を実践するとよいでしょう。
・「ここがどこだかわからない」(場所がわからない)
・「〜がいない」と探している(人に対するエピソード記憶の低下)
・「〜をしなくてはいけない」と用件を思いつく(用件に対するエピソード記憶の低下)
・現在いる場所が「居心地が悪い」と感じている
といったことがあげられます。2、3番目に対しては認知症の人に「目的」があるので、その目的を解決するような関わりが求められます。また、1、4番目に対しては、不安や不愉快を感じているので本人が安心できるような関わりや環境の見直しが求められます。
なお、認知症の人は記憶障害の出現のため、不安や混乱を生みだしやすい状態と言えます。このため、認知症の人と接するときは次の心得を実践するとよいでしょう。
認知症の人への対応心得“3つの「ない」” 1驚かせない 2急がせない 3自尊心を傷つけない (出典:「認知症サポーター養成講座標準教材」から抜粋) |
声かけ判断のポイント
「あれ? あの人……」と思う人がいても、声をかけるときに躊躇してしまうのは、道に迷っている人なのか、ただ散歩しているだけの人なのかがわからないからでしょう。そこで、次のようなポイントを判断の参考にしてください。
<不自然さ> ・夜中や早朝、ぽつぽつと歩いている。 ・あてがないように、とぼとぼ歩いている。きょろきょろ辺りを見回している。 ・声をかけても脇目をふらず、一目散に歩いていく。 ・雨の日に傘もささずに歩いている。 ・寒いのに薄着、あるいは暑いのに厚着をしている。 ・外出のわりには身なりが整っていない(寝巻き、ボタンの掛け違いや髪もぼさぼさだったり、持ち物が不自然)。 ・靴を履かずに裸足であったり、スリッパのまま歩いている。 ・手提げやバッグを持たずて、手ぶらで歩いている。 ・初対面なのに人なつこく話しかけてきたり、「久しぶり」などと言う。 ・「どこから来ましたか?」「どこへ行かれますか?」の問いに不自然な場所の答えがかえってくる。 ・険しい表情だったり、ボーっとして表情をしている。 <危うさ> ・車道を歩いたり、道路を横切ろうとしている。 ・炎天下にもかかわらず、帽子も日傘もささずに歩き回っている。 ・大荷物をもっていたり、ふらふらしている。 ・路肩や道端に座り込んでいる。 <困っている様子> ・ウロウロと同じところを、何度も歩いている。 ・「ここは○○ですか?」「○○にはどうやって行きますか?」「○○に電話してください」と声をかけてくる。 ・こちらの質問に戸惑いが多かったり、「わからない」と答える。 ・切符や品物を買うときに戸惑っている。 ・交差点などで戸惑っている。 (出典:福岡県大牟田市の資料を一部改変)
|
気になる人への声のかけ方
認知症の人に限らず、道に迷えば誰もが不安で混乱した気持ちになります。そこで、声をかけるときには、次のことに配慮することが大切です。
・ゆっくり近づいて、相手の視野に入ってから、話しかける。急に後ろから声をかけたり、大声で話しかけない。 ・近づきすぎず、しかし目線を合わせ、ゆっくりと穏やかな口調で話しかける。 ・声かけは「こんにちは」「お暑いですね」など、ごく普通のあいさつから。 ・「どちらまで?」とか「どこへ行かれますか?」と、やさしく声かける。 ・「何かお困りですか?」「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」もいい質問。 ・わかりやすい簡潔な言葉で、一つずつ話しかける。返事がないからといって、矢継ぎ早に質問せずに、答えをゆっくり待つ。 ・突拍子もない、不可解な言動をされても、慌てた反応をしないで、まずは落ち着いて。 ・厳しい顔、困った腕組や上から見下すような目線、数人で取り囲む、急に腕を掴んだり、身体に触れないようにする。このような行動は警戒心を持たれます。 ・少し一緒に歩きながら、「少し休んでいかれませんか?」「ちょっと腰をかけてひと休みしませんか?」などと声をかけてみる。 ・声をかけてもうまくいかない場合は、いったん離れて間をおき、または近所の他の人に連絡して、助けを求める。 ・本人情報をもっていたら、その情報(例:旧姓や出身地、なじみの場所等)を上手く使って、話しかける。 この土地の人なら、なじみの場所や土地の言葉を使う。 (出典:福岡県大牟田市の資料を一部改変)
|
以上のようなことに配慮して声をかけてみてください。あなたの一言がその人の命を救うことにつながるかもしれません。
さて、最終回の次回は、先進的な取り組みをしている地域の見守り・SOSネットワークの紹介と、各地の実例から見えてきた行方不明を防ぎ、早期発見に向けたポイントをお伝えします。
さて、最終回の次回は、先進的な取り組みをしている地域の見守り・SOSネットワークの紹介と、各地の実例から見えてきた行方不明を防ぎ、早期発見に向けたポイントをお伝えします。