今月の特集 急変・事故に対応しよう
第3回 急変や事故を予防する1 いつもの様子を把握する
注意していても、気をつけていても、起こってしまう事故や急変。第3回と第4回では、事故や急変を予防し、大事に至る前に手を打つポイントを紹介します。
普段の様子を知る
急変といえども、その状態に至る前には、「いつもと様子が違う」ことが多くあるといいます。このような小さな変化をキャッチすることが、事故や急変を未然に防ぐ上では大切になります。そのためには、介護者はお年寄りの「いつもの様子」を知っておく必要があります。では、「いつもの様子」とは、どのようなことを把握しておけばよいでしょうか。チェックポイントを以下に示します。
いつもの様子 チェックポイント
(1)バイタルサイン(体温(平熱)、血圧、脈拍)
(2)身体の状態(顔色、呼吸の感じ、手の温かさ(熱い・冷たい))
(3)排泄(尿・便の回数や様子、パターン)
(4)言葉のやりとり、声を掛けたときの反応
(5)食事の量、食べ方
(6)意識(ぼーっとしているか)
これらのことは、状態が安定しているときは意外に関知しないものです。しかし、急変や事故を予防する上ではとても大切なことです。以下で、詳しく説明します。
いつもの様子 チェックポイント
(1)バイタルサイン(体温(平熱)、血圧、脈拍)
(2)身体の状態(顔色、呼吸の感じ、手の温かさ(熱い・冷たい))
(3)排泄(尿・便の回数や様子、パターン)
(4)言葉のやりとり、声を掛けたときの反応
(5)食事の量、食べ方
(6)意識(ぼーっとしているか)
これらのことは、状態が安定しているときは意外に関知しないものです。しかし、急変や事故を予防する上ではとても大切なことです。以下で、詳しく説明します。
(1)バイタルサイン(体温(平熱)、血圧、脈拍)を把握する
認知症の高齢者の場合、痛みや体調の悪さを介護者に言葉で伝えられないこともあります。そのようなときでも、いつもに比べて元気がない、熱が高い、血圧が上がっているなどの変化を介護者が気づくことで、大事に至る前に医師等を受診することができます。特に意識の変化や血圧の急な変化は脳血管障害などを引き起こしている場合があるので、普段の数値を把握しておくことが大切です。
また、薬の飲み忘れが原因になっていることもあるので、きちんと薬を飲んでいるかを確認することも大切です。
また、薬の飲み忘れが原因になっていることもあるので、きちんと薬を飲んでいるかを確認することも大切です。
(2)身体の状態(顔色、呼吸の感じ、手の温かさ(熱い・冷たい))
いつもに比べて顔色が悪い、呼吸が速い(浅い)、むくんでいるなどの場合も、体調の変化を表します。また、手足を触ってみて、いつもより熱かったり、冷たかったりする場合も、身体に異変があることが多くあります。この段階で訪問看護師や医師に相談してもよいでしょう。普段から身体に触れて、その方の状態を把握することが大切です。
(3)排泄の様子
排尿については、日常あまり意識していませんが、いつもより出が悪い、量が極端に少ない、色が濃い、いつもと違うなどは要注意です。特に尿が出ないときには水分を多く取り、それでも6〜8時間以上出ない場合には何らかの体の変化があることを考え、医療機関の受診をお勧めします。膀胱にたまっていても出ない、あるいは腎臓の機能低下など様々な原因が考えられます。
(4)言葉のやりとり、声を掛けたときの反応
話しかけた時の返事がいつもに比べて遅い、文章がつながらない、ぼーっとしている時などは、熱が出ていたり、意識状態が変化している可能性があります。また、認知症高齢者の場合、痛みや不快感から言葉が少なくなっていることもあります。普段と比べて言葉のやりとりに変化はないか、返事が遅いかなどを把握することも大切です。
(5)食事の量、食べ方
(6)意識(ぼーっとしているか)
意識がはっきりしているか否かも、体調を表す目安となります。意識がはっきりしていない時には、脳血管障害や急な出血、血糖の低下や上昇、など何らかの病気の症状が考えられます。明らかにぼーっとして意識がない、言葉掛けに反応しないといった場合は、すぐに医師に連絡しましょう。元々内服薬の処方を受けている方は指示通り飲めているか、糖尿病でインシュリンの注射をしている方は血糖の値や食事をきちんととっているかなどの自己管理が重要です。
どう対処していいのかわからないときは、普段お世話になっている訪問看護師や医師に電話等で相談し、指示を仰ぎます。看護師や医師は、緊急性の判断をしながら次にすべき行動を指示してくれます。
状況によっては病院等を受診し、「いつもと違う」原因を探ります。病院に行くのは大変ですが、早めに受診した結果大事に至らなかったということもありますので、この段階で受診することは決して悪いことではありません。高齢者は教科書どおりの症状がでないという特徴もあります。不安なときには早めに受診しましょう。
さて、最終回の次回は「急変や事故を予防する2 生活環境の工夫」についてご説明します。
最終回 急変や事故を予防する2 生活環境・生活習慣を工夫する
お話をうかがった方
横浜市港北医療センター
訪問看護ステーション ケアマネジメントステーション
管理者・看護師・ケアマネジャー
【参考資料】
平成17年度 独立行政法人福祉医療機構助成金事業 医療が必要な在宅療養者のためのサービス活用モデルの作成と市民への普及研究事業 パンフレット